魔の行進
遅くなりましたが二話目です。
<ネスク&ミレド>
「【朧月・瞬雷】」
地面、空気中の【深淵へと誘う霧】による霧を伝い、雷が周りに取り巻く魔物を一掃していく。
【朧月・瞬雷】を使ったことで途切れていた【聖雷】が全身を覆い、魔物の群れを縫うように通り抜ける。白い閃光が走った後、魔物が雷によって浄化され消えていく。
そして魔物の群れから抜けた先に一際大きな魔物がいる。この群れを統制している魔物だ。
その魔物が舌を伸ばして攻撃してくる。
「【加速】」
走る速度が更に上がり舌攻撃を避ける。避けられた魔物は慌てているがもう遅い。
雷を刀に纏わせる。
「【浄化の蛇】」
刀で振るった後、鞘に納める。
納め終わると同時に魔物が真っ二つに分かれる。
そして塵となって消える。
「‥‥‥‥ふう、これで10、か。」
周りに残っていた魔物は統制していた魔物同様に塵となって消えていく。
この魔物はミレドいわく統制している魔物を倒せば周りに取り巻く魔物も消滅するそうだ。
原理は不明だがどうやら一体から何体も派生して生まれるとのことだ。よって頭を潰せば良い。
簡単なようで難しい。
何体いるかも分からない群れの中を倒しながらその魔物を見つけて倒さなければならない。その上、周りの魔物と違い強さが桁違いに上がる。
よって俺が今しているように【探知】で魔物の頭を探し出して、高速移動が出来、尚且つ攻撃力の高い魔法を使って葬る。
それを繰り返している。既に先程のと合わせて10体目だ。
「ネスク!!そっちは終わったかのう?」
ミレドが血塗れで魔物の頭と思しき物を引き摺りながらやってくる。
端から見たら少女が魔物を頭を引き摺っているという猟奇的光景である。
「終わった、それよりソレどうにかしろ!!」
「おお、悪い悪い。つい‥‥のう。」
そういいまだ残っている魔物の群れへとその魔物の頭を放り投げる。魔物がボーリングのピンのようにキレイに吹っ飛ぶ。
ストラーイク!!!ナイス!!
ついそう言ってしまう。
「ん?どうやらあの中に頭がいたようじゃな。」
言われて見てみれば魔物が塵とかして消えていく。先程ぶつけた魔物の中に頭がいたようだ。
「‥‥‥それであとどのくらいいるんだ?」
魔物が次から次へと沸いて出る。先程からそれの繰り返しだ。
「そうじゃのう。あと‥‥‥‥‥6割かのう。」
その言葉に気が遠くなりそうだ。まだ6割、ポジティブな人はもう6割と言うのであろうが俺はそう思えない。
「‥‥‥‥面倒じゃのう。」
正にその通りである。
またワラワラとわいてやって来る。
そして囲まれた。黒い魔物が大量である。
まだ【聖雷】が発動しているため襲っては来ないが、それでもこのままでいる訳にはいけない。
「‥‥‥ミレド、頭の場所は分かるか?」
「ん?分かるが、どうするんじゃ?」
手に雷を集中させる。そして、以前したように弓の形に変える。
「‥‥‥‥一気に片付ける。だから、場所を教えろ。」
「‥‥‥なるほどのう。しかし、おぬしだけでは負担も多かろう。じゃから、」
ミレドが弓に整形させた手に左手を重ねて来る。
「手伝うのじゃ」
すると、雷の弓が大きくなる。
そして雷の威力が増す。
「敵の位置は、此処じゃな。」
ミレドから【探知】で分かっている敵の位置が送られて来る。真っ赤に染まったイメージのマップの中に赤紫色の点が数十もある。
「分かっておると思うが、これは『大魔法』に分類される魔法じゃ。普通は数十人の魔法師が魔方陣を用いて魔法なのじゃ。じゃから、撃てるのは一発じゃ。一発で仕留めるぞ。」
ミレドから魔力が流れ込んで来る。それと同時に周りに魔方陣が形成される。魔物も活発に襲ってこようとするも、魔方陣内に入った瞬間に雷で塵へと変えられる。
「‥‥‥‥‥分かった。」
魔力を放出してミレドと同じ量の魔力を流す。
魔方陣に輝きが増して、弓に白い雷が纏う。
「‥‥‥‥‥行くぞ、ミレド。」
「‥‥‥‥うむ。」
重ねた手を上空へと掲げる。
「標的固定・魔力充填完了じゃな、何時でも良いぞ。」
雷がつがえた矢に集中していく。
そして、光り輝く矢となる。
「大魔法【鳴雷・終の矢 雷雨】発動!!」
矢を解き放つ。
パシュッ!という音と共に光の矢が空へと、
高く高く昇っていく。
空へ上がった矢が無数の矢に枝分かれする。
そして、無数の雷の矢となって真っ黒に染め上げている魔物へと降り注ぐ。
降り注がれ穿たれた魔物は黒焦げとなり、塵に変える。