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伝説に残らなかった大賢者【書籍2巻&コミックス2巻、発売中!】  作者: しゅーまつ


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最終決戦3

 オルターネンと大隊長がプロテクションに阻まれても魔王に攻撃を続ける。2人は魔王を倒せずとも、一瞬の隙を作れればいいと思っていた。


 バリンっ。


 大隊長の一撃が、魔王のプロテクションを砕いた瞬間にオルターネンが斬り込んだ。


 パシッ。


「なん……だと……」


 オルターネンの閃光にも似た一撃を魔王は片手で受け止めた。


「これが全力か?」


「貴様……」


「出直して来い」


 バンッ!


 魔王はオルターネンの腹を蹴るのではなく、オルターネンに爆発するような魔力をぶつけて吹っ飛ばした。


「ゴフッ」


 吹っ飛ばされたオルターネンは血反吐を吐いて片膝を付き、聖剣ジェニクスを杖代わりに倒れるのを耐えた。


「ちい兄様っ。姫様っ、治癒を、治癒をお願いします!!」


 オルターネンの元に走り寄ったローズ。


「ローズ、こっちには構うなとマーギンに言われていただろ。余計な真似をするな」


 カタリーナは後ろで戦っているみんなをプロテクションで補助している最中だ。


「しかし……」


「お前は自分の成すべきことをしろ。俺には構うな」


 オルターネンは聖剣ジェニクスに力を込めて何とか立ち上がる。


「ちい兄様……」


「魔王ってのは強いな」


 オルターネンはそう言ってローズに微笑んで、また魔王に向かっていった。



 魔王は余裕を見せたまま、大隊長とマーギンの攻撃をいなす。


「ふうぅんっ!」


 大隊長は思いっきり身体強化をした上に自身を風魔法に乗せ、回転しながら魔王に斬り掛かった。


 バリンっ、バリンっ、バリンっ。


 瞬時に張られたプロテクションを砕いて、もう少しで魔王に攻撃が届くと思われた瞬間、


 バキっ。


「ガハッ」


 魔王のパンチがカウンターで大隊長の顎を撃ち抜いた。


 ぐらっ。


 激しく脳を揺さぶられた大隊長の足がふらつく。そこに魔王の追撃がきた。


 ガッ。


 マーギンが瞬時にプロテクションでその攻撃を防ぐ。そして、妖剣ヴァンパイアで連撃して魔王を後退させる。


「逃がすかっ!」


 ガッガッガッガッガッ。


 魔王はプロテクションで腕を覆い、マーギンの攻撃を受け流す。


「おぬしに一つ聞きたいことがある」


 攻撃を受け流しながら魔王がマーギンに話しかける。


「お前と話すことなどない」


 と、マーギンは攻撃を続ける。オルターネンも大隊長も大きなダメージを受けた。治癒する余裕がないので、こうして時間を稼ぐしかないのだ。


「なぜ貴様らは我を倒そうとする?」


「お前が……お前さえいなければ人々は幸せに暮らせるからだよっ!」


「そうか?」


 マーギンは攻撃をしながら、魔王はその攻撃をいなしながら会話をする。


「お前が魔物を生み、人々を脅かしているだろうが」


「魔物を生むか……それはそうじゃな。しかし、魔物は人の益にもなるではないか」


 確かに魔物は肉や素材が取れるものも多い。それに魔結晶も……そう思ったマーギンは魔王を睨みつけるだけしかできない。


「それに魔物の核は空気も水も汚さぬ、いいエネルギーだとは思わんか?」


 空気も水も汚さないエネルギー?


 マーギンの頭の中に過ったのは、元の世界のエネルギーの源。その大半は石油だ。


「お前は何を知って……」


 マーギンは動揺したのか、攻撃の手が止まってしまった。


「マーギンっ! 敵の戯言に乗るな」


 魔王と言葉を交わしていたことに気付いていたオルターネンと大隊長は、マーギンが攻撃の手を止めたことでそう叫び、2人同時に攻撃を仕掛けた。


 カッ!


 魔王はマーギンたちに手をかざして魔力の塊をぶつけた。


 ドサドサっ。


「うっ……くっ……」


 もろに魔王の攻撃を食らってしまったマーギンたちは立ち上がれない。


「マーギンさんっ!」


 マーギンのピンチに真っ先に気付いたアイリス。


「許しません」


 マーギンの状態を見たアイリスの魔力が膨れ上がっていく。


 《オブリタレイト(燃え尽きろ)!》


 ゴウゥゥゥゥ。


 アイリスはこの世を焼き尽くすような炎で魔王を包んだ。


「マーギンさんっ、大丈夫ですか」


 マーギンに駆け寄るアイリス。


「こっちには構うなって言ってあっただろ……ゴフッゴフッ」


「姫様っ! 治癒をお願いします。トルク、魔物を寄せ付けないで」


 バネッサも心配そうにマーギンを見たが、自分が任された役割を放棄するわけにはいかず、さらに気合を入れて魔物を倒し続けた。


「俺はいい。先にちい兄様と大隊長を頼む」


 カタリーナがオルターネンと大隊長を治癒している間にマーギンは自分を治癒する。


 カタリーナの治癒を受けてもオルターネンは立ち上がれない。魔力も体力も尽きかけているのだ。それは大隊長も同じだった。


「姫様、どうかご無事で」


 それを見たローズは、オルターネンから聖剣ジェニクスを奪い取った。ここまでカタリーナの護衛に徹していたローズ。後ろから来る魔物も倒してもきりがない。恐らく魔王を倒さねば魔物も尽きることはないのだろうと感じていた。それに、このままでは敵に一矢報いることもなく終わってしまう。


「ローズ、やめろ……」


 動けないオルターネンはローズを止めようとする。


「時間を稼ぎますから、その間に回復をして下さい」


 そう言ったローズはオルターネンに微笑む。そのときにアイリスの炎魔法が消え、魔王が姿を現した。


「私の名はフェアリーローズ・バアム。魔王よ、いざ尋常に参るっ!」


 えっ?


 自分の治癒に専念していたマーギンはローズが名乗りを上げたことに気付いた。


「ローズっ、やめろっ!」


 マーギンが叫んだにもかかわらず、ローズは魔王に斬り込んだ。


 名乗りを上げたローズに対し、魔王は攻撃を出さずに受けの体勢を取った。


「うぉぉぉっ!」


 ローズは身体を強化するだけでなく、聖剣ジェニクスに氷魔法を纏わせていた。


 《アイスブレイドっ!》


 聖剣ジェニクスが冷気を纏い、魔王に斬りつけた。


 ビキッ、ビキビキっ! 


 一瞬にして氷が魔王を覆った。


 バーーンっ。


 その刹那、氷が水蒸気と化して大爆発を起こした。


 吹き飛ぶローズと魔王。


「ローズっ!」


 吹き飛んできたローズを受け止めたマーギン。


「しっかりしろローズ」


 ローズは水蒸気爆発で焼けただれていた。


「わ、私のことより魔王を……」


「くっ……」


 ローズを助けたい。しかし、このチャンスを逃せば魔王を倒せないかもしれない。


「カタリーナっ。ローズを頼む」


 断腸の思いでローズをカタリーナに託して魔王に向かった。


「よくもローズをっ!」


 マーギンは妖剣ヴァンパイアに魔力を込めていく。


 魔王はすでに立ち上がって構えていた。


「食らえっ!」


 マーギンが渾身の力と魔力を込めた妖剣ヴァンパイアを振り下ろす。


 魔王も渾身の力を込めてプロテクションで防御する。


 カッ。


 眩い閃光が空間に広がった。


 《レールガンっ!》


 バッシュゥゥゥ。


 マーギンは妖剣ヴァンパイアを囮にして、魔力を込めた銀貨を弾丸に変化させて魔王を撃ち抜いた。


「マーギンっ!」


 閃光で何も見えなかったみんなはマーギンの名前を叫ぶ。


 そして、閃光が収まると、マーギンと魔王は睨み合うように立っていた。


「ゴフッ」


 そして、口から血を吐いて倒れたのはマーギンだった。


「2度も同じ手が通用すると思ったか」


 魔王はマーギンが放ったレールガンの弾を腕で防いでいた。


「思ってねーよ」


 しかし、血を吐いて倒れていたマーギンはニヤッと笑って魔王を見上げた。


「なんだと……ゴフッ、き、貴様……」


 囮に使ったと思われた妖剣ヴァンパイアが魔王の背中から胸を貫いた。


「レールガン改だ。銀貨より妖剣ヴァンパイアの方が威力あっただろ?」


 マーギンは弾け飛んだ妖剣ヴァンパイアをホーミングさせて、魔王の死角から攻撃したのだった。



 魔王から瘴気が溢れて来る。しかし、前回はこれで死んだわけではなかった。恐らく魔王の核は一つじゃない。


 魔王から妖剣ヴァンパイアがズルんと抜け落ちて、瘴気の出る量が一気に増えた。このままではみんなを巻き添えにするかもしれない。しかし、ここでトドメを刺さないとダメだ。


 倒れた魔王に馬乗りになり、他の核がどこにあるのか、魔王をまさぐり探す。


「貴様……」


 意識を取り戻した魔王。


 《スタンっ!》


 バチイッ。


「グッ……」


 弱った魔王に電撃が効き、痺れて動けなくなる。その隙に魔王のどこに強い魔力反応があるのか触って確かめる。


「くそっ、どこだ」


 魔王が動こうとする度に電撃を食らわせては身体を触り続けるマーギン。


「いい加減にしろっ」


 ずしゃっ。


「ぐふっ」


 電撃の効きが甘かったのか、魔王に反撃されたマーギンは血を吐いた。


 このままでは倒しきれない。そう判断したマーギンは、刺し違える覚悟を決める。


 《雷神ing(ライジング)!》


 ドーンッ!


 至近距離での最大電撃魔法を放ったマーギン。


 魔王の身体が硬直し、意識が飛んだ。しかし、マーギンにも電撃が流れ、腕に雷紋が走りダメージを負う。


 だがマーギンは攻撃をやめない。魔核を探すよりこのまま魔王を葬りさろうと、魔王の首を締めた。


 《雷神ing(ライジング)!》


「ぐふっ」


「ぐわぁっ」


 自分にも電撃のダメージを負うマーギン。そして魔王の吐いた血が顔にかかり、目に入って激痛が走る。しかし、攻撃をやめなかった。


「このまま首を落としてやる」


 《雷神ing(ライジング)!》

 《雷神ing(ライジング)!》

 《雷神ing(ライジング)!》


 電撃を浴びる度にビクンっと痙攣する魔王と、魔王の返り血に染まっていくマーギン。


「次で仕留める」


 もう動くことのない魔王の首を落とそうと、ありったけの魔力を込めた。


「これで最後だ。死ねっ、魔王!!」


 マーギンが光り輝き、最後の攻撃を放とうとした。


「殺してはならぬっ!」


「えっ?」


「マーギン、その者を殺してはならぬ」


「ミ、ミスティ……」


 トドメを刺さすのを止めたその声の主はかつての仲間ミスティであった。






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― 新着の感想 ―
マーギン「よくもローズをっ!」 魔王さま「いや自爆やろ。わしのせいとちゃうやんけ」
どっから出てきた
マーギンと同化してると思ってたわ ミスティ〜!!
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