表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

邂逅


まずは明日の王族との面会。


ネット小説が参考になるかな?


王族や家臣を信用させて、王太子を籠絡させる。

小説のヒロイン、もしくは悪役令嬢のように、王太子の婚約者におさまりたいところ。

婚約者に収まれば、ある程度の権力を握ることができる。

それに、私を止めようとする高潔なご令嬢が見つかるかもしれない。


でもそれをするには、まず情報がいる。

その情報をどう集めるかだけど……


ゆるい風が頬を撫でて、髪を揺らす。

心地いい風に頬を緩め……ハタっと気づいた。


……あれ?

窓、開けてないよね?


ソファからサッと立ち上がり、少しずつ扉に向かって後退りする。


「こんばんは、お嬢さん。いい夜だね。」


窓際に立っていたのは、1人の男性。

全身真っ黒な服で、顔を半分隠している。

いかにも、怪しい侵入者だ。


「……誰?」


「俺はファルクス。暗殺一族『ノア』の長だ。」


「私を暗殺しにきた……わけではなさそうだけど、何の用?」


「一目惚れしたんだ。」


……は?


あり得ないセリフに固まっていると、彼――ファルクスは、一瞬で距離を詰めてきた。

両手で頬を包め込まれ、撫でられる感触に、我にかえる。


「……ひ、一目惚れ?」


「あぁ……その恨みと憎しみ、あらゆる負の感情を混ぜた混沌とした闇の目。美しい……」


うっそりと微笑みながら、ファルクスは私の目を覗き込んでくる。

私の目より、よっぽど混沌とした闇の目をしながら。


ファルクスは、私の目尻を撫でながら、うっとりとため息をつく。


「この美しい目に惚れたんだ。くり抜こうかと思ったけど、君の激情を含めて欲しくなっちゃってね。ただの目には用はないから。」


優しそうな手つきで、不穏なセリフを吐く。

きっと今まで、彼が望んだことは全て叶ってきたのだろう。

今回も叶うことを疑っていない。


「さあ、一緒に行こう?ここに用はないだろう?」


「それは困るわ。」


私が拒絶すると、雰囲気がガラリと変わった。

冷たく鋭くて、まるで針の筵にいるみたい。


「拒否しているのではないの。今は行けないと言うだけよ。やることがあるの。」


空気の圧が緩んだ。


「ふーん。話して。」


「私は、私をこの世界に連れてきた奴も、呼んだ奴らも憎いの。私が奪われたように、あいつらから奪ってやりたいの。それが終わるまでは、一緒に行けない。」


「終わったらいいってこと?」


「ええ。抜け殻になった私でもいいのなら。」


ファルクスは視線を下に向けて、しばし考え込んでいる。


「いいよ。君の闇は、この世界にいる限り消えないだろうし。少しなら待ってあげる。この国がどうなるか面白そうだ。」


彼の言葉に、ひとまずホッとした。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ