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あの音との出会い
疲れているので空耳が聞こえたのかと思った。
チリン、と控えめに鳴って、それだけで終った。
知らない部屋だったが息苦しさに耐えられず、窓を開けようとした。
窓辺に立ち寄ったところでまた聞いた。
チリン、チリンと。二度。
戻ってくるとまるで夢から覚めた気分だった。
ラフィは灰色の宙に浮いたキューブの家に住んでいる。
奥行きが三メートル、横が二メートルと狭い。扉から一番はなれた位置にそっけない窓がある。
正方形で、縦二メートル横二メートルの壁の中央をくり抜いている窓。
窓は大きい。
いっそのこと壁一面を窓にすれば良かったのに、と思うほど。
そしてその窓は開けることが出来ない。
キューブから五メートルも離れていない場所を列車が走っているからだ。
空気が悪く、騒音も激しい。
ラフィは外出するときにはいつもイヤホンを付ける。
耳を塞いで音楽を聴いく。そのほうが騒音を聞くより耳に優しいからだ。




