表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2章 亜人連合国騒乱編
116/347

決着と安堵

遅くなりましたが、更新出来なかった分の二本目です。

 嵐の如く舞っていた風が根元を引き裂いた事で霧散し消える。


「なっ、我の最大の魔法を!?」


  魔法を引き裂いたその魔法のまま男の懐に潜る。男は驚愕のあまり反応が遅れる。


「‥‥‥‥終わりです。」


  そのまま炎の刃で切り裂く。

 しかし、男の口端が吊り上げる。


「我を潰すことなど出来ぬ。我は無造作にいるのだからな。」


  風となり、消える。

 そして周りを四人の男に囲まれる。

 それ以外はクーシェの攻撃と先程の魔法で全滅したようだ。


「優しい風よ、その風を刃と変え、我の敵を切り刻め」


「烈火の風よ、その熱の如く熱い風で全てを葬れ」


「風よ舞え、水を纏いてその刃を無き姿へとかせ」


「氷結を纏いし風よ、冷たきその刃で全てを凍らせ切り刻め」


  四人が一斉に詠唱し、四方向全てから魔法が発動する。

「【花嵐】」

  東の男から風の刃の嵐が迫る。先程と違い小規模であるがその分速さが増し一回の回転する事に刃の鋭さが増していく。


「【白南風】」

  南の男から灼熱の刃が放たれる。熱気をはらんだその刃は触れただけで皮膚が爛れそうな程である。


「【秋嵐】」

  西の男から見えない刃が放たれる。これは恐らくネスク様が使う【霞み】と同じ原理の魔法なのだろう。霧で刃を隠しその攻撃を悟られないようにする魔法。

  しかし、目で見えないため距離感覚が全くわからない。

「【(さら)いの風】」

  北の男から雪のような小さな刃を纏い舞う風が吹く。刃は冷たく切り裂いた傷口から凍らせて切り刻む。


  四方向から魔法が迫る。どの魔法も強力で素早い。そして、避けられない。どの方向に逃れても必ず一つの魔法に命中する。


「‥‥‥‥なら、全て振り払うまでです!!」


  残っている全ての魔力を両手に集中させる。

 握っていた右手の炎の刃が炎の球に再び姿を変え、左手にも同じ炎の球が現れる。


「【蒼炎の盾】」

  両手を合わせて合掌すると、炎がクーシェを包み込みクーシェの周りに展開する。


「「「「何、だと!!?」」」」

 

  蒼炎の壁が四方の攻撃を阻みクーシェに接触することを拒む。

  壁と攻撃が削り合う攻防を繰り広げる。


『回り回りて攻撃をいなせ!!!』


  クーシェが合掌した両手を擦り合わせて左右逆方向に捻る。すると、炎の壁が回転して攻撃の軌道をずらし、四方向へと飛び散る。

 東から北へ、北から西へ、西から南へ、南から東へと軌道をずらしその方向にいる男達に命中する。


「「「「ぐ、うおっ、あああああ!!!」」」」


  男達は、攻撃と悲鳴を最後に、

自ら放った魔法に呑まれて絶命する。


「はあ、‥‥はあ、‥‥はあ、‥‥はあ、」


  展開していた炎の壁が消滅。まだ体に生き物のような炎は纏っているが、魔力が尽きた事で風前の灯火のように弱まっている。


「くっ、そが!!!!!!」


  ぼろぼろになった男が迫る。

 手には天井に突き刺さっていたダガーが握られている。


「っ、はあああ!!!」


 ふらつく足取りで何とか振り返り、弱まった炎を拳に纏わせて顔面に叩き込む。


「うっ、ぐぎゃ!!」

  持っていたダガーと共に拳の炎で砕け散り顔面にめり込み、塞いだ入口へと吹っ飛ぶ。


  塞いだ瓦礫の砂にぶつかると、

男は衝撃と共に瓦礫が崩れ生き埋めとなる。

 そしてそのまま起き上がって来ることはなかった。


「‥‥‥はあ、はあ、‥‥‥‥はや、く‥‥‥‥ポーア、様の、元へ‥‥」


  ふらつく体を引きずりながら、塞いだ入口へと向かおうとするも、


 そこで地面に倒れた。


「‥‥‥ポーア、様‥‥‥‥。」


  意識がそこで途切れる。

 纏っていた炎も燻って残っていたが完全に鎮火した。背中にさっくりと傷口が出来て、そこから血が滴り徐々に血が床に溢れていく。

 男の最後の一撃はクーシェの背中を捉えていたようだ。

 戦いの傷跡と瀕死のクーシェだけを残す。



 ****

<ポーア>


 ーーーー‥‥‥ポーア、様ーーーーーー


「?」

  何か聞こえたような気がして振り返るも、そこには誰もいない。壁に付けられている松明の灯だけが点々と見えるだけである。

  クーシェ様に放り投げられた後、通路を通り外に出て魔法陣を書き、秘術【エキザカム】を使ったのである。


  通路は複雑な構造になっているため迷う人もいる。私も幼い頃に一度、その道を使い非常時の備えとして覚えさせられたが今はそんな事では間に合わない。【エキザカム】を使い、通路を一気に通り越す。


「どうか、間に合って下さい。」

  円陣を書き終え、祈るように思う。小型のナイフで指を切り、血を一滴落として呪文を唱えて待ち伏せされていそうな場所の手前まで飛んだのである。


(‥‥‥ここは右ですね。)

  記憶を頼りに廊下を突き進む。床を走るコツコツという音が反響して響き渡る。

 一本道を走ると、光が見え始める。この先は広い部屋となっており、もしもの際の臨時的な場所として作られている。そして、その先に繋がる回廊が外に通じる出口になっている。


  そして、一本道を抜ける。そこには、大勢の女、子供、老人、そして先導していた兵士の一部がいた。


「‥‥‥良かった。」

  少し安堵する。最悪の自体にはなっていないようだ。


「姫、様?」

  私に気付いた兵士の一人が近付いてくる。


「良かったです。皆様、ご無事で。」

  安堵感で思わず地面に腰を落としてしまう。


「ひ、姫様!?一体どうされたのですか?急におお座りになられて!?お召し物が汚れますが故、地に座るのはよろしゅうないかとご提案します!!」


「大丈夫です!!

皆様がご無事で安心しただけです。それよりも、こちらはどうなっているのでしょうか?」

  急に座った事で兵士の皆様がオロオロしたため、宥め現状がどうなっているのか聞いてみる。

すると、現状を報告してくれる。


 その報告を元に次に取るべき行動を決める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ