表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/374

二章 第十四話 休日

用語説明w


フィーナ

ノーマンで黒髪、赤目の女子。ラーズの義理の妹で、飛び級でハナノミヤ聖女子大学に進学。クレハナの王族であり、内戦から逃れるために王位を辞退して一般家庭に下った。騎士の卵でもあり、複数の魔法を使える。


カエデさん

ラーズ達のアパート、メゾン・サクラの管理人で、黒髪ノーマンの優しいお姉さん。ラーズの好みだが、しっかりと既婚


「ぐおぉぉぉぉっ!?」


「な、何!? どうしたの?」


朝起きると、凄まじい痛みが襲ってくる

思わず声を出してしまい、フィーナが俺の部屋に覗きに来た


「き、筋肉痛…、それと痣か。大丈夫」


ビルダーとのタイマン勝負

真剣勝負という緊張の中、思いっきり蹴り続けた


稽古とは違う痛みと疲労

やはり、本番は稽古とは違うということだ



「あっ、ラーズ。腕が凄い痣…」


「空手でちょっとね」


素手のビルダーのパンチを受け続けたため、俺の前腕は腫れあがり、内出血で紫色に染まっている



「見てみろ。意外と、受けるよりも攻撃の方が怪我をする場合が多いんだ」


ゴドー先輩が言う通り、パンチを打っていたビルダーの拳は変に腫れあがっていて、握ることができないくらいになっていた


人間の拳は指という細い骨の集合体のため、実は殴るという行為には不向き

硬いもの、例えば頭蓋骨などを素人が殴れば、簡単に骨が折れてしまう


ビルダーの拳も、もしかしたら折れているかもしれないとケイト先輩が言っていた


ボクシングなどは、安全のためにグローブを付けていると思っていた

だが、実は拳の保護も理由だったんだ


世界には、空手の一部の流派のように素手だったり、ラウェイといって、縄を拳に巻き付けた状態で殴り合う競技がある


それらは、例外なく拳の握り方と怪我をしない殴り方を最初に習うそうだ



「今日、買い物に行きたかったんだけど大丈夫?」


「いいよ、そこまで酷くないから」


今日はせっかくの休み

俺は、フィーナと出かける約束をしていた



「格闘技の練習って危ないんだね。そんな怪我をするなんて」


「防御の練習をし過ぎただけだよ。たまたまだって」


心配させたくないから言わないけど、本当は公開喧嘩をした

俺の勝利、見せたかったぜ



俺達は、準備をして出かける

外に出ると、カエデさんが植木に水をあげていた


「おはようございます」


「あら、フィーナちゃんとラーズ君。出かけるの?」


「はい、買い物に」


「あ、お花を植えるんですか?」

フィーナが、カエデさんが作った小さな花壇を覗き込む


「ここにマリーゴールドの種を撒いているの。もう少ししたら芽が出ると思うんだけどね」


「楽しみですね、春の花」


「暖かくなった頃のお花って、私も好きなのよ」


カエデさんとフィーナがお花トーク

女子ってお花が好きだよな


「ラーズ君は、お花はどう?」


「高等部まで通ってた学校では、よく見に行ってましたね。桑の木とか、妖精の苗とか」


「どっちもお花じゃないじゃない。桑の木は実を食べてただけでしょ」


「美味しいからいいだろ」


騎士学園の頃、俺は人があまり来ない桑の木がある広場でよく一人で練習していた

上手くなれなくて、人の目がない場所で練習するのが好きだったんだ



「妖精の苗って、どんな植物?」

カエデさんが尋ねる


「魔力を吸収する植物です。生物の精神構造を読み取って、深層意識を反映させて姿を変える性質があって…。授業で使ったんですよ」

フィーナが説明する


騎士学園では、騎士になるためのカリキュラムとして珍しい実習がたくさんあった

魔法植物の栽培や、魔力の濃い霊山や秘境に行っての実習などだ


「そんな植物があるのね。姿を変えるなんて面白そう」


「私とラーズの妖精の苗は、自分をドラゴンと思い込んで動き回ってたんですよ。凄く可愛かったんです」


「植物が動き出す…、想像がつかないけど、友達になれたら嬉しいわね」


「はい。でも、妖精の苗は成長すると元の植物に戻っちゃって。サプミドって名前を付けたんですけど…」

フィーナが寂しそうに言う


サプミドは、俺とフィーナの深層意識を読み取った妖精の苗


普通は様々な形に代わるだけなのだが、サプミドだけは植物のくせに動き出した

そして、小さなドラゴンのように振舞ったのだ


これには先生達もめちゃくちゃ驚いていた


しかし、一週間ほどでサプミドは元の植物に戻ってしまった

今は、惑星ギアにある騎士学園に植えられて、元気に育っているはずだ



「また、会いに行きたいよな」


「そうだね。でも、惑星ギアだから遠いんだよ…」


「二人とも、惑星ギアの学校に行ってたの?」

カエデさんが、ギアという言葉に反応する


「そうなんです。ブリトンという国でした」


「そうだったのね。私も、実家が惑星ギアの島国、タカマグラという国なの」


「タカマグラって、サエの…。同級生にタカマグラから来ている娘がいましたよ」


「そんな偶然、あるのねー」


俺達は、カエデさんと世間話をしてから買い物に向った




「牛乳と、ツナ缶と…」


「米はまだあるから…パスタ買っとく?」


「お蕎麦とうどんもあるよ」


「迷う…」


一週間分の食材を買いに行き、それを使って食事を作る

そうすることで、余計な買い物をしないようにする作戦だ


「な、キノコの里、買おうよ」


「いいけど、パイの果実とラッコのマーチもあるよ」


「カントリーマザーも美味しいよな」


「全部がお菓子の名作だもん。迷うね」


「間を取って、ポテチにするか」


「何で甘い系の間がしょっぱい系になるの?」


俺達は、言い合いながら買い物を終えた




「なんか、買い物をしてると、実家を出たって感じがするな」


「うん、分かる。自分で生活してる感じがするよね」



ピリリリリ…


歩いていると、俺のPITが鳴る



「あ、サエだ」


俺は、電話に出る



「あ、もしもし。サエですけど」


「ラーズです。どうしたの?」


「シグノイアの、クサナギ流の本家のレイコさんから電話があったよ。バイト、ゲットだぜって」


「そんな、ボールで捕獲できるモンスターじゃないんだから」


「ふふふ。でも、喜んでたよ。本当に人手が足りないみたいだったから」


「ゴーストハンターって、やべー現場みたいだからね」


悪霊が暴れると、普通の人なら簡単にしねる

俺も、面接の時にコンクリートの塊で頭蓋骨をぶっ壊されそうになった


「あの人たちの現場が特別なだけだよ」


「え、そうなの?」


だが、サエは笑って否定する


「ゴーストハンターって、普通は人に取りついた霊障を取り除いたり、呪われた物品の解呪がメインだもん。暴れる悪霊なんて、下手すると騎士に頼むこともあるんから」


「…確かに」


前回の悪霊も、テレキネシスでコンクリートの塊を投げつけて来た

土属性投射魔法くらいの威力があり、しかも霊体のため物理攻撃が効かない

そこらのモンスターよりも厄介な存在だった



「でも、レイコさんの会社は、騎士を要請しなくてもすぐ駆けつけてくれる。おかげで、命を救われた人は何人もいると思うよ」


「そ、そうなんだ…」


「ただ、その分、危険な仕事だと思うから。ラーズは闘氣(オーラ)が使えなくなったんでしょ? 怪我しないように気を付けてね」


「うん、ありがとう。気を付けるよ」


そうは言っても、怪我どころか普通に死んじゃいそうなレベルの危険だったけども



「あ、電話変わってよ」


「え? サエ、フィーナに代わるね」


俺はフィーナにPITの端末を渡す



「サエ? フィーナです。今度、サヘルとミィ姉と女子会やろうってことに…」


話をしているフィーナを横目に、俺は思う

あの時の危険な悪霊も、サエやフィーナなら簡単に除霊できていた


闘氣(オーラ)で身を守りながら、得意魔法をブッパする簡単なお仕事だ


だが、そんな騎士の技能を失った俺からすれば…

一般人からすれば、悪霊と戦うことがどれだけ難しいことか



格闘技やゴーストハンター

そんな、一般人の強さを身に付ければ…


十年後、チャクラ封印練が終わった時

…俺はちゃんとした騎士になることができるのだろうか


フィーナやサエたちに負けない強さを持てるのだろうか


サエ 一章 第十六話 部屋飲み

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ