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聖女の姉は皇太子に謝罪される―1

前話のあらすじ


魔力を使えるように特訓中です。

まだほんのりとしか使えません。

 その日の食事は、アレク殿下が場内にいないということで、わたしとアリスとクリス様の三人で食べることになった。正直妹と二人でしゃべる時間として遠慮してもらいたいものではあったが、アリスが乗り気だったので私の意見は言える空気でもなかった。


 はじめは私と彼の間にただならぬものを感じた、実際どこまでの関係かとしつこく尋ねられたが、話せるほどの関係は実際にないので何もないと答えた。

 それでも不満げだったので性的接触は一つもしていないというと、そこまで直接的な表現で聞くつもりはなかったと顔を真っ赤にして誤ってきた。


 まあ、手をつないで膝に乗って、額を付けはしたけど。

 断じて、性的な接触ではない。

 

 こちらが動揺しようが、互いにそういう意図を持たない接触なのだから、診察の延長だ。と言い聞かせる。

 言い聞かせるといっている時点で…とは自分でも思ったが自身でその考えを打ち消す。



「そういえば、クリス様って殿下だったんですか?」


 思い出したようにアリスが訊ねる。

 先ほどの授業を教えに来てくれていた先生が呼んでいたので、確かに私も気になっていた。


「そうだよ。一応継承権はあるからまた話がややこしくなっていてね。養子にはなって解消もされてないからね。まあ、位としてはってだけだから言って融通の利く人には殿下って呼ばないように言ってあるんだよ。」


 権力争いがどうかとか言っていたな。


「アレク殿下も似てますもんね。」


 髪の色と瞳の色は違うが、顔のつくりや整い方は似通っているとアリスは言う。従弟といっていたから血がつながっている分無理はないのだろうけど。

 

 私は初日以降アレク殿下の顔をほぼ見ていないのもあって、おそらく初見の悪いイメージで実物よりも見目麗しくない記憶になっている。ただ最初に見たときにイケメンだ、と思った記憶はあるのでおそらくわたしが 殿下に対してマイナス補正がかかっているのだろう。


 アリスがふと気づいた表情をして、年はクリス様のほうが上ですよね、え、アレク殿下が皇太子?と困惑した表情を見せる。


「僕とアレクは従弟だって聞いていないのかな?先に言っておくと妾腹とかドロドロしたものじゃないよ。先々代で側室制度は廃止されているし、婚外子も国として認められていない。まあ実際養子として迎えることはあるらしいけどね。僕は違うけど。」


 含みを持たせない言い方で却って回りくどくなっている。


「アレクもそれを見て育ってるからきっと一筋だと思うよ。」


 それが言いたかったらしい。

 そしてアリスもそれが聞きたかったらしい。

 

 コミュニケーションスキルが高すぎて私にはついていけない。


 昼からは顔を出さないといけない仕事があると言い、食事を終えると足早に部屋から出て行った。


「おねえちゃん、私は今家系図が頭の中で書けなくて混乱しているよ。」


「たぶんアリスが混乱してるのは家系図じゃなくてクリス様の立ち位置だと思うけどね。聞いて今びっくりしてるだけで決して複雑なわけじゃないから大丈夫よ。」


 ところでお姉ちゃんクリス様とすごく仲良くなったんだね、と含みのある笑みで話しかけてくる。

 自分が高校生の頃は自分と自分の周囲はどうだっただろう。

 すくなくとも知識の差は人によって大きく違った。下手につついて興味を刺激するわけにもいかない。


 仲良くなったとかそういうわけじゃないよ、ただめちゃくちゃ暇なんだろうねと言い返す。


「そういえばおねえちゃん、アレク殿下が謝りたいから夕食の前に連れて来いって言われたんだけど。」


 謝りたいからと言って呼び出すとは何様だ。皇太子さまか。


ご覧いただきありがとうございました。

週2以上のペースを目標に、最低金曜日更新で進行予定です。

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