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異世界と許可

「という訳で父様、俺に漢検というものを受けさせてくれ。」

「ダメだ。」


早速俺は相談に行った。

だが、返事は当然のようにNO。まあ、予想はしていたんだが…。どうやってうんと言わせようか。


「何故ですか?」

「我が一族がそんなものを受ける?笑わせるな。端くれといってもお前は園田家の一人だ。恥をかかせる気か。」


まあそうなるよな。貴族だって自分の家を汚す真似などしたくないからな。だが、そういう事をしたいときの対策だって当然ある。当たり前すぎて殆どの奴らが使っていた筈だ。


「対策はありますよ。名前を偽ればいいのです。」

「…それで?」


よしっ。

俺は心の中でガッツポーズをした。

どうにか興味を引くことに成功したようだ。この親かなり頭が固いから、関心を持たせるのでさえ難しいのだ。



「なので、戸籍をもう一つ作りたいのです。多分我が家の権力なら、一つぐらい余裕でしょう?」

「待て、なんでそうなった。」



え。なんでって、そうするのが簡単だと思ったからなんだけど。


「作ったら他の時にも使えるではないですか?」

「そういう問題ではない。最初からないとすぐに見破られるんだ。今更は無理だ。」

「そうですか?何か余っているものも無いんですか?」

「……お前、誰からの入り知恵だ?」


まさかの入り知恵疑惑浮上。流石に六歳が考えることではなかったのか?

…いや、前世でもこんぐらいは考えていたような気がする。

鋭く睨んでいる父様に、にっこり微笑む。


「いいえ、自分で考えました。だって園田家の人間ですから。」

「……。」


おい、何故そこで黙る。

勝手に沈黙した父様を睨む。


「父様?」

「…っふ、ふはは、ふはははは!」


いきなり笑い出した!?こっわ!ドン引きですわ。

涙を拭った父様は、厳つい顔を緩めた。

…なんだ、普通の顔も出来るんじゃないか。いつもそうしていれば好印象なんだが。なんだか自分不器用ですっていう匂いがしてくるんだが。


「そうか。そう来るか。いいだろう、漢検の許可を出そう。作って使っていない戸籍がある。それをお前のもう一つの戸籍としよう。」

「本当ですか!?」


よっしゃーー!最終手段出さないで済んだぜ!

因みに最終手段とは“催眠”だ。外道なんて言うなよ?二度目の人生を楽しみたいんだ。そんな害を及ぼすわけでも無いからな。


「ただし、条件がある。」

「ーー!」


真面目な表情に、息を飲む。

そう来るか。いいだろう。何だってやってやる。たとえ無茶なものでも魔法を使えばなんだって解決だからな!

覚悟を決めた目で実の親を見る。交わされた二つの視線は絡まり、お互いに譲らないという決意が見えた。


「…漢検を一級まで到達しろ。」


……。

それだけなのか?もとよりそのつもりだし、なんだか拍子抜けだ。


「分かりました。その条件、受けます。」


こうして無事に許可を取ることに成功した。

…漢検の許可を取るだけだろうというツッコミは無しだ。

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