二、第一ゲーム
ここは落ちたら確実に死ぬであろう高所。
そして全員が、たった今この場所から人が落ちて、下の方が赤く染まっているという光景を見てしまっている。
あまりの無残さに、震えている少女もいる。
全員何を話していいのかわからず黙りだしてしまう。
このまま無言で五分が経つのではないか、そういう思考が巡りだす。
が、突然柊二が申し訳なさそうに喋りだした。
「あのー俺さっき起きたばっかだからさ、みんな自己紹介してくんねーかな。このまま黙ってても多分どうにもなんねぇしさ。とりあえずってことで。あ、俺は第二高の前田 柊二ね。」
「確かに急にこの場に要らない人を話すのもな。俺はさっき言ったから第三高のお前からだな。」
玄はアゴで軽く鈴を指す。
「命がかかってるってのに呑気なもんね。まぁいいわ・・・私は第三高の生徒、渡辺 鈴。はい次の人どーぞ。」
「わ、私は第四校のい、石川 陽菜です。」
鈴に急にまわされ焦ったのか、頭にカチューシャをつけた少女、陽菜はおどおどしながら答える。
「つ、次の人お願いします。」
「めんどくせえ」
「そ、そんなぁ・・・。」
「チッ・・・第五高 工藤 雄太。」
いかにも不良、金髪少年の雄太はダルそうな顔で答える。
「じゃ、次は俺か。第六高の木村 真だ。とりあえずよろしくね。」
マスクをした少年、真はこの場ににあわない爽やかさで挨拶する。
「第七高の彼は落ちてしまったので、次は僕の番ですかね。僕は第八高の櫻井 孝宏です。今日は塾なので早く帰りたかったのですが、そうもいかないみたいですね。」
メガネをかけた少年、孝宏は淡々と話す。
「私は第九高の松岡 由里子。これでいいかしら。」
黒髪長髪のおとなしそうな少女、由里子は無表情で答えた。
「これで全員自己紹介は終わったわけだが・・・さて、どうする?」
玄は深刻そうな顔で全員に尋ねる。
「この場に要らないヤツを論じ合うよりあの首謀者をどうにかしたほうがいい気がするのよね。」
「で、でもどこにいるかもわからないですし・・・私達も動けないですし・・・歯向かったら間違いなく落とされますよね・・・」
「めんどくせぇなぁ。おい、誰か志願者いねぇのかよ。俺は御免だけどな。」
「いるわけないでしょ!」
鈴は食いかかるように叫ぶ。
「志願して落ちる人に選ばれるとも限らないですね。あの首謀者は”あなたたちが決めることじゃない”と言っていましたからね。」
孝宏は先程と同じく淡々と話す。
「つまり、会話の中に何かキーワードがあってそれを言ったヤツが落とされるってことか?そうだとすりゃ喋らなきゃ全員助かるってことになりそうだけど・・・」
柊二は困惑しつつ話す。
「そうなってくるとあいつも作戦を変えてくるだろうな。」
「そうだね、全員無事っていう選択肢があるならこんな大掛かりな設備を用意した意味もないし、あの首謀者もおもしろくないだろうし。」
真は相変わらず爽やかに話す。
「てことはもうすでに今までの会話であいつは落とすやつを選んでるってことか?そういや時間はどうなってる?」
柊二が不安そうに玄に話しかける。
「開始と同時には時計を見ていなかったが、だいたいあと一分くらいじゃないか?」
「もうすぐだな。一体どうやって判断するんだ?あいつの気に入らないヤツから無差別に落とすなら討論の意味も・・・」
「まだ喋ってねぇやつもいるしな。」
雄太が由里子を睨む。
「・・・・」
ビーーーーッという音が鳴り響く。
「!?」
「うわ!」
「おい!」
突如起こった出来事に一同は絶句する。
第五高の席にいた雄太が、遥かに下へ消えていった
『は~い。お疲れ様でした』
「てめぇ・・・」
『急すぎてびっくりしましたか?誰も五分終了後に”誰を落とすか発表してから”落とすなんて言ってませんよね?』
「一体何が目的なんだよ・・・」
『いずれわかりますよ・・・』




