表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2章 亜人連合国騒乱編
134/347

共鳴する神器

今日の分です。

いよいよバトルも大詰めに近づいて来ました。果たしてネスク達はドルイドの国を守る事が出来るのだろうか。

  兵士達は、皆動く事もやっとの者ばかりだ。

  頭をケガして血を流している者、足を引き摺りながら仲間の肩を借りて歩いて来る者、全身をケガしている者など様々。


「‥‥‥皆、様」


  ポーアは驚いている。

 それもその筈だ。皆、体中が傷付いていても集まって来れるのだから。


「姫様、‥‥‥‥どうか立って下さい!

 姫様がどんなに傷付いても、民を守るためにその身を粉にして尽くして下さっている事を我々は知っております。そんな姫様の姿を見て我々はあなた様の盾に成りたいと思ったのです。」


「我々は姫様を信じております。先に逝った同胞の思いも同じ筈です。

 我々は傷付いても姫様さえ立っていれば我々は何度でも立て直せるのです!」


「姫様!」「姫様!」「姫様!」「姫様!」


  それぞれが口々にポーアを励ます。

 ポーアの瞳から涙が溢れる。暖かい言葉がポーアの崩れかかった精神が立て直す。


  立ち上がりポーアに手を差し出す。

 後は少し、手を引いてあげるだけで良い。

 ポーアが手を重ねようとして途中で躊躇う。


「‥‥‥‥こんな、わたくし、で良いのですか?何も役にたてない、わたくしで」

 

「ポーアはそれで良いんだ。

 ポーアの、『思いやり』が誰かの心の支えになって、皆を守る盾になる。‥‥だから、もう一度、立て!!」


  強引にポーアの伸ばし掛けた手を掴み、引き上げて体を引き上げる。


  その時、

 ポーアの胸元のヒサカから預かりポーアに渡した

 緑の石のペンダントが光り始める。

 共鳴するかのように俺の脳内に声が響く。


(シスター)との共鳴(リンク)を確認。

 共鳴(リンク)シーケンスを確率します。』


「ソフィア?」


  聞き覚えのある声、ソフィアの声が脳内に響き渡る。そして、ポーアの方もペンダントの緑の光が鼓動するかのように瞬く。


「何、ですか?これ、は‥‥‥‥‥」


  そして電気信号のように繋いだ手からポーアに流れ込んでくる言葉が分かる。


『姉様との接触、及び所持者の覚悟たる意志を確認。これより具現化に入ります。』


  一度しか会っていないので特定までは行かないが恐らく()()()()()だと思う。

  その声が言った通りにポーアに変化が起こる。

  木の葉がポーアの周りを舞う。緑の石のペンダントが空中で消えて、ポーアの額に模様が浮き出る。

  そして、植物の蔓のような模様が全身へと広がっていく。


  更に、服装も変化する。

  ボロボロになった元の服から紫のロングスカートへと変わりその上にローブが羽織られる。ドルイドの象徴である蔓に小さな蕾の花が咲く。

  瞳の色と髪の色が若葉色から濃い碧色へと変わる。可愛らしい魔女のような姿に様変わりを果たす。

  俺が以前使った【反転】にも少し似ているがあの時とはまた別の感じがする。


『具現化完了。【(スクートゥム)】の名においてこれより所持者(マスター)の意志に従います。』


  そこで通信が途絶える。

 改めてポーアを見る。ポーアも何が起こったのか分からず自分の格好に驚いている。


「‥‥‥‥ポーア、だよな?」


「え、‥‥‥‥ええ、そうです。わたくし、のこの姿は一体‥‥‥。」


  俺も混乱しているが、ポーアも状況が分かっていない。今分かっている事は、ソフィアとヒサカの間で何かが起こったということだけだ。


「姫、様?」


  兵士の方へとポーアと同じように顔を向ける。

 驚愕のあまり兵士の人全員が言葉を失っていた。


  一際大きい爆発音がした後、何かが飛んでくる。どうやら、ミレドが大きめの魔法を一撃放ったようだ。今考えるのは後だ。

 早く戦闘に加わろう。


「ポーア、話は後にしよう!先にあれを片付ける!!」


「は、はい!!では、皆様はこのまま後方に下がって下さい!ここは危険ですので‥‥‥。」


「は、はい!!姫様、御武運を!!」


  ポーアが指示を出してから先に走っていた俺に追い付いて来る。どうやら、ポーアの変化は彼女の力を数倍に引き上げる物のようだ。


「【聖雷(パージ・ライトニング)】」


  走りながら【聖雷】でミレドと同じ白い雷を纏う。しかし、あれをどうにかするにはこれだけでは恐らく足りない。


「‥‥‥‥不思議です。使ったことなどない筈、ですのに自然と使い方が分かります。」


  その感覚は俺が初めて【ソフリア・クレ】を使った時と同じなのだろう。


「奴の動きを止めます!!その間にミレド様と合流して下さい!!」


  ポーアの魔力がいつの間にか元に戻っている。これも今のポーアの姿と関係あるのか分からないが、驚異的な回復能力である。


「ネスク様、行きます!そのまま駆けて下さい!

【Й∫ΣЁ∬фΞΨ(バルサミナ)】」


  ポーアが魔法を発動した瞬間に、前方の骨の魔物が大爆発を起こし、ワイトキングを粉々に吹き飛ばす。

 ミレドを捕まえようとしたワイトキングの腕を吹き飛ばしてワイトキングの体が爆散する。

 空中でミレドが何が起こったのか理解できずにいる。

ポーア、へーんしん!!

ポーアの変化は神器に付随する物です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ