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魔法使いの家出  作者: 羽良 凪都輝
第5章 王立魔術師学校マギア 後編
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「学園祭準備4」

長い間休止していてすみません...

用事が色々と立て込んでいて更新できていませんでした。

これからはまた更新頻度を上げていくので応援お願いします。



「歯食いしばれ」


メラーヌはそう言うと、男の顔面を床に叩きつけた。

床には人形の穴があけられてしまった。


「まあ、見てなさい」


マリアはそう言って、アランを席に戻した。

何が起きたかすぐに理解した他の二人は、メラーヌに襲いかかった。

それにメラーヌは反応し、男二人を回し蹴りでまとめて吹き飛ばしてしまった。

床に叩きつけられた男も、壁にめり込んでいる二人も、気を失っているようだ。


「あーあ、また穴が増えちゃったわ。こいつらに働いてもらおうかしら」


メラーヌは周りの客に、申し訳なさそうに会釈をすると、三人を引きずりながらカウンターの奥へと戻っていった。

だが、なぜだろう。こんな危険なことがあっても、あの母親と男の子、アランの三人以外は皆平然としている。

あたかもこれが通常運転のように。


「この店、よくチンピラがやってくるのよ。だけどメラーヌがボコっちゃうから、常連さんとかは平然としてるのよ」

「えぇ...感覚が麻痺してる...」


男の子はあまりに怖かったのか、その場で硬直していた。

母親も何が起きたのかわからなかったが、息子の様子を見て、抱きしめてあげた。

その瞬間、やっと安心できたのか、泣き出してしまった。

母親が頭を優しく撫でていると、カウンターの奥からメラーヌがやって来た。

その手には、二人が飲んでいた紅茶、そしてお皿にはマカロンがのせられていた。


「すみません...こういうの、よくあることでして...怖い思いをさせてしまいましたよね...これは私からの謝罪の品です。お代は要りません」


そう言うと、机にカップとマカロンを置いて、また戻ろうとした。

すると、男の子がメラーヌを呼び止めた。


「あ、あの、さっき、助けてくれて、ありがとう...」

「あ、そう?私かっこよかった?」

「うん!」


メラーヌは胸を張りながら、男の子にドヤ顔をした。

それを見ているアランたちは、なんだか心が暖かくなった。


 * * *


喫茶店を出ると、夕日が沈みかけていた。

冬が近づいているのか、日が沈むのが日に日に早くなっている。

二人の吐く息が白い。


「寒くなったね」

「そうね。もう一週間もしたら雪が降るんじゃないかしら」


ラファエル王国の冬は、雪が降る。

王都はそんなに積もらないが、地方は大変だ。

家の屋根まで雪が積り、家から出ることもままならない。

そのため、各地に炎属性の魔術師が派遣されているのだ。


「うわぁ、ほんとに寒い...早く帰ろ、お姉ちゃん」

「...うん」


教室に戻ると、皆がマリアの返答を待っていた。

マリアがニコッと笑うと、皆は歓声をあげた。

それから、皆はレベッカを中心として販売する商品の数などを確認した。


学園祭が残り一ヶ月で始まろうとしていた。

徐々に通常授業が少なくなり、学園祭準備へとシフトしていった。

今日は衣装の仮デザイン発表である。

担当の人は、更衣室で着替えるのだ。

皆は期待を胸に膨らませて待っていた。


扉が開かれ、人が入ってくると、皆天国にいるような顔になった


「本当にこれ着ないとだめ?」

「着ろ。全体に着ろ」


アランはどうやらメイド服を着るのがあまり好きではないらしい。

レベッカたちもやって来ると、男子たちは興奮し、歓喜の声を上げた。

が、その中で、一人だけ憎悪を養う男がいた。


「どうしたんだ、ホセ、顔色悪いぞ」

「え?あ、いや、大丈夫だよ、僕なら」

「そうか。じゃあ、俺らは鑑賞会といこうか!」


男たちは盛り上がっていた。

それを、レベッカたちはそれに冷ややかな目を送っていた。

それはそうと、マリアの目が何処か虚ろであった。

アランが目を合わせようとすると、どうしてか顔を背けて無視されてしまった。

その様子を、アーサーは遠目で見守っていた。


「あいつ、意外とピュアだな」

「ん?誰がだ?」

「いや、なんでもないよ」


レベッカたちは、とにかくアランの服装が気になり、視野のかすかな部分でアランを見つめていた。

それから、接客の授業を特別講師としてエレンから教わり、実践を始めた。


「お客様、ご注文はお決まりでしょうか?」

「はい、この紅茶とマカロンセット2つでお願いします」

「承知いたしました。紅茶とマカロンは一緒にお出ししますか?」

「そうですね、それでお願いします」

「はい、承知いたしました」


アランは丁寧な言葉遣いで接客をした。

ウォード家のお荷物として育ってきたアランは、普段から敬語を使っていたため、こういうのには慣れていた。

そんな中、もう一人突出した接客をする者がいた。


「注文」

「それが人に頼む態度か」

「あぁ?さっさと注文しろよ!」

「はぁ?嫌だね!お前なんかに頼むか!」


始まってしまった、マリアとアーサーのいがみ合い。

どちらも相手に対してへりくだるようなことがあれば、それは人生の恥だと感じるのだ。

そんな様子を見て、呆れるへルックやベルージュたち。

いつもの風景だ。


「注文は決まったかしら」

「だめです。お客様に対して、口調が柔らかすぎです!」


エレンはベルージュの口調に、呆れていた。

ベルージュは料理人の娘でありながら、一度も店の手伝いをしたことがないらしい。

いや、したことはあるのだが、ただ店の前で喋っているだけという、看板娘のような役目をしていた。

そのためか、客と柔らかい口調で話す癖がついてしまったらしい。


「そうそう、俺これから用事あるから、先に抜けるわ」

「ん?そうなのか?学園祭でみんなピリピリしてるから、気をつけるんだぞ」

「お前にだけは言われたくねぇな」


マリアとアーサーのいがみ合いはまだ続いていた。


 * * *


「こんなところに呼び出して、何すんだ?」

「まさか、それが僕への態度かい?この第三王子様への」

「これは癖みたいなもんなんだよ。それより、今日はお前一人なのか?」


フェンデスの周りには、いつもの取り巻きたちがいなかった。

二人は人気の少ない、寮にある裏庭まで来ていた。

ここは校舎の庭園と違い、あまり整備はされておらず、人も来ない静かな場所であった。


「誰かに見つかったら嫌だからね。いやぁ、それにしても嬉しい誤算だね。学園の防御結界が破壊されるなんて、こんな嬉しいことはないよ」


フェンデスはとても嬉しそうに話した。

寮の裏庭、そこには学園に張ってある結界の魔術式がある。

二人はその魔術式を書き換えに来たのだ。


「とりあえず、僕が用意した魔術式をここに書き加えてくれるかい?」

「...これは、起爆装置?」

「よくわかったね。さすがと言うべきかな」


フェンデスは、年上であるへルックを見下す態度を取った。

だが、へルックはそれを気にもとめず、魔術式の書き換えを始めた。

へルックは、この時なぜフェンデスが自分自身で、魔術式の書き換えを行わないのか疑問に思った。

一瞬の足音が聞こえた瞬間、へルックは書き換えをやめて、振り返った。


「いやぁ、どうしたのかな?」


フェンデスの手には大剣が握られていた。

へルックは地面に手を付け、魔力を流し始めた。


「待ってくれよ、僕は君とやり合うつもりはないよ?」

「...大剣を出してでもか?」

「そうさ」


フェンデスは、異空間へと大剣をしまうと、手を上げて無抵抗の印を見せた。

へルックは、疑問を持ちながらも、魔術式の書き換えを始めた。

伊達に魔術を何年も学んだへルックは、素早く魔術式を書き換えた。


「ほら、見つからないよう、帰るぞ」

「そうだね。学園祭が楽しみだよ。この王国の歴史が変わる日だ。待ち遠しいね!」


そう言うと、フェンデスはどこかへ行ってしまった。

へルックは振り向くと、先程触れた地面を見て、独り言を呟いた。


「引っかからなかったか」


 * * *


フェンデスはある人と、会う約束をしていた。

扉がノックされた。

取り巻きたちが開けると、そこにはアランと同じ背丈ほどの男が立っていた。


「こんにちは、殿下」

「ひさしぶりですね、ホセ先輩」


ホセは用意されていた席に座ると、フェンデスが他愛もない話を始めた。


「先輩はどうですか?学園祭の準備は。最後の学園祭でしょう?皆さん張り切っていますよね」

「お世辞は良いので早く本題に入りませんか?」


ホセはそっけない態度で言った。

フェンデスは少し悲しそうな顔をしたが、本題に入ろうとすると、顔つきが変わった。

フェンデスは取り巻きたちから受け取った資料を、ホセに渡した。


「これは?」

「中身を見てください」


ホセがめくっていくと、あるページで手が止まった。

にこやかだった表情が崩れ、険しくなった。


「アランは、排除対象ではないのですか?」

「まあ、無害な男だからね」

「...無害な男なら、人質を取っては?」

「人質?」


フェンデスの計画では、それぞれを分割して叩くつもりであった。

だが、ホセは違った。

そもそもこの計画に参加したのは、アランを排除するため。


「人質を取り、アーサー様や、レベッカなどを釣ります」

「...悩むところだね」

「どうしたのですか?殿下は王になるためには、すべてを使うとおっしゃっていたのに。それとも、ほかに理由でも?」


(アレン...流石に家族を危険に晒すわけには...)


「別に、危害を加えると言っているわけではありません。ただ、人質として使うだけですよ」

「...わかった」

「ありがとうございます」


 * * *


学園祭前日。

いよいよ大詰めとなり、皆はピリピリしていた。

アランも、初めての学園祭であるため、かなり緊張している。

そんな中、マリアとアーサー、その二人は緊張どころか、未だ喧嘩していた。


「ここは、違うだろ!」

「あぁ?王子の目は節穴かぁ?」


そんな様子に、皆の緊張が溶け始めた。

そこでレベッカは、アーサーに声をかけ、クラスメイト全員を集めた。


「私達は、来年でこの学園を卒業する。だからこそ、学園祭というイベントで、最高の思い出を作ろうじゃないか。最後の準備だ、集中していこう!」


第一王子として、アーサーは自身の言葉だけで、皆の集中力を極限まで高めた。

そこからがすごかった。

今まで準備してきた、装飾品をたったの一時間で飾り付け終え、多くの商品を搬入した。

更に、マリアやレベッカ、アランなどは、学園外でビラ配りなどを行っていた。

四天王と、商会のお嬢様ともなれば、必然的に人が集まってきた。


そして、時が過ぎ、ついにやって来た、学園祭当日。



これから最終局番に入ります。


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