表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

三、第二ゲーム

『さて、少しすっきりしてきましたね。』

「これを延々続けて行けっていうの?もう誰も喋らなくなるわよ?」

『そうですね。テーマが悪かったようです。次は全員が喋れるように同じ質問を一人ずつ答えてもらうことにしましょう。しかし、目の前で人が死んでいくというのに皆さん冷静ですね。まぁ数人動揺している方もいらっしゃいますが。』

「冷静だと?実感が追いついてねぇんだよ。あんたこそ殺しの張本人のくせに淡々と進めやがって・・・俺らになんの恨みがあるってんだ!!人の命で遊んでんじゃねぇよ!」

 耐え切れず柊二は叫んだ。

『おー、漫画の主人公みたいなセリフですね。そういう熱血は嫌いじゃないですよ。さて、少し休憩時間をあげましょうかね。ではまた。』

 ブツッという音が鳴り、音声が終了する。

「くそっ!」

 柊二は歯を食いしばった。




「あいつには感情をぶつけても無駄みたいだな。」

 沈黙が少し続いた後、玄が話しだした。

「いつまで続ける気なんだ・・・」

 柊二は不安そうに呟く。

「誰が残るか、と言っていましたね。もしかすると何かしらの条件を満たせば何人でも生き残ることができるということかもしれませんね。」

「あいつに気に入られたらいいってことなの?」

「そ、そんなのどうすればいいんですか?条件が不明瞭すぎます・・・」

 陽菜は震えながら喋る。一連の騒ぎのショックがまだ抜けていないようだ。

「首謀者の好みを知った所で、というより知る術もないし考えること自体無駄なのかもね。」

 爽やかだった真が、少し暗い表情になる。

「とにかく、次は討論じゃないようだし、おそらく”喋らない”という手も使えないだろうな。でもこれ以上あいつの好きにさせるわけにはいかねぇ。」

「そうだな。だが主導権は全てあいつが握っている。あいつの言う”ゲーム”中ではなくそれ以外の時間に説得するしか手はない。」

 柊二と玄が話していたその時、


『あーコホン。そろそろ休憩は終わりでいいですかね?みなさん落ち着きました?』


 スピーカーから急に声が発せられた。

「この椅子から逃れられない限り落ち着かねぇよ。」

『ま、そうでしょうね。じゃー第二ラウンドいきますか?』

「待て。」

 玄がスピーカーの声を抑制する。

『なんでしょう?』

「無差別にもほどがあるぞ。お前はなんの罪もないやつを殺して楽しんでるのか?お前の中に少しでも良心があるのならもうこんなことやめるべきだ。」

『やめてくださいよ。私だけを悪者にするなんて。』

「何を言っている。首謀者はお前じゃないか。」

『さて、第二ゲームは、”遺言”です。何か残しておきたいメッセージがあれば言ってくださいね。順番はお任せしましょう。全員の答えが出揃ったら終了です。』

「おい!話を聞いているのか!」

 ブツッという音と共に、また音声が消える。




「話が通じると思ったのが悪かったか・・・」

「遺言って・・・全員死ぬ前提かよ。」

「これで何がわかるってのよ。」

「あの、皆さん言う気がないのなら僕から言ってもいいんですかね。」

 孝宏が急に喋りだす。

「死にたくはないですが、ここまでの命という可能性もあるのでしょう。生きて帰れるなら塾に行けなかった分さっさと勉強したいですね。一日勉強しないことによって受験に失敗というのも嫌ですし。まぁ遺言としては自分にお疲れ様と言いたいですね。生きていられればまだまだ頑張り時なんですが。以上です。」

「相変わらず冷静だな・・・」

「どうせ言わなきゃ終わんないんだから私も言うわよ。遺言ナシ!以上!」

 鈴は堂々と叫んだ。

「え?それありなの?」

 拍子抜けしたように柊二が隣の鈴を見る。

「いいんじゃないの?次あんた言えば?」

 鈴は柊二の顔を見る。

「俺か?まぁ遺言っていうのかなこれ。ここで落とされたら意味ないし死ぬのは怖い。けど俺はあいつを止めたい。もう事態が事態で許されることじゃねぇけど何か目的があってやってるはずだ。それを止める。」

「へー宣戦布告みたいねそれ。」

「次は俺が言おう。俺も柊二に同意だ。ここで落ちるなら、誰か俺の代わりにあいつを止めろってのが遺言になるな。」

 玄はゆっくりと本を音読するかのように迷いなく話した。

「なにあんた達、もう息ぴったりなのね。」

「じゃ、俺だね。ありきたりだけど家族とかお世話になった人に感謝を伝えて貰いたいね。ま、あの首謀者が願いを聞いてくれるかどうかしらないけどね。」

 真がまた爽やかに話す。

「私もなしで。」

 今まで全く喋らなかった由里子が突然喋りだす。

「後は石川さんだけよ?」

 鈴が陽菜に向かって喋りだす。

 陽菜は下を向いたまま震えている。





「・・・・・・い・・・・ない・・・・い・・・・い」

「石川さん?」

 震えていた陽菜が小さな声で何かを言っている。

「ない・・・たくない・・・・にたくない・・・・・・・」

「おい、大丈夫か?」

「石川さ・・・」







「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!!死にたくない!!死にたくない!!死にたくない!!死にたくない!!!死にたくない!!!死にたくない!!!死にたくない!!!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!!死にたくない!死にたくない!死にたくない!!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない!しっ!!!」






 ガコンッ






「!?」

「ああ・・・・ぁぁあああ」




『第二ラウンド終了のようですね。』









 スピーカーからの乾いた音が鳴ると同時、


 陽菜と孝宏は遥か下に消えていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ