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二章 第二十一話 地下水路1

用語説明w


レイコ

ゴーストハンター資格を持つ有限会社クサナギ霊障警備の社長、ドワーフの女性で童顔だが年上。クサナギ流除霊術を修めた凄腕だが、社長の割に威厳と権限は少なめ


プリヤ

クサナギ霊障警備の社員、魔族の女性で営業、経理、交渉(恫喝)担当。スーツが似合うキャリアウーマンで実質の経営者(黒幕)


ビアンカ

クサナギ霊障警備の社員、ダークエルフの女性で元軍人、圧縮空気を推進力として利用するホバーブーツという変わった装備を使う。武器はククリナイフとハンドガン


ホフマン

クサナギ霊障警備の社員、魚人の男性で元ゲリラ兵の経歴を持つバウンティハンター。ゴツい体格と風貌で、見た目は完全にあっちの人。銃火器のプロでバウンティハンターの資格を持つ


講義 現代交易学


「世界は重なっている。このペアの次元を基準とするならば、外部との交易は大きく分けて二つとなる」

教授が解説する



世界とは、このペアだけではない

異世界と呼ばれる次元が重なっているのだ


この世界は三次元で表すことができる

高低、左右、前後の三つの座標を特定することで位置が固定される


しかし、多次元解釈では、三つの座標では足りない

霊質と物質の次元が必要になる


世界は重なっている


この次元よりも半歩ずれた次元を幽界と呼ぶ

幽界は次元的にほぼ同一の次元であるため、この世と相互に作用している


例えば魔法使いが使う範囲魔法は幽界を通して発動点を置く魔法だ

そのため、例えば岩の中であるとか、建物の向こうなど物理的に直接的に干渉できない地点にも発動点を置くことができ、その結果、物質の内側にも魔法エネルギーを顕現させることができる



他にも、天界や魔界、冥界などの世界は有名だ

人類を遥かに凌駕する存在が跋扈しており、人類の歴史の中でも幾度か、知識や財宝を持ち帰ったという例が存在する


それら異世界をどうやって表現するのか

それは、三次元の座標に対して、もう一つの座標を加える


前後、左右、高低に続く、その座標とは「氣霊」だ


より物質的な力が強くなる方向が氣

これは魂と物質とのつながりが強くなる


反対に、霊質的な力が強くなる方向が霊

これは魂と霊質とのつながりが強くなる



「そして、我がペアとの最大の交易相手がイグドラシルである!」

教授が少し大きな声を出す


おそらく、眠そうな顔をしていた学生を起こすためだろう



イグドラシルとは、この世界よりも霊質が少し強くなった世界

魔導法学が進んだ世界であり、ペアには無い魔法技術を持っているとか



「イグドラシルで有名なものが、ヴァルキュリアの伝説だ。現代の交易は、その他にも宇宙拠点ストラデ=イバリがある。異世界と宇宙、この二つとの交易は、ペアの魔法科学文明の大きなブレイクスルーとなった。続きは次回とする」

そう言って、教授がマイクを置いた



…何の気なしに取った選択科目、現代交易学

意外と面白かったな


ただ、唯一の失敗は、この曜日の授業がこれ一つだけということだ

これがなければ、週休三日になったのになぁ



「おい、ラーズ」


「お、ロン。授業は終わりか?」


「そんなわけねーだろ。まだ一限目が終わったばっかじゃないか」


「何だよ。俺、これ一つだけだから終わりなんだ。飯行こうぜ」


「だから、俺はまだ授業あるんだって。もう帰るのか?」


「今日は部活もないからバイト行くよ」


「ああ、ゴーストハンターだっけか」


ロンに振られて、俺は寂しくバス停へ向かった




・・・・・・




クサナギ霊障警備



「おはようござ…」


俺が会社に入ると、応接セットの所にお客さんが来ていた

俺は、慌てて口を閉じる



「ラーズ、お茶を持って行ってくれ」

ビアンカさんが、自分の机の情報端末を見ながら言う


俺は頷いて奥へ

そして、給湯室をガサガサと探してお茶のティーパックを見つけ出す



「ラーズ。十中八九、依頼を受けるからな」

ホフマンさんが二階から降りて来る


「ゴーストハンターですか?」


「もちろんだ。何の会社だと思ってるんだ」


そりゃそうか



俺がお盆にお茶を乗せて応接セットへ


「失礼します」


お客さんの前にお茶を置いた


「あ、すみませんね」


お客さんは、初老のおっちゃん

汗を掻いていて、お茶をすぐに喉に流し込んだ



「それじゃあ、契約ということでよろしいでしょうか」


「はい、すぐにお願いします」


「分かりました。では、ここにサインを」


プリヤさんが、鋭い目つきで契約書類を確認する



その横にでは、レイコ社長がつまらなそうに座っている

交渉事は、基本、プリヤさんが担当みたいだな




「よし、契約終了!」


「すぐ出るのか?」


「二時間後くらいね。ビアンカとホフマンは準備しておいて」


「頼むよー」


「あんたもに決まってるでしょ、霊能力者!」


プリヤさんに怒られ、ブツブツと文句をいうレイコ社長



「ちょっと、ラーズ!」


「はいっ!?」


「お茶を出す時は茶托を使いなさい。お客様への礼儀よ」


「ちゃたくって何ですか?」


「もーう、こっちに来なさい!」


プリヤさんに連れられて給湯室へ

すると、小さな丸いお皿が端っこに置かれていた


「これよ。湯呑の下に敷いて、この茶托を持ってお出しするの。そうすると、口を付ける湯呑を素手で触らなくていいでしょ」


「な、なるほど…。すみません、分かりました」


湯呑の下のお皿、どうやって使うのか


「よろしい。それじゃあ、ラーズも三人の出発の準備を手伝って」


「分かりました」



俺は二階に上がる

すると、レイコ社長、ホフマンさん、ビアンカさんがバタバタと動き回っていた


「ラーズ、これを車に積んで!」


「はい!」


「これも頼む」


「はい…お、重っ!?」


「弾丸が入ってるから気を付けろよ」


「…っ!?」




地下の駐車場に降りると、前に使っていた軽自動車に代わり、中古のワンボックス車が停まっていた


「あれ、車が変わってる」


「うちはしょっちゅう車が変わるのよ。前回も廃車になったでしょ」


「た、確かに…」



軽自動車は、風の精霊に吹き上げられてぺしゃんこになった

危なく下敷きになるところだったんだ



「それじゃあ、行くわよ!」


また、プリヤさんがワンボックスを運転する


「ラーズ、助手席!」


「はいっ!」


「ナビを入れて。住所は…」


「このナビ、古すぎません? 反応が悪すぎて…」


「すぐに壊されるんだから、古い中古で充分なのよ」


「どんな職場なんですか…、いや、今更でした」



ブロロロロロッ!


プリヤさんは、現場に向けて発車した



「ラーズ、免許は?」


「車のですか? まだ取ってないです」


「取りなさい、今すぐ」


「ま、まぁ、大学中に取ろうとは思っていたので、考えてみます」


「今週中に親御さんに相談して、ダメならウチから融資するわ。バイト代で返す感じで」


「そ、そんなに急ぐんですか?」


「ウチの会社、運転できるのが少ないのよ!」


「え…?」


俺は後ろの座席を振り返る



ビアンカさんとホフマンさんは装備を着込み、準備をしている


「ビアンカとホフマンは戦闘要員だから、現場に行く時は運転はさせられない。社長も論外」


「こらっ、何でだー!」


「ドペーパーは黙ってなさい」


「ぶー!」


プリヤさんがレイコ社長を一蹴


「もう一人の社員さんは?」


確か、ピッキさんと言ったっけか


「あれは、別の意味で運転させられないのよ」


「へ?」


「ゲーム好きが高じて、世界とゲームを混同しているからなぁ」


ホフマンさんが笑う


「確かに、ラーズが運転してくれると助かるかもね」

ビアンカさんまでが言う


そ、そんなに運転需要が高いのか


「さ、そろそろ着くわよ!」


目の前には、工場群が広がっていた



「お待ちしておりました。工場長から聞いております」


「クサナギ霊障警備です」


レイコ社長が工場から出て来た男性と頭を下げ合う

うむ、社会人の挨拶だ



「状況は?」


「あ…、そ、その、ご案内します!」


男性がホフマンさんを見て固まっている


巨体にサングラス

完全にそっち系の人の容貌だ、無理もない


そして、背筋を正して、ロボットみたいな動きで歩き出した


やっぱ、ホフマンさんの顔面偏差値がふり切れてるわ

そっち系に



「…地下水路か」


「そうです。これが地図になっているのですが…」


「この範囲全部か?」


「はい。今のところ、現れる場所はランダムです」



今回の依頼は、ゾンビのような風貌の悪霊

工場の地下は排水を流す水路となっており、海へと繋がっている


敷地内全域に地下水路が張り巡らされており、その中で社員が目撃、又は襲われているらしい



「ビアンカが別動隊で捜索するしかないか」


「人使いが荒いな」


そう言いながらも、ビアンカさんはホバーブーツを車から下ろした



書き貯めストックが…

すみません、できる限り間を空けずに投稿を続ける予定ですが、ちょっと投稿ペースが落ちそうです汗


あと、二章終わったら、少しだけ一章の並べ替えを計画中です

内容は変わりませんが、追加はするかもw

よろしくお願いします


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