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守護者が織り成す幻叡郷  作者: 和兎
2章 亜人連合国騒乱編
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修復に向けて

一日ズレました。昨日の分を更新します。

 

  以前、ドルイドの人達の治療を行った洞窟へと足早に急ぐ。まだ、避難するこの辺りは火の手が届いたないようだ。

「‥‥‥‥‥‥」

  クーシェは目の前の光景に絶句する。

  人でごった返して洞窟の入口に入るどころかそこへ行き着くのもままならない状態である。

 皆、不安な表情をしている。


「クーシェ様こちらです!」

  ポーア様が前方で手を振っている。先程まで一緒にいた筈なのにいつの間にか洞窟の壁付近へと移動していた。その方向へ人混みを掻き分けながら進む。




  やっとポーア様の元にたどり着く。


「‥‥‥‥ここです。」

  洞窟より、西側にある入口も何もない壁に手を押す。すると、


 ガタンと岩の壁の一部が沈み、目の前に入口が現れる。

「これは‥‥‥」


「もしもの際の非常口です。では、中へ……」

  ポーア様の後に続き中に入ると、中は下へと繋がる階段があり、所々に松明が壁に付いている。


「外の皆様は大丈夫でしょうか。」


「兵士の方々が先導されておりますので、大丈夫でしょう。ここは秘密の抜け道になっておりますので‥‥‥。

 彼等はその道を使ってこの街の外へと一時的に逃れる事が出来ると思います。」

  永遠とも思える程の続く階段を下りながら、答えてくれる。


「ポーア様、それで私達は一体どこへ?」

  ここについてから疑問に思ったことを聞いてみる。住民のように外へ逃げるのであれば、わざわざこの隠し通路を使わず、一緒にいればいいだけだ。

  ‥‥‥‥ということは、別の目的があってここへ来たということだ。

「私達は、『神木様の根』を取りに参ります。」

  階段が終わり岩の壁で覆われ薄暗い道が続いている。

 その道がしばらく続く。


「『神木様の根』とは何ですか?」

 

  ポーア様から飛び出した用語について聞いてみる。

「『神木様の根』は結界の媒介となる物です。

 それにより、まずは街の結界を戻します。」


 二人の歩く音が反響して響く。

  一本道が終わると、上部の時のようにホールとなっており、頭上からは大きな木の根がホール全体を覆うように広がっている。

  中心には一際大きな木の根が地中に突き刺さっている。どうやらこれが『神木様の根』のようだ。

 *****


  濃い霧の中で雷が飛び散る。

 視界を遮られた魔物が右往左往する中で【探知】を発動させながら狩っていく。


  魔物は確実に首を狩るか、戦闘不能にさせないと此方が逆に狩られてしまう。


  飛び散る魔物の血を浴びながら、光速で動く。

 動くと鼻が効く魔物が容赦なく八方から襲いかかってくる。


「【朧月・瞬雷】」

 その場に立ち止まり、刀を地面に刺して発動させる。

  発動すると、雷が頭上から落ちたかのようにネスクの周りに電撃が発せられる。

  飛び掛かってきた魔物が瞬時に電撃で黒焦げになる。


  刺した刀を抜き取り、瞬時に後ろへ動く。

  すると、先程自分がいた所の地面が抉れる。何か鋭い物で抉ったかのような跡が残される。


(‥‥‥‥何かが擦れるような音がしたな。)

  戦闘で研ぎ澄まされた五感にその音が聞こえ、不意に嫌な感じがして、咄嗟に後ろに下がったのだ。その後、直ぐに地面が抉れた。


  その事を踏まえて目を閉じ、空気中の魔力の流れと聴覚に集中力を高める。

「‥‥‥‥‥」







 シュッ!!!


  再び何かが擦れる音が聞こえる。

 音が聞こえたと同時に【纏・雷】の魔力を足に集中させて、上空に飛ぶ。

  再び元いた場所が砂煙を上げて抉ったように削れる。上空へ逃れると共に刀を鞘に納める。


「【朧月・霧雨(きりさめ)の刃】」

  納めた刀を音の源に向かって勢いよく抜く。

 すると、霧に紛れ音のしない水の刃が素早い速さで飛んでいき、元凶を切り裂く。


  目を凝らすと、大きなコウモリのような魔物が翼を切り裂かれて落ちていく姿が霧で掠れて見えにくいが目に入る。

  外見通り超音波が目の代わりをはたし、それによって俺の位置を特定していたようだ。


 ギ、ギギャ!!!


「!!」

  最後の悪あがきがてら放ったであろうコウモリの魔物の超高音波をモロに受けてしまう。


「う、ぐっ。」

  何とか地面に着地したものの、頭がぐらつく。魔力枯渇の際に似ているが、違う。

 その上、吐き気がする。


(これは‥‥‥‥‥魔力酔い‥‥‥か。)


  恐らく先程の攻撃には特殊な魔力の波が載せられていたのだろう。戦闘で研ぎ澄まされた五感が魔力の流れに過敏になっている所を、

まんまとつかれてしまった。

  人間が乗り物に乗ると、乗り物酔いにあうように、魔力の波にあてられて人生初の魔力酔いになってしまった。


「ぐっ、この状況‥‥‥‥まずい。」

  刀を地面に突き刺して何とか体を起こそうとするが思うように力が入らない。

  ここは戦場だ。ということは、


 ギャギャギャギャ!!!!!


  当然動けない相手を見逃すような者、もとい魔物はいない。弱い者から先に食われるのだ。

  ネスクの弱まった所を嗅覚が鋭い魔物の群れが再び襲う。

結界の修復に向けて動くクーシェとポーア、そしてネスクはピンチ!!

この続きは次回に続きます。次回の更新は予定通り明日するつもりです。

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