Re:class2 「波乱」
そいつはいわゆる黒いローブやらコートやらよくわからないが、大きなフードで顔をすっぽり覆っていたので男か女かすらハッキリしなかった。…が一つだけは言えた。
こいつは尋常じゃなく強い…。
その場から動かずジッと息をひそめる。絶対的な魔力を肌に感じながらもこのときの俺は妙に落ち着いていた。
さて、どうしたものか…。
やがて、特に何が起きるわけでもなく黒いヤツは資料棟へと消えていった。
資料棟とは図書館、校史室などから成り立つ校舎のことである。
アイツが何してようが今の俺には関係ねえ、俺はひたすら寮棟に戻るだけだ。
あと50メートルほどだろうか、やっと明るい建物が見えてきた。俺は今でも後悔してる、なんでこのとき中等部に立ち寄ってしまったのか…。
あともう少しで寮棟にたどり着く、そんなときだった。
……キャァアアァァ!!!!!!
背後の中等部から悲鳴が聞こえた。
こんな時間に残ってる人間といえば俺みたいなバカかもしくは…。気になって仕方なかったから、やむなく中等部に侵入した。
今から10分少々前…――
「まさか教室に明日の提出物を忘れるとは思いませんでした…」
そこには教室に忘れ物をしてしまった少女が侵入していた。
「うぅ…、暗いし怖いです」
教室に入り目的のものを探していたそのとき、背後から何者かに腕を掴まれ…――
―――キャァアアァァ!!!!
というわけだが…、
今俺はこれまでにないスリルを感じている…。
目の前で(可憐な)少女が何者かに人質にされている。動けるのは自分だけ…。
彼女の腕を掴んだまま男は口を開いた。
「おとなしく自分の居場所に帰りな、お前は何も見なかった」
はァ?コイツ舐めてやがんのか。
「目の前で後輩の女の子を人質にされて、帰る?ハッ…、バカにされたもんだよなぁ、クソやろう?」
男があくびをしながら話を流す。緊張感のないハゲのスキを見て能力で加速し少女を奪いとってやった。
「なっ…!」
あまりの速さに男は驚きを隠せない様子だったが冷静に言い放った。
「そのガキをよこしな。おとなしくしてれば、かすり傷の一つや二つで済むかもしれねえぞ」
言葉の裏に圧力をかけているようだったが、それがどうした。
「欲しかったら力ずくで取り返してみな。まぁこっちも手加減しねぇからよ」
腕の中の少女は事態が飲み込めていなかったようだが。
(えっと…、確か明日提出のノートを教室に忘れちゃって、それから……、えぇーっと?)
「嬢ちゃんは俺の後ろでおとなしくしてな、すぐ終わらせっから」
くつだけでなく全身に風を纏う。風が一点に収束し、空気が震えているのがこの男にも伝わったのだろう。
「ほう…、風使いか。相性が悪かったな、俺は炎を使う、お前の風は火を煽るだ…、」
「加速<チャージ>!!」
男の声が途切れる。
男の発動の前に一気に加速し、床に押さえつけてやった。
「ごちゃごちゃうるせえんだよ、ハゲ!!」
別に実際はハゲてなどいなかったが…、まあアレだ。脅し文句(?)的な。
「さぁ、あの娘に何のようだったんだ、答えてみやがれ?」
すると男は低い、なんとも死んだような声で言った。
「学園は平和なんかじゃない…、今にお前みたいなクソガキでも気づくだろうよ…逃げられやしねえさ。きっと…」
男は言葉に詰まり、数秒後には血を吐いて死んだ。
………。
このあと、部屋の前で待ち構える寮鑑に…、それはそれは恐ろしい罰を与えられたのは言うまでもない……。
ここで一旦区切りです。今後しばらくは平和な学園生活が始まります。




