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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2章 亜人連合国騒乱編
119/347

全てを守るために

  光の柱の中からワイトが次々と出て来る。

 一○○人は余裕で入るこの部屋が、その数に圧迫されて、狭く感じ始める。

  しかし、その数はまだまだ止まることなど知らないように生まれる。


 うううううううっ


  ワイトのうめき声がホール全体に反響する。

 その中でも一際巨大なワイト。

 黒服はワイトキングと呼んでいただろうか、ワイトキングは群がっていくワイト達の一番後方に陣取り動かない。

  まるで自らが動く必要がないかの如く、その巨体でポーア達側を見下ろしている。


「‥‥‥‥やるしかありません。このまま、

数が増え続ければ、いずれ‥‥‥‥。」


  溢れ出したワイト達は、後方に避難した人達の元に向かう筈だ。

 それだけは何としても避けなければならない。罪の無い人達が犠牲になるような事だけは起こってはならない。


  あの黒い服の男は、部屋から出ていったが、まだ体の震えが止まらない。


「姫様、ご命令を‥‥‥。」


  声に気付き振り返ると、腰の剣を引き抜き次の命令を待つ兵士達がいた。

  彼等も逃げ出したい筈だ。

 でも、彼等は逃げない。

 後ろに大事な人、守りたい者がいるからだ。

―――それは、わたくしも同じ。

 自分の死も有り得るというのに、それでも剣を抜き立ち向かう姿勢に入っている。


(わたくしも‥‥‥‥。)


  目を瞑ると皆の顔が浮かぶ。

 ミレドに、ネスク、そして、クーシェ。

  皆が懸命に侵略を食い止めている姿が、まるで見ているかの如く思い浮かぶ。


(こんなところで、わたくしだけ震え、逃げ出す訳には参りません。)


  目を見開き声を張る。


「今この場で、彼等の侵略を阻めるのは、わたくし達だけ!!ここを突破されれば、後ろへと避難した方々。

大切な方々の命を奪うに等しい行いです!!」


  友人、親、兄弟、恋人、子供、想い人。

 たくさんの人達の命が、今、この場で天秤にかけられている。


「無辜な民を守るため、大切な方々を守るため、ここで命を賭して死守します!!!」


  命令を発すると待ってましたと言わんばかりに雄叫びを上げて剣を突き上げる。


「我等に神木様の加護よ、あれ!!!」


「「「我等に神木様の加護よアレ!!!」」」


  号令を発すると、繰り返してその言葉を言う。そして、ワイトの軍団との戦いが始まる。


「愚かな‥‥‥」


  黒服の男がボソリと呟く。

  そして、ワイトキングを動かす。ワイトキングは、敵兵に目もくれずにまるで指示を聞くかのように魔力を使う。

  魔力を使うと光の柱が更に太くなる。

そして、量産されるワイトの数が倍になる。


  近付いてくるワイト達へと突撃して、ワイトとの全面戦争になる。その数は、既にワイトの方が多くなっているが、そんな物を今気にしても、どうにもならない。


ならば、こちらは数より質で越えるしかない。

  幸い今この場には将来有望な方々ばかりが集まっている。ネスク様やミレド様によると、彼等はその若さで剣筋も鋭く、また魔法による連携も取れる。それは、通路を防いだ時にわたくしも感じた。


「ЫОΓэфнчёЯЦЙЁξ ΞΔΘΣψЖЁηξπλδζ(光より生まれその輝きで全てを灰へ、根元たる源へと帰せ)」


  ドルイドの秘術の中で、

最も危険で、攻撃能力の高い魔法の呪文を詠む。―――魔力がスポンジのようにその魔法に吸われていく感覚に襲われる。

  この魔法は攻撃の代価として、魔力を異常に吸い取られる。


  呪文を読み終えると自分を中心に魔法陣が浮かび上がる。そして、発動する。


「【ёЫЙЁЯξ(ヘリアンテス)】」


  発動すると、魔方陣から無数の細い蔓が地面から伸びてくる。そして、空中で蔓が絡まり合っていき一つの植物の茎となる。

 更に大きく巨大化していき、蕾をつける。


  空気中の魔力がその蕾へと集まっていく。魔力が光り、まるで星のように煌めく。

  光り輝く魔力を吸い込んだ蕾が開く。薄暗い部屋を太陽の如く照らす巨大な向日葵の花がそこに咲く。


「灰塵と化しなさい!!発射(ファイア)!!!」


  向日葵の花に吸収した魔力を集中させて、密集させる。そして、発射。

 光の照射(レーザー)が兵士の数倍はいたワイト達の一部を凪ぎ払う。


  兵士の方が犠牲ならないように、ワイトキングの側にいるワイト一帯を焼き払うと、

ワイトの一部と二つある光の柱の一つが消滅した。

 しかし、ワイトキングには攻撃が一歩届かず、ダメージを与える事は出来なかった。


「まだです!!!魔力、再抽出開始!!!」

戦争の火蓋が切って落とされました。ポーア達は不利な状況化でどのように戦っていくのだろうか‥‥。

次回もお楽しみに。

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