朝の修行その2 ドルイドの国にて
昨日の更新が出来なくてすみません。
更新します。
ミレドとネスクは、会議が行われた場所。
―――の近くの広場でいつもの修行をしていた。
「はぁっ!!」
「うぬっ!!」
ネスクが打ち込んだ木刀の剣筋を木刀の腹を使って受け止める。
「この剣の重さ。前より成長しておるのう。」
「これだけ毎日のように打ち合ってれば、成長もする、よっ!」
木刀同士の競り合いを止めて後ろへ退く。
ミレドがそのまま攻めの姿勢で懐に潜り込もうと突っ込んでくる。
木刀に魔力を付与する。
「はあっ!」
「ふっ!!」
左から迫るミレドの木刀を魔力付与させた木刀で防ぎ、
そのまま流れるようにミレドの背後へと回る。
「はっ!!」
そのまま。
ミレドに一撃入れようとするも下へと沈み込む。
「あら、よっ!!」
足で蹴り上がる。
透明な膜が彼女の足に纏っている。自分と同じように魔力を纏わせて蹴りあげたようだ。
木刀が手から弾き飛ばされて、くるくると飛んでいく。
そのままミレドは蹴った勢いで体勢を起こして
木刀で一撃入れてくる。
「これで、しまい、じゃっ!!」
魔力を纏った一撃だ。
普通に食らえば意識がぶっ飛ぶだろう。
「っ!」
体を反らして避けるも風圧で服の一部が切れる。後退してミレドの間合いから離れる。
三ヶ月前の自分であれば、先程の攻撃でやられていた。
普通であれば、勝負アリであるが、
(相変わらず容赦ないな....。けど、これで終わる程ヤワじゃないよ。)
そのまま、攻めの姿勢で踏み込み、ミレドの間合いへと入る。再び木刀が襲ってくるも、魔力を添わせた掌で弾く。
今添わせているこれは、木刀でなく真刀をも弾くことが可能。
空気が魔力(木刀)と魔力(掌)で強烈な突風が発生する。
「ふうっ!!」
右から木刀が迫る。右の掌で弾こうとする。
しかし、右からの攻撃が触れる手前で書き消えて、左から衝撃が走る。
「ぐっ!」
衝撃で左に吹き飛ばされ、その勢いに乗って木の家の壁にぶつかりそうになる。
「まだ、だっ!」
いつの間にか現れた透明な長い鎖のような物を引っ張る。
すると、グイッ!と飛んで来た方向に引っ張られる。
鎖は飛んでいった木刀に繋がれており、木刀との対角線上ミレドがいる。
そのままの勢いで足から突撃する。
「うぐッ‥‥‥。」
ミレドが木刀を盾にして勢いを殺して受け止める。
地面を踏ん張った所が抉れる。
木刀を蹴って回転しながら地面に着地。
再びグイッと引っ張ると引っ張った勢いで木刀が手元まで飛んで戻る。
「くあっ!!流石じゃのう。今の一撃は妾も手がビリビリと痛いのじゃ。」
手をブンブン振っている。それ程しかダメージが入っていないようだ。
「それはお互い様だ。
さっきの右から攻撃は痛かった。
まだ、動くのがしんどいくらいだ。」
まだ首に入った一撃はまだズキズキとして痛い。
正直、またアレを喰らうと恐らく首がお釈迦様に召し上がられてしまう。
(アレはヤバい、マジで。一瞬意識が飛んだ。)
「光魔法で目の錯覚を起こさせるように発動させたのじゃが、‥‥‥うぬ、やはりまだ少し調整が必要じゃのう。」
「アレ、光魔法だったのか。」
首に触れる直前に消えたその技を思い出す。
一瞬だったため、魔法に見えなかった。
「うむ、それにしてもまさか吹っ飛ばした木刀に魔力を鎖にして繋げておるとは思わなかったのう。気づかなかったのじゃ。」
「クーお墨付きの見えない魔力の繋がりだからな。」
二日前に行った治療の際の魔力の糸は感覚の鋭いクーシェしか見えていなかったようだ。
それを参考に鎖のように魔力の繋がりを木刀に繋げておいたのだ。
それはミレドも例外ではないようだ。
今の感じだと、
―――初手は気付いていなかったようだ。
しかし、もう通じないようだ。
また新しい手を考える必要があるようだ。
「‥‥‥さて、体も温もったことじゃし、もう一戦するかのう。」
ミレドが構え出す。
(もうするのかよ……。)
内心でツッコミを入れる。
「ミレド、もう一戦するのもいいが、この人達の事、忘れてないか?」
目線を送ってミレドにその人達の存在思い出させる。トレーニング用の服に着ている兵士の方々がそこにいる。
「おおっ!忘れておったのじゃ!」
ポンッとミレドの手から良い音が鳴る。
皆あんぐりと口を開いて顎が外れそうになっている。そして、一部の人は顔を青くしている。
何故、兵士の人達がここにいるかというと、
ミレドがやらかした西のゲートの件にある。
あれだけ兵士の人達が苦労して死守しながら、倒した魔物を一日で突破してしまったため。
ここの騎士団長こと、"グラス・レルムル"という人にミレドが頼まれたためである。
―――ようは兵士の人達をもっと鍛えて使えるようにしてほしいようだ。
(はあ、兵士の人達も可哀想に。ミレド、容赦ないからな)
修行の日々の事を思い出す。
蹴られて、吹っ飛ばされて、木刀で叩きのめされてボロ雑巾のようになる日々。
見えない遠くの空を見上げながら、ネスクは思う。―――彼らが生きていられることを。
ネスクのその目には、
光が灯ってなく、死んだ魚のような目をしていた。
パワーアップした朝の修行です。
普通の人ならば付いていけない怪物達の日常です。(笑)
毎日こんな事してたら1日に腕の1、2回はポックリ逝きそうです。