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伝説に残らなかった大賢者【書籍2巻&コミックス2巻、発売中!】  作者: しゅーまつ


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最終決戦 予想していなかった決着

「お前……どうしてここに……」


 マーギンの目に映ったのはミスティだった。


◆◆◆


「ど、どうなったんだ……」


 回復してきたオルターネンはマーギンの方へ目をやった。そして、後ろから湧いて出てきた魔物もピタッと出てこなくなったことで、他のみんなも魔王との戦いはどうなったかと集まってきた。


「あっ! 魔王が倒れている。ということは……やったー。マーギンが魔王を倒したんだっ!!」


 カザフがそう声を上げた。しかし、


「何か様子が変だ」


 ロッカが目を凝らすと、マーギンが倒れた魔王に触って何かをしている。その横には少女の姿があった。


「あっ、あれは……子供師匠……」


 カタリーナがミスティの存在に気付く。治癒の終わったローズも同じくその姿を捉えていた。


 バネッサはみんなより早く、ミスティがマーギンの元に現れたことに気付き、そのまま何もできずに見つめていた。


 「あいつは何をしている。魔王を倒したのなら、なぜ何も言ってこんのだ? 様子を見に行くぞ」


 大隊長の言葉で全員が一斉にマーギンの元に走った。一番先頭を走っていたバネッサは、マーギンの姿を見て足を止めた。


「な、何だよ……あの姿は……」


 バネッサの目に映ったのは、本当にマーギンなのかと目を疑う姿。そして、みんなが追いついたときにマーギンが叫んだ。


「来るなっ!」


 マーギンがみんなを制止したことで、全員がその場で止まった。


ブオン。


 そして、少女が転移の魔法陣を出した。


 転移の魔法陣を見たローズは瞬時にマーギンがどこかに行ってしまうと直感した。


「行くなっ、マーギンっ!」


 ローズは来るなと言われたにもかかわらず、マーギンの元に飛び込み、マーギンに抱きついてキスをした。


「グッ……ゲホッゲホッ」


 激しく咳き込むローズ。


 ドンッ。


 マーギンはローズを突き飛ばした。


 「ま、マーギン……」


 ゴウッ。


「キャーっ!」


 マーギンは風魔法でみんなを吹き飛ばして、魔王を抱きかかえた。


「マーギン……行かないで……」


 マーギンに手を伸ばしたローズを見たマーギンは目を伏せ、魔王を抱きかかえたままミスティと共に転移の魔法陣に消えていく。


「マーギンっ、マーギンっ!」


 ローズの呼びかけにもマーギンは振り向かず、どこかに消えてしまった。


 その場で泣き崩れるローズ。何がどうなったか理解ができないみんな。その場で立ち尽くすバネッサ。


「あいつは何を考えているんだっ!」


 オルターネンは激怒して怒鳴る。


「ローズ、口を開けて」


「ひ、姫様……うっ……」


 カタリーナはローズに口を付けて治癒の息を吹き込んだ。


「もう苦しくない?」


「はい……」


「オルターネン。マーギンは、私たちが瘴気に侵されないようにどこかに転移したんだと思う」


「どういうことですか?」


「魔王から瘴気が出てた。あれを吸うとヤバいの。ローズは吸っちゃったから、これ以上瘴気を吸わないようにと、マーギンはローズを突き飛ばしたんだと思う」


 カタリーナは前にローズが瘴気を吸ってしまって、マーギンが治癒したことをオルターネンに説明した。


「そうだったんですか」


 カタリーナが事情を説明したあともローズはうつむいたまま涙を流していた。


「ローズ。マーギンはお前を避けたわけじゃないみたいだ。そんなに落ち込むな」


 オルターネンにそう言われてもローズは顔を上げない。そして、バネッサも立ち尽くしたままボロボロと涙を流している。


「バネッサ……マーギンはすぐに戻ってくるって」


 カザフがバネッサを慰める。


「あいつはやっぱりあの女を……それにうちは……うちは……」


 そう呟いてローズを見たあと、その場でボロボロと涙を流した。


◆◆◆


「お前……どうしてここに……」


マーギンは突如として現れたミスティに目を奪われた。


「マーギン、首から手を離せ。その者を殺してはならん」


「そんなことは聞いてないっ! お前は今までどこに……どうして……」


 マーギンは魔王の首から手を離して、ふらふらとミスティの元に歩み寄った。


 まだ信じられない様子でミスティを見つめるマーギン。それに対して目を逸らすミスティ。


「……すまぬ」


 そうポソっと呟いたミスティをマーギンは抱きしめた。


「お前……本当に生きてたのかよ」


 マーギンはギュッとミスティを抱きしめたまま涙を流し、グスグスと鼻をすすった。


「マーギン……」


 ミスティは申し訳なさそうな声で名前を呼んだ。そして、涙を流して抱きしめてくるマーギンの背中にそっと手を回した。


「マーギン……その者は魔王ではない。だから殺してはならんのじゃ」


 マーギンが落ち着いてきたのを見計らってミスティがそう切り出した。


「こいつが魔王じゃない……だと?」


 その言葉を聞いたマーギンはミスティの顔を見た。


「話せば長くなる。詳しい説明は後じゃ」


「なんだよそれ、先に教えてくれよ」


「みんなを瘴気に巻き込むつもりか?」


 ミスティにそう言われたマーギンは、魔王から瘴気が出ていることに気付いた。


「俺は……俺とミスティはどうして平気なんだ……?」


「その説明も後じゃ。みんなを王都に飛ばすぞ」


「ま、待てよ。何の説明もなしに転移させるわけにはいかんだろうが。とりあえずみんなに王都で待てと言ってくる」


「その姿で行くつもりか?」


「えっ?」


 ミスティは鏡を出してマーギンに今の状態を見せた。


「な、なんだよ……これが俺なのか……?」


 鏡に映った自分の姿は、まるで人々が想像する魔王の姿であった。


 服のほとんどが雷撃でなくなっており、髪は逆立ち、腕から頬にかけて黒いタトゥーのような雷紋が広がり、片目の白目が黒に変わり、瞳は金色になっていた。


「早うせぬと、他のみんなが瘴気に巻き込まれるぞ」


 マーギンが判断を迷っている間にみんながこちらに走って来た。


「マーギン、このままではこちらに来てしまうぞ。もうこちらが転移するしかない。早うせいっ!」


「来るなっ!」


 マーギンはそう叫び、自分にキスをしたローズを突き飛ばし、ミスティが出した転移の魔法陣に魔王を抱きかかえて進んだのであった。


◆◆◆


 オルターネンたちはしばらくその場にとどまったあと、王都に戻るしかなかった。


 戻る途中、大型ラプトゥルと何度も出くわす。


「まずいな。魔王がいなくなったことで、こいつらがあちこちに散らばったのかもしれん。このままでは街にまで押し寄せるかもしれん……」


 大隊長はそう呟いて、王都へ急ぐのであった。




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― 新着の感想 ―
 倒すことが引き鉄の継承システムかな?
クライマックス感出てきたな
そりゃミスティが生きててマーギンが魔王の可能性もあったけど…怒涛の展開で先が読めん。 ……そういえばマーギンは正しくは真田銀次郎の複製だってことだが、何か関係してるのか?
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