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たたかう話 不思議な事って在るもので…

「ちょっとアイス買ってくるわ。」リンダが、朋ちゃんと連れだってコンビニへ。自分は、お巡りのおっちゃんの後ろでお兄さん達の話をしれっと聞いていた。「女の子?」「つっても、高校…か中三とか?」「で、高校のチャリ乗った男が逃げるみたいに走ってきたから。」「痴話喧嘩で、女置いて男が逃げたんだと。」「最低野郎じゃん。」「ちょっと罰あててやれと思って。」「あんたの彼氏とか?」お兄さん達に見られ、慌てて首を振った。「まぁとにかく、罰にしたってお前達がする事じゃあねぇよ。大学生だろ?頑張って入った学校、金もかかってる。それを仕様もない事でふいにしちまっていいのか?」おっちゃんの言葉に大学生達は下を向いた。「自分が貸した事が発端で、怪我するおそれもあったんですからお怒りはごもっともだと思います。それに、ちゃんと洗ってくれましたし。」被害届は出さない。学校にも連絡しないと話すと、お兄さん達はほっとした顔をした。「俺達もすまん。やる事が幼稚だったよ。」「お前、言い出しっぺじゃん。」「かっこつけんなよ。」いつもの感じってやつだろう。雰囲気が和んだ。「話し、終わりー?」朋ちゃんとリンダが戻ってきて、箱のアイスを開け、お兄さん達とついでにお巡りのおっちゃんに渡して「お疲れ様でした。」と労った。

お巡りのおっちゃんは、アイス片手に「ちょっとその子の人相教えてくれ。あと、転けた後どうしたかも。見てた範囲でいいから。」と、派出所を指差し、お兄さん達を引き連れて行った。「ありがとう、お代、払うよ。」「いいえー。これから行くカフェでケーキ奢ってくれたらいいから♪」「そっちの方が高いじゃん。」「なんか災難だったなー。杉本。」「リンダも、ありがとうね。」キレイに洗車された自転車を押して三人でカフェへ向かった。


それから、朋ちゃんおすすめのカフェへ行き、目玉商品の“バカ盛りジャイアントパフェ”を頼んで、三人仲良くひぃひぃ言って食べ切り、お支払は自分が受け持った。おう…。なかなかの強者(つわもの)

けれど、たまに羽を伸ばすのだって大切だしな。お金は使わなきゃ回らない。と、幼なじみもよく言っていた。気分も晴れ、二人と駅で別れた。

お気付きだろうか。道中、ずっと彼女はバカデカイぬいぐるみを背中に担いでいた事に。すげー視線集めてるよ。


アパートに着いたのは夕方6時。自室に戻り、クーラーを付けウィッグを取る。部屋が涼しくなる前にシャワーを浴びて、化粧を落とす。水が湯の様に熱い。日焼け止めを塗っていても、やはり服の境目がくっきりと焼けている。浴室内の暑さに耐えきれず、慌ててパンツ一枚履いて、バスタオルを肩にかけて飛び出した。クーラーの吐き出し口の下で髪をタオルでわしわし拭いていた時、「よう、変わりないか?…」と、幽霊が降ってきた。「よう。」と、声をかけたが真っ赤になって消えた。なんだ、あいつ。女の裸くらいで。汗がひき、ようやっと上の下着を着ける。いつものメンズサイズのTシャツをかぶり、七分のジーンズを履く。で、ふと、「そりゃ、正人さん、女だって気付かないわなぁ。」今日行った大型商業施設にも、可愛い下着屋さんは入っていた。買えば良いのだ。なのに、今までの調子でスルーしてしまった。父親と暮らしていた頃、中学に入った頃から敢えて男らしく振る舞っていた。幼なじみの母親が、色々“女性”の事を教えてくれた。必要な物、周りへの注意、身の守り方。なにせ、父親は夜遅くまで仕事で日中は自分一人。たとえ、オートロックと管理人さんが居たとしても、外部だけでなく内部の人間だって危ない時がある。だから、制服でうろうろせず、男装して出歩いた。まぁ、中学生の男装なんて、たかが知れているけれど。そんな事を考えながら下に降りるとみっちゃんが外に出て、道路の方を見ていた。「なにしてんすか?」「あ、びっくりした。やだ、帰ってたの?」道路側に離れていたので、階段を降りる音に気付かなかったらしい。小走りに近づいてきて、「ちょっと前にきよっさんが来てくれて、今帰ったとこだったのよ。」“きよっさん”とは、今日会ったお巡りのおっちゃん。「車も自転車もなかったんで気付きませんでした。挨拶できず、すみません。」「大丈夫よ。」暑さから逃げる為に、急いでみっちゃんの部屋へ。ここあさんと、たっくんも部屋にいた。「お帰り~。リフレッシュできた?」「ただいま帰りました。初めて、高校の友人と出掛けました。」「そっか、良かった♪」ここあさんはにかっと笑って、たっくんととうもろこしの皮剥きを続けた。「今日は、冷しゃぶととうもろこしよ。」「蒸すんすか?」「チンよっ!チンに決まってんじゃない!暑いのにっ!チンが簡単なのよ。ボタン一つでチンっ!チンっ!」  …下品だ。

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