食後のお茶会
書くペースを落としたいと思います。
次回から二日に一回のペースに変更したいと思います。
「ポーアか、久しいのう。こんな時間にどうしたのじゃ?‥‥‥‥政の方は良いのか?」
ポーアとは初日の怪我人の治療以降、
会えていなかった。
何やら、王である兄の手伝いとして、あちこちに駆り出されていたようだ。
「‥‥‥ええ、やっと抜けさせて頂けました。お兄様は人使いが荒いのですわ。‥‥‥はあ、こちらに来ますと皆様の顔が見れて少し落ち着きます。」
顔色からして恐らくあまり寝ていないのであろう。顔色がいつもより青白く、肌が少し荒れているように思える。
「まあ、ひとまず座って話そうではないか。
っと、その前にささっと片付けるかのう。
クーシェ、食器洗いは妾がする、おぬしはポーアにアレを出してあげるのじゃ。」
「分かりました。」
クーシェに指示を出して、自分は食器を片付けていく。鍛え上げた腕で食器を洗っていくため、目に見えない速さでどんどん山積みだった皿がキレイになっていく。
「‥‥‥‥‥凄いですね。」
ポーアが椅子を引き、座ってミレドの高速芸を目の当たりにして、感想を漏らす。
ポーアの前にクーシェが一セットのカップと小皿を出す。
「どうぞ、疲れに良く効くと思います。」
「これは、何でしょう?」
「ハーブティーという物だそうです。ハーブという植物を煎じた飲み物です。
ネスク様から教えて頂きました。」
ポーアがその飲み物を観察して一口、
「‥‥‥‥良い香り、後味がスッとしていて美味しいです。」
「お口に合って良かったです。」
クーシェも自身のカップを飲む。
「「‥‥‥はあ」」
夕食後のお茶会が始まる。
豪華とまではいかないが、大切な者との憩いの時間が流れる。
「ところでネスク様はいらっしゃらないのですか?」
「ここ数日の疲れが溜まっているようで、夕食後、直ぐに部屋に戻られて寝てしまわれました。今日も兵士の方々との訓練に駆り出されておりました。」
「あっ、それはわたくしも聞き及んでおります!上層部もその事を聞いて驚愕のあまりに失神する者もいたみたいです。
何でも、グラスに一撃入れたとか。」
「はいっ!その時のネスク様は格好良く、素晴らしかったです!!」
「良いですね。わたくしもその時の光景をこの目で見てみたかったです。」
ネスクの事で話が弾む。クーシェとポーア、お互いネスクに助けられた身のため、通じ合う所があるようだ。
「それで、ですね。ネスク様の魔力を添わせた一撃を止めたグラス団長の"武技"というのは何でしょうか?」
「グラスの武技は、『倍加の型』という物です。」
「倍、加の、型ですか?どういった物なのでしょうか?」
「『倍加の型』は、相手の力量によって、一時的に自身の力に相手の力量分の力を上乗せしていくという物です。」
「やはりそうであったか。」
食器洗いを終えたミレドがクーシェとポーアに合流する。空いている椅子に座る。
すると、クーシェがミレドにハーブティーを出す。
「ご存知だったのですか!?ミレド様!」
ポーアが驚いている。彼の能力を知っている者はそれほどの多くないようだ。
まあ、普通は隠すだろうな。敵相手に自身の手の内を明かすという事は危険なのだから。
「昔、おったのじゃ。その武技を保有しておった者がのう。」
「そうでしたか。その方はどのような方だったのですか?」
「そうじゃのう。‥‥‥"バカ"じゃったのう。」
そういうミレドは拳をぎゅっと握りしめる。
少し怒気を含んでいる。
「バカ、‥‥‥ですか?」
ポーアが呆けた言葉を返す。
「うむ、誰かれ構わず戦いを挑むバカじゃった。その癖、その型のせいで、負けた事がないのじゃ。本当に"バカ"の一言に尽きる。
妾もそいつに挑まれた事があるんじゃが、
一蹴りしてやったわ。
すると、勝てるまで何度もしつこい程に挑んできてのう。‥‥‥‥大変じゃった。」
その頃を思いだし天井を見上げる。
その頃の事を思い出しているのかミレドの目が死んでいる。察するにそれ程であったのであろうとポーアは思う。
「そ、そうでしたか。ミレド様も大変だったのですね。」
「ミレド様、その倍加の型という物もっと詳しく教えて下さい!どうして、その型でネスク様の一撃を防げたのか、まだ分かりません。」
クーシェが聞く。
クーシェの好奇心が収まりきらないようで身を乗り出して鼻息を荒くしているりそして、目が爛々と輝く。
「倍加の型は、その構えをとる事で相手の攻撃による力を自身の力に上乗せする型なのじゃ。つまり、あの時ネスクは魔力を木刀に載せていた。更に瞬間的な高速の力も加わっておった。それがあの型でグラスに上乗せされてネスクの剣筋を防いだということじゃな。」
「そうだったのですか。」
どうやら納得出来たようだ。言葉を教えた時もそうだが、クーシェは飲み込みが早い。
一、二度言葉を言うだけで直ぐに使えるようになったのだ。
「うむ、更にいうのであれば、グラスはよく見ておる。それは、これまでの戦いの中での勘というものじゃな。それがなければネスクの刹那の攻撃を防ぐことなど出来なんだであろうな。」
「ふぇー、凄い方だったのですね。」
クーシェが感心の声を出す。流石は戦闘民族のだけあり、話を聞き終えても尚、興味をそそるらしく、尻尾をぶんぶん振っている。
異世界女子トークという物を書いてみました。女子トークという割りに中々の物騒な話をしていると思います。(笑)