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ボクと彼との二回目のデート

「うう、やっぱこの髪型変じゃない? 可愛いとは思うけど、なんかくすぐったいし、ふわふわしてるし……」


 今日は日曜日、凪くんとの遊園地デート。

 近所なこともあり、遊園地の入り口での待ち合わせ。

 凪くんは家の近くまで迎えにきてくれると言ってくれていたけど、カナメのアドバイスで断ることになったんだ。


 待ち合わせ時間は開園時間である九時。今はその五分前くらい。予定通りの時間だ。

 カナメ曰く、男子は女子を待っている時間も幸せらしい。だから、彼より早く到着するのは厳禁。もちろん遅刻はダメだけど、予定よりちょっと早くいくくらいがベスト、とのことだ。


 確かに、前回はボクが先に着いてしまっていたため、なんだか彼に悪い気持ちになってしまった。

 それに、後から到着することで、ドキッとさせることができるらしいけど、本当かな?


「えっと、凪くんはどこかな……」


 開園直前ということもあり、人が一杯集まっているせいで凪くんの姿が中々見つからない。彼が遅刻するとは考え難いから、どこかにいると思うけど──居た!


 遊園地の看板の下、カジュアルな格好の凪くんが辺りを見渡しながら待ってくれている。……会いたかったよ、凪くん。


 カナメ曰く、出来るだけ先に見つからないようにとのことだったね。こちらから声をかけて気づかれた方が、インパクトがあって印象に残りやすいみたい。……ただ驚かせてるだけな気もするけど、カナメの言うことなら本当なんだと思う。


 上手く人混みに紛れて、凪くんの近くまできた。

 

 ──はぁ、とっても心臓がドキドキしているのが分かる。今日の服装は合格を貰えるかな?


「なーぎくんっ! おはよう。遅くなってごめんよ。待たせてしまったかい?」


 待ち合わせ場所での最初の出会いは、手を後ろで組んで前のめり、首を少し傾けると好印象……て、ポーズまで決める必要あるのかな。……カナメの情報が合ってるのか、少し不安になってきたよ。


「おはようございます。朱思しゅしせんぱ、い?」


 この反応は……成功なのかな? 顔を見合わせた時に動揺を見せたら成功だって言っていたけれど。


「どうしたんだい、凪くん。ボク、どこか可笑しいかな?」


 思わず聞いてしまった。また前みたいに言われたりしたら、今度こそ立ち直れないかもしれないよ。ボクはそんなに強くないんだ。


「いえ。その……とても、綺麗です」


「なんだか怪しい言い方だね? 気に入らないのであれば言ってくれていいんだよ?」


 拒否されてしまっては、ボクは脱兎の如くこの場を走り去る事だろうけどね!


「すいません。本当に可愛くて、目を奪われてしまいまして」


「そ、そうかい? ありがとう……?」


 凪くん。それはある意味、この場を全力で離れたくなる一言だ。正直、頭の中が真っ白さ。この後何するのかとか忘れてしまったよ。


 ボクらしさを残しつつ、男の子はある程度肌の露出を好むというし、昨日選んだ服からカナメのアドバイスも受けて、今日の服は決めさせてもらった。


 オフショルダーの白いシャツに、スカートを意識しての膝上十五センチほどのシルバーグレーのキュロット。ちょっと短いかな……。

 膝上までの白いニーソックスに、凪くんに買ってもらった薄緑色のスニーカー。

 手には前回同様、緑色のシュシュを飾り、シュシュと同じカラーのショルダーバッグを、斜めにかける。カナメ曰く、男なら誰でも好きだと言っていたけれど、なにがいいんだろう?


 首元には薄緑のチョーカーを飾り、シャツの胸元に一匹の白ネコバッジ。

 髪はなんかふわふわのポニーテール……髪を結うリボンも大きめのもので、ちょっと幼さが見える雰囲気になっていると思う。

 

 二人の間には沈黙が流れ、互いに中々目が合わせられない。前回とは違う意味で、この後のデートが心配になってしまったよ! うぅ、もう心臓が止まりそうだぁ……。


 そんな沈黙は、開園の合図によって打ち消される。


「し、朱思先輩。開園のようです。中に入りましょうか」


「そ、そうだね。ここにいても邪魔になってしまうからね」


 遅れながらも、チケット交換の列に並び、やはり目も合わせられないまま、着々と入園が近づいていく。


 近所にある遊園地とはいえ、ボクは数えるほどしか来たことがない。

 特に最近なんて全くと言っていいほど来園することはなかった。

 昔と変わっているなら、どんなふうになっているか、少し楽しみではある。……ましてや、隣にいるのが大好きな凪くんともなれば、その心は弾むばかりだ。


 だというのに、この体たらく! ボクは何をやっているんだ! せっかく、凪くんが喜んでくれているのに、それに応えるような行動ができない。

 カナメに色々教えてもらったというのに、頭の中は真っ白。何を話すこともなく、このまま入園することになってしまう。


 なんとなく、凪くんに視線を向けると目があってしまった……! もうっ! なんで君まで同じタイミングでこちらを見るんだい! また目を背けちゃったじゃないか!


「朱思先輩。今日は誘っていただき、ありがとうございます」


 別に、ボクが誘いたくて誘ったんだ。感謝されるいわれはないんだけどな。


「こちらこそ嬉しかったんだ、ありがとう。堅いことはなしにして、今日という日を一緒に楽しもうじゃないか」


「はい」


 やっと普通に話せそうだよ。切り出してくれてありがとう、凪くん。


「こんなに可愛らしい先輩が見れたので、自分は既に大満足なんですけどね」


「ば、バカを言わないでくれ、凪くん! そういう恥ずかしい言葉は、心の内に秘めておくものだよ!」


 すぐにボクをからかう! 真面目な子だと思っていたのに、意表を突かれた気分だ。……もう顔を上げることもできなくなってしまったよ。


 見なくてもわかる、凪くんのニコニコな笑顔と歩きながら入園する。

 今日という一日は、とても長くなりそうだ。

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