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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2章 亜人連合国騒乱編
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救援

<ネスク>


「これが、‥‥‥精、霊」


  目前に小さな生き物がいる。目を奪われる程の輝きを放ち空中に浮かぶ。

  どちらも女の子、だと思われる。

 片方はドルイド族と同じように植物が絡み付き、若木色の髪に瞳。長い髪にくせ毛のように所々でウェーブがかっている。


 もう片方は水泡がどういう原理かわからないが空中に浮かび体の各所に散らばっている。

 前髪の両サイドが長く伸び、後ろはバッサリとしている。髪と色を除けばどちらも尖った耳に同じ顔の造りである。どちらも目を惹かれる何かを備えている。


『そう!!、私達ぃ~精霊だよ~!!

 私はぁ~"ネモ"だよ~。』


『ペーレはぁ~"ペーレ"だよ~。』


  何だか気の抜けそうな口調の精霊が二人。

名前を教えてくれる。緑色がネモ、水色がペーレというらしい。しかし、目のやり場に困る。


それぞれ肌の露出が多い格好だからだ。


「これは、‥‥‥驚きじゃ。まさかここに上級精霊が出て来ておるとは。 」


  ミレドが目を見開いて驚いている。それ程滅多に見られないのであろう。

  グラス団長に至っては驚きのあまり固まっている。兵士の人達も様々な反応をしている。

  立ったまま気絶している者、衝撃が強すぎて発狂している者、手を組んで拝みながらぶつぶつと呟く者など様々だ。


「面白~い、魔力を感じたからぁ~、出て来たのぉ~♪』


『そうだよ~、フフフ~♪』

  精霊達がクルクルと自分の回りを回る。


「‥‥‥‥成る程のう。

 ネスクが原因じゃったか‥‥!!里に引き籠っておるより、好奇心が勝ったようじゃのう。

 良かったのう、ネスク。どうやらおぬしはコヤツらのお眼鏡に叶ったようじゃぞ。」


  何故かミレドが納得している。よく分からない。


「‥‥‥上級精霊は里から出て来ない筈じゃ、無かったのか?」


『だって~、ず~っとあそこにいると~退屈なんだよ~。』


『そうそう~

 王様は~、人に関わるなっていうけど~、刺激は必要だよ~~!!

 あのままだとぉ~私達がぁ~~干からびちゃうよ~!!』


「精霊は好奇心旺盛じゃからのう、昔はよく見かけたものじゃが‥‥‥今はあまり見かけぬのう」


  のんきに会話するのは後にしよう。先に先ほど精霊達が言っていたことが先だ。

  赤狼といえば、思い付くのはクーシェだけだ。


「【長距離・探知(ロング・サーチ)】」


  自分を中心に魔力のレーダーを里の方へと伸ばす。そして気付く小さくなっていく二つの魔力に‥‥‥。

  一つは、恐らくヒサカキの木の近くだ。

 そこに消えかかっている魔力が一つ。


 そしてそこから西に一つ。【長距離・探知】直後はしっかりとした魔力であったが、急激に魔力が減り、今にも消えかかっている。


  魔力の感じからして前者がクーシェ、後者がポーアだ。


「くそっ!!こんな事態になってたのか!最初から二手に別れるんじゃ無かった!!!」


  自分の不甲斐なさに嫌気がさして来る。


『フフフフフ♪今なら間に合うよぉ~♪』


『君が本気でぇ~、助けたいのぉ~ならね~♪』


  精霊の言葉を聞いて覚悟を決める。クーシェとポーアの救援に向かう。


「グラス、後は任せて良いかのう?」


  ミレドが固まっているグラス団長に話しかける。ミレドも付いてくるようだ。


「ああ、構いません。元々これは俺達、内部の問題ですから。いつまでも、自分より小さいアイツに任せ切りにするわけにも行きません。後のことは大人の仕事です。」


  自分の胸を強く叩く。そんな団長がとても格好良く見える。


「うむ、じゃが無茶だけはするなよ。」


「‥‥‥はい。」


 ミチラリとグラス団長がこちらへと目を向ける。


「ネスク、姫様を頼む。」


 そして、頭を下げてくる。


「‥‥‥言われるまでも無い。ポーアも立派な俺達の『()()』だからな。血の繋がりはなくても()()()()なのは変わり無い。」


『行くのぉ~?』

『行っちゃうのぉ~?』


  精霊のネモとペーレが聞いてくる。


「ああ、家族が危ないからな。」


『なら近い方に~、()()()()()()~!!』


『ネモ、行くよ~!!

 そ~れ!!』


  俺とミレドの回りに魔法陣が浮かび光り出す。そして、光に囲まれてしまう。


「これは‥‥‥。」


()()()()に見たが、相変わらず凄いのう。」


  その現象に驚いているも、ミレドは何か知っているようだ。魔力を使っている事は分かるがこの魔法陣は見たことが無い。

  光に包まれ何も見えなくなる。



 ****


  ゆっくりと目を開ける。徐々に目が慣れてきて視界が開ける。薄暗い森にいた筈なのだが目の前に巨大な木の根が天井へと伸びている。

  状況が分からずに辺りを見渡す。部屋中に木の根が駆け巡り、所々に戦いの痕跡と思われる切り傷や凹みがある。


()()()()!!」


  悲痛な声で振り返る。そこには血溜まりの中に横たわるクーシェがいた。

 その傍に駆け寄り血溜まりの中から引き上げるミレドの姿が目に入る。


「‥‥‥傷が深い。ネスク手を貸せ。」


「‥‥‥分かった。」


  ミレドと同様にクーシェへと駆け寄る。

 それを見て一目で分かる。背中の傷が深い所まで達している。血が大量に流れ出しているせいでいつもの肌の色が死人のように青白い。


「おぬしは、以前妾にしたように深いところの治癒を頼む。その間に妾が再生の催促を施す。良いのう?」


  コクンと頷いて早速始める。一刻も早くしないと間に合わなくなる。


「細胞【再生】、【治癒(ヒール)】」


  緑の光が手から傷口に注がれて徐々に血が止まる。

「死ぬなよ。クーシェ」


  その上にミレドが自身のオーラを注ぐ。白い魔力のオーラが傷口に注がれて徐々にふさがっていく。

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