表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/374

閑話4 春休み

用語説明w


ロン

黒髪ノーマンの男性。トウデン大学体育学部でラーズの同期。形意拳をやっていたが、ゴドー先輩の強さに感化されて総合空手部に入部。熱い性格で、ラーズとよくつるんでいる


ゴドー

鬼のゴドーの異名を持つ獣人男性で空手部の先輩。ケイト先輩の一年先輩だったが、留年して同期になった。好戦的な性格で、体格とセンスにも優れる。その実力はプロの格闘家を並み


大学の春休みは長い

後期の試験が終われば、そのまま休みに突入する



「はぁ…はぁ…」


「く…」



「おらっ、見合ってんじゃねーよ! 手を出せ!」


俺とロンが動きを止めると、ゴドー先輩の檄が飛ぶ



「しっ…!」


ジャブ



「単発で終わるな!」



ロンが俺のパンチをガードし、そのまま間合いを詰める

フックからの中段、崩拳


ボディをガードするが、かなり痛い



そのまま後退ると、ロンの追撃

ストレートからの、左フックと右ストレート



「…っ!!」


くそっ、このままじゃ押し切られる

ロンのラッシュ、痛いし強いんだよ!



俺はガードを下げないように意識して、強めのロー!


ロンの動きが止まったところで、横に動いて、もう一度ロー!



最近、分かってきたこと


人の意識は、自分も含めて()()()()()()



ロンは、パンチのラッシュを仕掛けた


それは、ロンの意識が手に集中していたということ


だから、俺のローへの反応が遅れた



上下の打ち分け、パンチからキック


対角コンビネーションとも呼ばれるが、左のパンチには右のロー、左の蹴りから右ストレートなど


人体の対角線からのコンビネーションは、意識が上下左右に振られるため反応が遅れる



ドドッ…!


「くっ…!」



ロンの、右ストレートの二連発



ズドッ!


「ぐはっ……」



そこから、踏み込まれての左の崩拳



右のまっすぐから、左のボディ

これも、パンチの対角コンビネーションだ


俺は、たまらず後ろを向き、ロンに手を突き出す


これは、攻撃でも技でもない


もう無理、攻撃しないでという降参の意思表示だ



ボディが来ると思わず、衝撃が突き抜けた


意識していない場所に攻撃をぶち込む


これは、KOの成功率を爆上げする


逆に、やられればこの通りだ



「どうした、ラーズ」

ロンが拳を降ろして言う


「ボディ入った…。くぅ…」


一発で動けなくなる

ボディが効いた時は、マジで痛いし苦しい



「ロンの右ストレートからの崩拳はいいな。だが、一歩踏み込む分、相手を下がらせないと入れられねーぞ」


「はい。でも、絶対に下がらせます」



ロンのやっていた武術、形意拳は、直線的な動きによる攻撃力の高い技が多い

その分、相手を下がらせやすい


最近は、ボクシングやキックボクシングのストレートやフックなど、技も増えてきており、その分、得意技の崩拳へとつなぐコンビネーションが増えてきた



「ラーズは、アレだな。場慣れが足りねー」


「ば、場慣れですか…」


「スパーになった途端、力が入りすぎだ。だから、すぐに息が上がる」


「だって、怖いんですよ」


「だから、慣れだって。それに、お前。攻撃の時に息止めてるだろ」


「えっ、そうですか?」


「それも癖になる前に直せ。細くでいいから息はし続けねーと、もたないぞ」


「はい…」



人とは弱いもの

全力で動けば、すぐに呼吸が荒くなり、疲労が溜まって動けなくなる


だからこそペース配分が必要であり、特に競技ともなれば、戦い続けるための意識や技術が必要になる


ボクシングなんて、チャンピオンレベルの試合だと三分の十二ラウンドとかある

合計で三十六分間だ


インターバルがあるからって、それだけの時間を殴り合える人間がどれだけいるのか

三十分ジョギングするのだって疲れるのに、断続的な無呼吸運動を三十分以上なんて普通は出来ない


スタミナをつけることは、レベルが上がれば必須なのだ



「よし、次はラーズと俺だ」


「えっ、まだやるんですか!?」


「お前は場慣れが足りねーって言ってんだろ」


「はい…」



ゴドー先輩と俺が、道場で向かい合う



ドゴッ!


ドガッ ドガッ



ズドッ!


ドシッ…



「ま、待って、ゴドー先輩!」


「何だ」


「体格が違いすぎて、全然入れません」


リーチが違いすぎて、俺の手の届かないところから一方的にぶん殴られる


「お前の位置取りが悪いんだよ。正面にいるな」


「正面…」


「それと、ジャブやローを出せ。牽制が無いから、相手にいくらでも入れるんだ」


「はい」



ドガッ!


ボコッ!



「ま、待って、ゴドー先輩!」


「うるせーな、何だよ」


「全然、無理です」


「イメージしろ。攻撃されたら、これを返すとかよ」


「イメージ…」


「攻撃が来たら、追撃を止めろ。連続で相手の攻撃を許すな」


「…」


え、難しくね?


「難しく考えるな。まずは、ジャブかロー、左ミドルを返せ」


「は、はい」



ドンッ!


ドスッ


バシッ バシッ



「いや、無理ー!」


「ぐだぐだ言ってねーで慣れろ。言われてすぐできるか」



俺達は、息も切らしていないゴドー先輩にボコボコにされた

しかも、ちゃんと怪我をしないように




・・・・・・




「お疲れ…」

「おう」


俺とロンは、帰り際に居酒屋へ

腹が減って死にそうだ…



「居酒屋で飯を頼むって…」


「練習後には、酒よりも飯だよ」


ロンとビールで乾杯

だが、頼んだつまみは白米とたこわさ


白米にほじほじと穴をあけ、そこにたこわさを入れる

オリジナルのたこわさご飯が俺のお気に入りだ


「うめぇ…」


「だろ? 練習後って、腹が減りすぎて、まずは何か腹に入れたくなる」


居酒屋のおつまみはご飯も進むもんだ



「そういや、いいのか? 家に妹さんいるのに飲みに来ちまって」


「大丈夫。フィーナは実家に帰ってるから」


フィーナは、春休みに入ると龍神皇国の実家に帰った

セフィ姉のいる騎士団の訓練に参加するとか言っていたな



「ラーズは帰らないのか?」


「うーん、悩んだんだけどさ。部活もあるし、バイトも来てくれって言うから」


「バイトか。ゴーストハンターって何をするんだ?」


「雑用って感じ。俺には霊感もないし、悪霊も見えないからさ」


「そっか。いろんな仕事があるんだな」


悪霊って、儀式やお札を使って倒すイメージだった

だが、ゴーストハンターが扱う悪霊ってのは、思ったよりも物理的な力(直接攻撃)が必要で、体力勝負

予想以上に現場を走り回る仕事だった


「ロン、そういやバイトはどうなんだよ。ケイト先輩の所」


ロンはケイト先輩のコンビニでバイトを始めた

羨ましい…


「まだ見習いだから探り探りだな。ケイト先輩とは、何回かすれ違った程度だ」


「そっか、シフトがあるもんな」


俺達は、二杯目のジョッキを頼む



「そういや、ゴドー先輩って凄すぎないか?」

ロンが言う


「分かってたことなんだけどなぁ…」


ゴドー先輩は、俺とロンを相手にスパーをし、その後は別のジムに出稽古に行った


俺達はヘロヘロになってるってのに…

ゴドー先輩の化け物っぷりは、いつ見ても凄い



「俺達じゃ相手にならないのが悔しいぜ」


「そうだなぁ」


「ゴドー先輩、何でプロの試合に出ないんだろうな」


「あの人、テレビでやってるKAWANAKAJIMAに出れるんだろ? 凄くね?」


ゴドー先輩は、東玉流の長い長いトーナメント、東斗杯を勝ち抜いて優勝している

それは、つまり、東玉流のプロの試合に出れるということ


東玉流は規模が大きい


総合格闘技(MMA)ルールと東玉流ルールは二大格闘技ルールと呼ばれており、お互いのルールのイベントで選手交換や交流戦も盛んに行なわれている


そして、チャンピオンともなれば、高額のファイトマネーやスポンサーがつき、有名人にもなれるのだ



「俺は思うんだ」


珍しく、ロンが少し酔っている


「何が?」


「俺達って、すげー恵まれている。プロレベルのゴドー先輩、シグノイアの柔道強化選手であるケイト先輩。こんな人たちから個人レッスンに近い稽古をしてもらってる」


「…確かに」


「だから、強くならなくちゃいけない」


「確かに!」


「そして、ケイト先輩と付き合う」


「た、確かに!」


「やるぞ、ラーズ!」


「おう、ロン!」



意味の分からない盛り上がり

いつの間にか酔っぱらっていた俺達は、フラフラと夜道を帰る


練習をやり切った後の飯や酒って、何でこんなに旨いんだろうか



ロンのバイト 三章 第三十話 空手2



来週くらいに四章始める予定です!

その間に、一章の最後に閑話を挿入しますので、一読下さいませ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ