表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/94

目まぐるしい話 落とし穴は足元で待ち構えている

1ヶ月先とは言え、この調子だとやはり厳しい。と、言う事で昼休みに入ると同時に朋ちゃんはクラス委員の島崎さんに話しをした。これは、クラス全体でかからなければならない程の一大プロジェクトだと。しかし、本来なら皆、自分自身で努力している事。多少は助け舟を出しても、その後も努力を続けなければ元の木阿弥。今回、陸部マネの川田さんと、友達の杉本さん二人が助けているのも、特別処置である事を補習三人がしっかり肝に銘じて努力しなければ…。「クラス全体から白い目で見られるって事よ。」

「…と、おっしゃってました。」放課後、二回目の勉強会。三人を前に朋ちゃんは神妙な顔で締めくくった。「…白い目って?」「軽蔑されるって事っ!非難されるって事!」「それはやばいっ!」今頃、顔色を変えても遅い。「いい?必死にならないと、清掃員どころか恨みまでかうのよ。」「うぅっ。俺、頑張る。」「俺も。」「すまん、力を貸してくれ。」三人は頭を下げる。「この借りは大きいからね。」冷たい朋ちゃんの声が三人に突き刺さる。

とりあえず、公式を使った解き方を今日習った範囲含め、おさらいしていく。その間に朋ちゃんは暗記する単語や用語をコピー、ホチキスで止め、三部つくっていく。「あ、じゃあこれはX=…。」「そう、で、この数字を代入して…。」「あ、解けた。」「岸田、スゲー。」いや、凄くはない。「どの公式使うか解れば解けるんだけど、それが判断つかないんだよな。」「問題の内容をちゃんと読む事だよ。ヒントがあるから。」じんさんの受け売り。そうして、小一時間ほど勉強した後、自分はバイトのため離脱。「ぷいぷい」に着くと珍しくみっちゃんが先に来ていた。「あれ、どうしたんすか?」いつもなら午後8時を回った頃に出勤するのに。「ちょっとたくやが体調不良らしくて。」お通しの仕込みか、大鍋に大量のスジ肉を湯がいている。「スジ肉の味噌煮作るから、晩のおかずの分も。」業務用のこんにゃくをビール瓶で叩きながら言われたが、恐怖なのか狂気なのかゾッとする。いつも通り男装し、いつも通り掃除をし、いつも通り買い出しをして戻ってくると、じんさんとたくやさんが来ていた。じんさんはなにやらぷりぷり怒っているし、たくやさんは肩を落としてショボくれている。「どうしたんすか?」酒の入った瓶ケースを運び込みながら聞く。(本来なら配送してくれるのだが)「ちょっと、幸君っ!聞いてくれるっ?!私バカみたいっ!」「??」じんさんの勢いにのけぞった。みっちゃんはカウンター椅子に座ってゆっくりタバコの煙を吐き出していた。


「え…?恋煩い…?」「そーー!!!」じんさんはパタパタとファンデをはたきながら喋り続けている。たくやさんは、2、3日前から何だか食欲がない。夏バテかしら、と思っていたのだそう。で、昨日、自分がチャックを閉める際にうなじを触った。その時はただ、くすぐったかっただけなのだ。なのに、自宅に帰り眠りにつくと、夢に出る。うなじを撫でる“正人さん”が。飛び起きてシャワーを浴びて、再度眠りについても出てくる。うなじを撫でる“正人さん”。「眠れない…。つら~い…。会いた~い。」「なんか、すんません。」とりあえず謝った。「幸君のせいじゃないわよ。」みっちゃんが鍋に酒、味噌と砂糖、味醂を入れていく。「で、具合悪いっていうから病院に連れてったら『どこも悪くないけどね。もしかして、恋煩い?』なんて冗談言われた途端、真っ赤になってやがんの。私、二度と心配してやんない!」じんさんは怒り(いかり)のせいか、少し眉のラインがキツい。「私だってこんな事、初めてよ。ましてや相手はノンケ…。あーん、辛い~。」たくやさんはソファ席で体育座りで縮こまった。「とりあえず、気持ち切り替えて。さぁ仕事よっ!」みっちゃんはアパートの晩のおかず用に大きなタッパーにスジ煮を入れてくれた後、二階に着替えに上がる。「たくや、あんたも早くしな。」「あ、じゃあ荷物だけ失礼します。」制服やウィッグ、学校鞄等だけ下ろし、今の男装のまま帰る事にした。

明日学校に行く前に、靴やアクセサリーを置きに行こう。なんて考えながら自転車を漕いでいると、「おーい、杉本ー。」この声は!後方から、ばばばばばっと音を立てて原付が近づいてきた。「…谷さん…。」会いたくなかったからわざわざ住宅街と農道を経由して主要道路を避けたのに。「うはっ、そうしてるとマジで男だな!スゲーっ!」「ちょっと急いでるっす。」「お前、LINE!俺の事、登録してねーだろっ!」「へぇっ。そうなんすか?なんせ、あまり使わないんで。すんません。」「なんだよ、その落語みたいな返し、止めろよ。まぁいいや。今週土曜の夜8時に、「パライソ」で合コンすっから。で、ちょっと早めに男だけ集まってさ、お前、俺らにメンズメイクしてくんね?」はぁあっ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ