ショー
……心底、思う事がある。
なんで俺は…、もっと…誰かを大切にしてこなかったんだろう?
自分の人生は、自分が主人公なのだと思ったのは…いつのことだったか。
小さなころから、俺ってやつは…自分の事しか考えていなかった。
怒ってばかりいる親が嫌いだった。
手のかかる妹が生まれて、一人で遊ぶクセがついた。
保育園では、好きなおもちゃを独り占めして怒られた。
小学校では、好きなメニューが出るたびに給食の配膳係を脅して怒られた。
中学校ではラノベばかり読んでいて、文豪になった気で作家を目指す同級生たちにダメ出しをして嫌われた。
高校ではアニメに夢中になって、現実で懸命に美を追求する同級生たちを鼻で笑って睨まれた。
専門学校では良い企業に就職する事だけを考え同級生たちを蹴落とし、結果、孤立した。
就職してからは求められる仕事をこなすことだけを考えて、他人を厳しく管理し続け…敬遠されている。
自分を第一優先してきた結果、俺は…孤独になってしまったのだ。
もっと、周りに目を向けておけば良かった。
もっと、空気を読んでおけば良かった。
もっと、気を遣っておけば良かった。
今さら後悔しても…もう遅い。
会話の続かない両親。
白い目しか向けてこない、妹。
一人もいない、友達。
距離感がハンパない、人間関係。
自分が笑うために、誰かの笑顔を握りつぶしてきて…こうなった。
自分が笑えないから、誰かの笑顔も握りつぶしてやろうと…躍起になった。
誰かが笑うために...自分の満足を放り投げることができていたならば…。
誰かが笑えるのならそれでいいと…自分の不満を飲み込むことができていたならば…。
今頃、妹にかわいくおねだりでもされていただろうか。
今頃、本音をさらけ出せる親友たちに飲み会に連れ出されていただろうか。
今頃、少し不恰好なケーキを焼いて誕生日を祝ってくれる彼女がいただろうか。
今頃、サプライズで昇進を祝ってくれる同僚たちがいただろうか。
LINEの通知音がなりやまないような人気者になれていたり…。
バレンタインに甘いものをもらいすぎて困っていたり…。
休みの日に一言『ヒマだ』と呟けば、秒で反応が…。
自分を取り合うような展開とか…。
もしかしたら…。
ひょっとしたら…。
時間を巻き戻せれば…。
やり直せれば…。
……。
『たら』、『れば』の話…、ね。
「…はっ、しょうもな……」
・・・?!
あ、ああアアア!!!
しょーもな?!
しょーモナ!!!
モナ、モナが!!!
モナが、モナが出たああああああアアアア!!!
モナは…ふいに、シレッと姿を現す。
なぜだかわからないが、俺は自身の言葉の中に虚像を見てしまう。
なぜだかわからないけれど、俺は…モナに遭遇すると冷や汗が噴き出すのだ。
「…ッ、は、ははっ! 」
モナと出くわすとおかしなテンションになってしまう…悪い、癖が。
……いかん、いかん!
人気が無いなら無いなりに...クールに決めておかねば!
おかしな様相を披露して…注目されるようなことがあっては、ならん!
…さりげなく、頭を、一振し。
……モナの片鱗がかき消された、この場所で。
俺は今日も孤独に…前を、向くのだ。




