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三章 第三話 部活動再開2

用語説明w


ロン

黒髪ノーマンの男性。トウデン大学体育学部でラーズの同期。形意拳をやっていたが、ゴドー先輩の強さに感化されて総合空手部に入部。熱い性格で、ラーズとよくつるんでいる


ケイト

茶髪の獣人女性。トウデン大学体育学部の先輩で柔道部。明るい性格、ふくよかな胸でキャンパス内でも人気が高い。したたかな性格のヤワラちゃん


武道館



二階の畳の道場では、組み技系の部活がガッツリと活動している


その理由は、秋という季節

多くの部活の大会が行われるからだ



「くっ…」


俺とロンは柔道部の稽古に参加させてもらっている


柔道と言えば投げ

一本となる豪快な投技が花形だ



「あっ、ぐおぁぁっ!?」


「ラーズ、情けねーな」


ロンの野次が飛ぶ

うるせーな、お前もやってみろ!



投げが柔道の花だが、俺が今やっているのは寝技

しかも、相手はケイト先輩だ


女子との寝技

いかがわしい想像をするのは俺だけじゃないはず


正直に言うと、ケイト先輩とこれでもかと密着する寝技にドキドキしていた


だが、そんな甘ったるい気持ちは始まった瞬間に吹き飛ぶ


一気に引き込まれ、背中側に回られる

そして、うつ伏せになった俺の背中に密着するケイト先輩



背中に柔らかい感触…

これ、おっぱいが…


違う、腰を両足で絞められて痛え!


それどころじゃねぇ、首に腕を回されている


やべっ、首を締められる!

俺は慌ててガード、ケイト先輩の締めに腕を入れて防ぐ


だが、足と腕で一気に背骨を伸ばされる


腹を締め上げられ、腰を強制的に反らされた

痛みに焦った直後、首に腕を差し込まれ、一気に締め上げられた



「ごほっ…、ま、参りました…」


「これが裸絞め。チョークスリーパーっていう技だよ」


「チョーク…」


よく聞く技だ



「次、ロン君、やる?」


「お願いします」


ロンが俺と代わる


「…お前もやられてこい」


「ラーズと一緒にするなよ」


お互いに足を伸ばして畳に座り、背中合わせになる



パンッ!


俺が手を叩くのが始めの合図

お互いに振り向いて、膝立ちで組み合う



寝技の乱取りは立たないのがルール

そうじゃないと、簡単にケイト先輩や柔道部に投げられて、不利な体制からの寝技になってしまうからだ



「おぉっ!!」


ロンがケイト先輩の道着の肩部分を掴む

そして、力任せに引っ張る


女性であるケイト先輩に、技では叶わないので力で勝負に行ったのだ


だが、ケイト先輩はロンに引っ張られながらも、体を浴びせてロンに掴みかかる


そして、ロンと同時に倒れながらも、不安定な体勢のままロンの上を取った



「上手いなぁ…」


柔道部相手だと、膝立ちでもなかなか上が取れない



「ぐあぁぁっ!?」


気がつけば、ロンの腕が伸ばされて、慌ててタップしている


あれは、腕ひしぎ十字固めという技だ



「くそー…」


「ロンの方がすぐ極められてるじゃねーか」


「気がついたら、もう極められてた…」


「ケイト先輩、もう一回、お願いしてもいいですか?」


「いいよ。でも、次はちょっと変えようか」


「え?」



俺がロンと代わると、ケイト先輩が仰向けになる

そして、正座した俺の胴を足で挟む


「この状態がガードポジション。ラーズ君が上になってるけど、私は防御ができてる状態ね」



ガードポジションとは、仰向けになって正座の相手の胴を両足で挟んだ体勢のことだ


両足で胴を挟まれた状態では、寝た相手に攻撃しても足を使って止められてしまう

そのため、上になっている方は、下になった相手の両足を越えて相手の体の横に行くことを狙う


この行為をパスガードと言い、足を越えて体の横に行った状態をサイドポジションと言う


ガードポジションに比べて、サイドポジションは上になっている方がかなり有利になる



「ほら、最初は足のロックを外して開かせる。そして、足をまたいで私の頭の方に来るの」


「えいっ、くっ!」


言うは易し

だが、ケイト先輩の足を抑えて跨ごうとしても、体を回転させてすぐにガードポジションに戻される



「ほら、あんまり体勢を前に崩すと…」


「わっ!?」


俺は前につんのめるように引き出される

慌てて後ろに戻そうと顔を上げた瞬間…



バッ!


「…っ!?」



ケイト先輩の両足が俺の首と腕を挟み込む


え、ケイト先輩の太もも!?



「…!!」


一瞬で気が遠くなる

俺は死の危険を感じて慌ててタップした




・・・・・・




「三角絞めかぁ…」

俺は、駅に向いながらロンに言う


「ケイト先輩、強かったな。他の柔道部の人も」


「寝技、強くなりたい。何で極められちゃうのか分からないのが悔しい」


「俺は打撃の方が好きだ」



ケイト先輩に掛けられた、足で締める技は三角絞め

両足で頸動脈を締める技だ


「ケイト先輩、柔道と総合の寝技は違うって言ってたな」



柔道は投げたら一本

倒して終わりになる


だが、総合格闘技は投げて倒してからが本番

有利な体勢から極め技を狙い、打撃を落とす


ルールが根本的に違うのだ



「東玉流の寝技も覚えなきゃダメってことか」


「もうすぐ大会があるって言ってたもんな」


覚えること、練習することが多すぎるのが、総合格闘技系の競技の難しいところだ


打撃に投げ、寝技

多過ぎて、全部やっても中途半端になっちゃうよ



「よぉ」


イサグ駅が見えて来た所で声をかけられる


「げ…」


振り返ると、知った顔の不良が立っていた



「やっと見つけたぜ、このクソ野郎共」


「誰がクソだ」

「お前の方が百倍クソだろうが」


「相変わらず生意気な…」


「うんこ野郎」

「今日は三人か、少ないんだな」


こいつはタオ

ブラックマンバとかいう不良チームだ


俺は二回もこいつに絡まれている



「てめえらにやられてから、ケチが付きすぎだ。ここで礼をしてやる」


「盗人猛々しい。よし、ラーズ。タイマンを譲ってやるよ」


ロンが腕を回しながら俺に言う


「え、何で?」


「自分がどれくらい強くなったか、試して見ろよ」


「相変わらず舐めてるな。このクソ野郎、ぶっころ…」

軽んじられたタオが歯ぎしり


「何でロンってすぐ煽るの? いつもそれで俺が損するのに」


「いいからやれって。ゴドー先輩にも、場数踏ませろって言われてたんだ」


「おいおい、堂々と謀るんじゃねーよ! ゴドー先輩、悪すぎだろ!」


「いい加減に覚悟決めろって。思いっきり一発殴ってこい」


「…」



「いつまで話してやがるんだ!」


タオがキレて突っ込んでくる



パンッ!


「…っ!?」



俺は踏み込んでジャブ

横にステップ


タオの拳が空を切る



ドッ!


「がふっ!」



ストレートが顔を直撃した


おお…、動きが見える気がする

パンチもちゃんと当たってる



「うおぉっ!」


タオがパンチを振り回す



バチッ


ロー!



ドスッ


前蹴り!



タオの動きが止まった

俺は前に出て畳み込む



ストレート!


「ぐおっ…」


左フック!


「がぁっ…」



タオが後退りしたところを、肩を掴んで前に引き出す


同時に膝!



「げはっ…」


タオが膝から崩れる



そして、顔を腕で庇いながら、怯えた目を向けた



勝負あり

俺は、ロンを振り返る


すると、ロンがタオの連れと喧嘩をしていた



ドシッ!


「ぐあっ…」



ロンは、前蹴りと見せかけて相手の膝を踏みつける


痛みで動きが止まった所で、強烈なストレートぶち込む



「うおぉぉっ!」


だが、相手が根性で掴みかかってくる



ロンは左フックで相手を止めると同時に、左に移動して動線から逸れる


そして、前にある右足を右に捻りながら沈み込んだ



ドゴォッ!


「ぐぉっ…!!」



捻った体幹からの左フックで、相手が地面に倒れ込んだ




「お、終わってたのか、ラーズ」


「なんとか。ロン、二人も倒したのか…」


喧嘩、強いんだよなぁ、こいつ


「二人くらいならな」


そう言って、ロンが手を出す

俺は、その手を軽く叩く



パン!


「やるじゃん、俺達」



俺とロンはタオに激勝

ロンはともかく、俺が勝てたのは凄いことだ


東玉流…と言うか、ゴドー先輩の稽古を頑張った甲斐があったってもんだ



「ロン、変な技使ってなかった? なんか体捻るやつ」


「あれは形意拳の一種だ。龍形拳っていう動きだな」


「何それ?」


「形意拳の形の中に、応用技の動きで十二種類の動物を真似し十二形拳ってのがあってな。その一つだ」


「へー、ドラゴンの拳ってことか。他の動物のもできるの?」


「いや…」


「え?」


「十二種類なんて覚えられるかって。龍形拳だって、なんとなく覚えたくらいだからさ」


「そういうもんかぁ。じゃあ、何で龍形拳から練習したんだよ」


「別に…、名前でかっこいいかなって思っただけだ」


「…」


まぁ、確かにフックやストレート一つを見ても、簡単にはできるようにならない

拳法の形なんて複雑だし、一つを覚えるのも大変だよな



「おい、お前ら」

ロンがタオを睨む


「…!」


「二度と俺達の前に姿を見せるな。…消えろ」


「くっ…」


タオが、二人を連れて逃げていく



…その表情は、追い詰められてる


そのことに気が付かなかった俺達は、後で後悔することになった



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― 新着の感想 ―
[良い点] 龍の名を冠する技きたわね [気になる点] 前話もだけどサブタイ誤りかな? 再会→再開
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