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偉い人に会う時は

 恋三と結城が第一議員会館を走って出て来る。


 結城「おい、桃井! タクシーを捕まえろ」

 恋三「ハイ!」


恋三が右手を挙げタクシーを停める。

二人が乗り込むと結城は運転手に、


 結城「奥田さん、経産省ッ! 今日は半日付き合ってもらうよ」


結城は運転手に名刺を渡す。

運転手は渡された名刺を見て、


 奥田「・・・秘書サンですか」


恋三は小声で、


 恋三「知ってる人ですか?」

 結城「メーターの上を見ろ」

 恋三「・・・あ~あ、さすがですね」


結城は恋三を蔑(サゲス)んだ目で睨(ニラ)む。


タクシーが経産省の前に止まる。

経産省の正面玄関。

多くの人が出入りしている。


 結城「奥田さん。ここで少し待っててくれる」

 奥田「ハイ。頑張って下さい」

 結城「アイヨ~!」


結城の調子の良い返事。


結城と恋三は経産省内の廊下を歩走(ホバシ)りに歩いて行く。

結城は恋三の靴を見て、


 結城「おい、桃井。待てッ! 」

 恋三「ハイ」

 結城「オマエ、革靴を履(ハ)くのは初めてか?」

 恋三「え? まあ、いつもはスニーカーですから」

 結城「あのな、革靴と云うのは磨くもんだ」

 恋三「え? あッ、ハイ」


恋三は立ち止まり、しゃがんでポケットからテッシュペパーを取り出し靴を拭く。


 結城「それと、そのネクタイ! 背広着るのは初めてか?」

 恋三「え? 着ないです」

 結城「着ない? 曲がってるぞ」

 恋三「何がですか?」

 結城「ネクタイ!

 恋三「あッ!」


ガラス窓に自分の姿を映しネクタイを直す。

結城はそれを見て呆れた顔で、


 結城「アノナ~あ、これから会う『ヤツ』は偉い人なんだぞ。お見合いと同じだ。ビシとしろ、ビシと」

 恋三「ハイ。すいません」


暫くして経産省の正門を結城と恋三が走って出て来る。

二人は開いたドアーのタクシーに飛び込む。


 結城「奥田さん、次、財務省!」

 奥田「ザイムショウッ! はい」


結城は隣りに座る恋三を睨(ニラ)み、


 結城「おい」

 恋三「ハイ」

 結城「受付嬢の前でニヤニヤしてるんじやない! 副大臣の秘書だぞ」

 恋三「え? あッ、すいません」


恋三は結城に奇妙な事を質問する。


 恋三「あの、結城さん・・・」

 結城「何だ」

 恋三「先ほど経産省の日高課長補佐の話しの中で『デンジレン』て言ってましたね。アレ、何の事ですか」

 結城「電事連? 電気事業連合会だ。電気屋の一番偉い連中が居る所だ。この電事連は特に大切な所だから覚えて置け」

 恋三「はい」

 結城「・・・この辺を揺らすと『葉っぱ』は落ちて来る」

 恋三「ハッパ?」


結城は恋三を睨んで、


 結城「葉っぱって言ったら分かるだろう」 

 恋三「ひょっとして、『アレ』ですか?」

 結城「アレだ」

                         続く

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