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伝説に残らなかった大賢者【書籍2巻&コミックス1巻、発売中!】  作者: しゅーまつ


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最終決戦

コミックス2巻、5月29日発売です!

 結界の魔法陣の解読を試みて2日が過ぎたが、何も進展がなかったマーギンはみんなの疲労具合を見て決心した。


「もうやるしかないな……」


 結界の解除を試みてから4日目の朝、巨大なラプトゥルがプロテクションボールの周りを囲んでいた。


 ガッ、ガッ、ガッ。


 大きな口でプロテクションボールを噛み、爪で攻撃をしてくる。


「ちい兄様、大隊長。こいつらを一気に片付けることは可能?」


「この数を一気にというのは難しいな」


 オルターネンはプロテクションボールに噛み付いている巨大ラプトゥルを睨みながら答える。


「大隊長は?」


「吹き飛ばすことなら可能かもしれん」


 大隊長はいつプロテクションボールが解除されてもいいように戦闘態勢を取りながら答える。


「了解。俺が動きを止める。それなら可能だよね?」


「動きを止める? 何をするつもりだ?」


 オルターネンはマーギンが何をするか不安になる。また何をやらかすつもりなのかと。


「了解だ。さっさとやれ」


 大隊長はマーギンの言葉をすぐに受け止めた。今日、かたを付けるつもりなのだろうと。


 マーギンはプロテクションボールを解除すると同時に巨大ラプトゥルに向かって魔法を放った。


 《スタンっ!》


 バチイッっ!


「今だっ!」


 パリパリと音を出して感電している巨大ラプトゥル。


 それを見逃さなかったオルターネンと大隊長は巨大ラプトゥルを斬り倒していく。


 《スタンっ!》《スタンっ!》《スタンっ!》 


 マーギンは奥にいる巨大ラプトゥルの方へ向かって走り、次々と感電させていき、妖剣ヴァンパイアで自らも巨大ラプトゥルたちを倒していった。


 過去の勇者パーティ時代では補助役に徹していたマーギン。しかし、現代では仲間と共に敵を倒していく。


「クックック、ハッハッハッ! 見ろ、ミスティ。補助だけじゃなく、俺も一緒にやった方が早いじゃねーかよっ!」


 過去に巨大ラプトゥルを討伐したときよりもずっと早く倒せることに笑いが込み上げたマーギン。


「あんときもこうしてりゃ、マーベリックもガインも余力が残ったんだよっ!」


 《雷神ing(ライジング)っ!》


 バーーンっ!


 巨大な雷が残りの巨大ラプトゥルたちを襲った。


 パリパリパリ。


 感電してその場で固まる巨大ラプトゥルたちをオルターネンと大隊長が倒していったのだった。


 襲ってくる魔物の気配が消え、マーギンは結界の魔法陣の前に戻った。


「みんな、離れてくれ」


 マーギンは全員を自分から遠ざけ、魔力を高めていき、結界の魔法陣を見つめた。


「ふざけやがって……」


 誰にも聞こえない声で呟いたマーギン。


「くっ、マーギンっ、何をするつもりだっ!」


 見えないはずの魔力が、マーギンから溢れ出していくのが分かったオルターネン。


 しかし、マーギンはその声には答えない。


 《パーフォレイトっ!》


 ドォウンッ。


 結界の魔法陣に至近距離で魔力を込めたパーフォレイトを撃ったマーギン。


 カッ!


 強力な魔力を注ぎ込まれた魔法陣から爆発にも似た閃光が放たれ、その光が結界の縁に一瞬にして広がった。


 バーーンっ!


 そして……


 魔法陣を通じて強力な魔力が結界に流れ込み、結界がショートしたかのように弾け飛んだ。


「こ、これは……」


 結界の壁を通じて見えていた魔王城は、ツタに覆われ、かろうじて原型を留めているだけのボロボロの建物だった。


「今の衝撃で崩れたの……か?」


 オルターネンたちは自分の目を疑う。まるで、城が一気に年代を重ねたかのようだ。


 マーギンはその様子を見て、無言で先に進む。


「おい、1人で行くなよ……な」


 すぐさまマーギンの隣に来たバネッサがマーギンの顔を見て息を飲んだ。


 マーギンの顔には隠そうともしない怒りで溢れていたのだ。


 期待、希望、不安、そして、それらをすべて飲み込んだ怒りの表情。


「ど、どうしたんだよ……」


 しかし、マーギンは答えない。


 気配はない。しかし、いる、と確信したマーギンの顔は強張っていく。


 マーギンはまるでここがどこだか知っている様子で奥へ奥へと進んだ。


「ここだ」


 見たこともない大きな扉。その前で止まったマーギン。


「この扉は朽ちていないのだな」


 城の内部もボロボロだったが、この扉だけは昔のままのようにマーギンたちを待ち構えていた。


「最後にもう一度だけ聞く。死ぬことになるかもしれない。それでもいいのか?」


 マーギンは扉を見つめたままみんなに問うた。


「くどいぞマーギン」


 オルターネンが代表して答える。


「敵と戦うのはちい兄様、大隊長、そして俺。バネッサ、お前は後ろから来る魔物討伐の指揮を頼む。カタリーナ、お前はプロテクションでみんなのサポートをしろ。こっちには構わなくていい」


「でも……」


「その方が集中できる。お前たちに構う余裕がない」


「うちは一緒に戦えねぇのかよ……」


 バネッサは戦力外を告げられたかのように喪失感に襲われた。


「一緒に戦うから、お前に後ろを任せるんだ」


「うちは……」


 それ以上言葉が出ないバネッサ。


「お前だから任せられるんだ。カザフたちを導いてやってくれ」


「……ったく、しょうがねーな。分かったよ」


 お前だから任せられる、と言われたバネッサは自分の役割を受け入れた。


「ちい兄様、大隊長……頼みがある」


 マーギンは扉に手を置いたまま、オルターネンと大隊長に頼み事をする。


「なんだ?」


「もし、この扉の先にいるのが子供みたいなやつだったら、俺1人に任せてくれないか……」


 マーギンは絞り出すような声で2人にそう伝えたのだった。




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― 新着の感想 ―
魔王を倒したら次代魔王になるシステムってことか?
 読んでいる途中でもしかしたらと思ったら不穏な言葉が出てきたな。
アカンそれはアカン ミスティはどこかの宝箱にみっちり詰まってるだけなんや そうなんや
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