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三章 第十一話 工事現場が除霊現場3

用語説明w


ホフマン

クサナギ霊障警備の社員、魚人の男性で元ゲリラ兵の経歴を持つバウンティハンター。ゴツい体格と風貌で、見た目は完全にあっちの人。銃火器のプロでバウンティハンターの資格を持つ


掘り返された工事現場の最奥

そこには、一本の木が生えていた


葉は一枚も無い

一見すると枯れ木のようにも見える


だが、おどろおどろしい雰囲気が溢れている

見た目はただが枯れ木だが、俺の何かが普通ではないと感じている


騎士の力と共に失われた、俺の第七感、第八感の作用だろうか


ちなみに第七感とは、魔導法学の三大基本作用力である氣力、霊力、精力(じんりょく)を感じる感覚

第八感とは、三大元応力である魔力、輪力、闘力を感じる感覚のこと


レイコ社長が霊体や霊力を感知する能力は、第七感によるものだ



「ピッキ、MEBであの木を叩き折るよ!」


「待ってでござる、レイコ社長。あの工事用ゴーレムの馬力が強くて、MEBのモーターが軋んでる。これ以上は危ないでござるよ」


「えー…、あの木、瘴気が漏れてるから、多分強い。馬力が無いと危ないよ」


「それなら、あれを使っちゃいましょ。除霊も終わってるし。ピッキ、運転できるでしょ」

プリヤさんが言う


あれとは、工事現場に置かれているショベルカーだ


「除霊って何ですか?」


「悪霊が取り憑いて、勝手に動き出していたのよ。ラーズたちがゴーレムの相手をしている間に、レイコ社長が除霊したわ」


「そ、そうだったんですね…」


「行けるでござるよ!」


ピッキさんがショベルカーのアームを上げながら、キャタピラーを動かす



「あの人、何でも運転できるんですね」


「ゲーム感覚で、マシンやコンピューターはすぐに使えるようになる。その代わりに、生きた人間とのコミュニケーション能力を失ったがな」


そう言って、ビアンカさんが俺に棒のようなものを渡してくる


「これは?」


「レスキューアックスだ」


ビアンカさんに渡されたものは、小さめの斧だった

レスキューアックスとは、斧とピック、持ち手の下にバールの機能がついた多機能な斧のことだ


「私たちで、あの木の枝を叩き折っていく」


「わ、分かりました」


アウトドア用だが、ないよりはマシだ



ブイィィィィン!


凄い音をさせながら、ホフマンさんがチェーンソーを構える



「除霊って、思ったよりも物理攻撃が多いですよね」


「霊札を素直に貼らせてくれればいいんだがな。物体や生物に取り憑いて、悪霊たちも物理攻撃を仕掛けてくる以上、こっちも相応の火力が必要になるさ」


「はい」



最初に、ピッキさんがショベルカーで突っ込む

ショベルを伸ばし、槍のように幹に突き刺す



ガガガッ… ドガァッ!!


鉄のショベルが幹を抉り、木片が散らばる



「オォォォーーーーーン!」


耳障りな、呪詛のようにも聞こえる雄叫び



太い枝が振り回され、ショベルカーや地面に叩きつけられる



ギャギャガガガッ!


ガキッ!

ガッ!



ホフマンさんのチェーンソー、ビアンカさんのククリナイフ、俺のレスキューアックスで、その枝を切る、斬る、キル!



続けて、レイコ社長が枝を祓い棒で殴りつける



「ウオオォォォーーーーーン!」


呪いの木の苦しむ声が響く



あれで殴るんだ…

凄いな、めちゃくちゃ効いてる!


あの払い棒は、霊的構造を持つ武器

霊剣などと同じ、霊質を備えた武器であり、物理攻撃と共に霊質への攻撃も行える


やはり、霊剣などの霊質を備えた武器は、悪霊などの霊質をメインとした存在には強い


今回は、霊力を込めて振り撒かれる瘴気を押し戻しているのだ



ゴッ!

ドガッ!


バキィッ!


「ちっ、キリがねぇ!」



ホフマンさんが言う通り、太い幹は削れはすれど、まだまだ折るまでにはいかない

呪いの木は何度も枝を振り回し、レイコ社長やホフマンさんを近づけさせないため、大ダメージも狙えない



ドゴォ!

ガッ!

ズドッ!


ピッキさんがショベルを振り上げて、幹に叩きつけている



「ピッキ、一回ストップだ! 作戦を変えるぞ」

ホフマンさんがマイクで呼ぶ


「無念でござる」


ピッキさんがショベルカーをバックさせる

呪いの木は、植物だけあって歩いて追って来ることはないようだ



「どうするんですか?」


「ラーズ、これをあの木の高い所から撒いてくれ」


「これって…、ガソリン?」


「そうだ。燃やしてやりゃあ、話が早いからな」

ホフマンさんがガソリンの携行缶を投げてくる


「で、でも、高い所ってどうやって?」


ビアンカさんのホバーブーツでも、さすがに空は跳べない


「ピッキ、ショベルカーでラーズを持ち上げろ。できるか?」


「お安い御用でござるよ」



そう言うと、ピッキさんはショベルを下げる


「ショベルの背に乗るでござる」


「わ、分かりました」



俺はショベルカーのショベルの背に乗る

すると、ピッキさんがアームを上に上げていく


「こ、怖っ、思ったよりも高い!」


「しっかりと捕まるでござるよ。攻撃が来たら、アームは動かさずにキャタピラーでバックして避けるでござるからな!」



高さ三メートルくらいの所までアームを上げ、その先端のショベルに掴まっている俺

そこでガソリンの携行缶を持つ


「ラーズ、頼んだぞ!」


ビアンカさんとホフマンさんが、呪いの木の根元を走る

攻撃を引き付けるつもりのようだ



ガガガガ…


「うっ、わっ…」



ショベルカーが呪いの木の手前で止まる

その慣性で、ショベルから落ちそうになる


俺は携行缶を持ち上げ、蓋を開けて前に振る

勢いよくガソリンが舞っていく



「いいぞ、どんどん幹にかけろ!」


「はい!」


俺は必死に携行缶を振る



「ラーズ、さがるでござる!」



グオォォン!


「わぁっ!?」



振るわれた枝を避けるため、ショベルカーが急発進でバックする

振り落とされそうになり、慌ててショベルを掴む



「よし、よくやった! ビアンカ、下がれ!」


ホフマンさんが叫び、ビアンカさんがホバーブーツで離脱する



ジャキッ!

ドンッッ!


ホフマンさんがショットガンを発射


着弾した幹の上の方で発火

その炎が一気に燃え広がる



「オオォォーーーーン!」


呪いの木が枝を振り回す

だが、ガソリンの引火が止められるはずもない


木材から真っ白い湯気が立ち上り、だんだんと黒い煙に変わっていく



「ダメだ、熱くて除霊なんてできないよ」

レイコ社長が、眺めながら言う


「完全に燃やし尽くせばいいんじゃないか?」


「燃えても、穢れた瘴気の元となっている霊力と霊質は残る。そして、時間が立てばまた環境に悪影響を与えたり、何かに取り憑いて悪霊化することもあるの。ちゃんと浄化するまでが除霊だよ」


レイコ社長がビアンカさんに言う

たまに忘れるけど、この人はちゃんとしたゴーストハンターなんだなぁ



「ピッキ、動きが遅くなってきた。幹を叩き折るぞ」


「ガッテンでござる」


ピッキさんがショベルカーで、また呪いの木にショベルを叩きつける



火に包まれて、もがき苦しむ呪いの木



ドギャギャギャギャッッッ!


ドゴォッ!



動きが弱まったことを幸いに、ピッキさんがキャタピラが浮き上がるほどの勢いでショベルを叩きつける



メキッ…

メキメキメキ…


ズズーーーン……



そして、ついに呪いの木は幹が折れ、豪快に倒れたのだった




・・・・・・




火が消えた後、レイコ社長が祓い棒を使って呪いの木を浄化

これは、クサナギ流除霊術の浄化技術なのだそうだ



「終わったよー」


「お疲れ様、社長。さぁ、帰ろう」


ホフマンさん達が帰り支度を終えていた



「凄いですね、除霊術って」


「まぁねー。私を敬って、尊敬して、へりくだっていいんからねぇ」


「台無しだ、社長」

「うむ、台無しだ」


「何よ、ホフマンとビアンカ、二人して!」

レイコ社長が頬を膨らませる



「除霊術を身に付ければ、その浄化って奴が出来るようになるんですか?」


「うーん、自分だけの霊力だと厳しいと思うよ。この払い棒のような霊的な装備と霊札。それと、土地の霊力を借りる技術と知識が必要になるから」


「はぁ…、難しそうですね」


やっぱり、そんな簡単には除霊術なんて身に付けられないよな


「今は色々な道具があるから、それを活用するのも手だね」


「道具は大事ですね」


霊札にも、たくさんの種類がある

俺が騎士学園の頃は、霊力を爆発させる除霊用の札しか知らなかった


でも、霊札には浄化用とか結界用とか、多くの機能があるのだ



「俺、ドラゴンブレイドって言う霊剣を持ってるんですけど。使えますかね」


「へー、霊剣を持ってるなんて凄いね」


「ただ、霊剣ですけどドラゴンキラーの霊的構造を持った物なので、悪霊にはあんまりですけど」


「そんなことないよ。霊的構造があれば霊体に干渉できるからダメージは与えられるもん。干渉できる手段は大事だよ」


「なるほど」


俺の騎士学園での愛刀、ドラゴンブレイド

セフィ姉から貰った俺の宝物だ


眠らせておくのもかわいそうだし、今度持って来てみるか

少しは使ってあげたいからな



ドラゴンブレイド 序章 第七話 奥義

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