最初のクライアントは、抹茶タピオカを詰まらせて失恋した幽霊です
ギィィィ…
2階の部屋のドアが完全に開いた。ルカはスマホのライトを部屋の隅へと向けた。
そこには、絶妙にボロボロなチェック柄のフランネルシャツを着た、男子高校生の幽霊が座っていた。彼の首には、干からびた小さな黒い粒が入った、透明で丸い容器がぶら下がっている。
幽霊は顔を上げ、できる限りの恐怖の表情を作ろうとした。目は真っ黒に染まり、唇の間からはドロドロとした黒い血がドラマチックに流れ落ちている。
「ウ、ウウウゥ… 去れ… ここは呪われた場所だ…」
幽霊は映画の悪霊の真似をして、作り物のような低い声で囁いた。ルカとサヴィアは一歩前に踏み出した。恐怖で怯むどころか、二人は目を細め、幽霊の見た目を頭のてっぺんから足の先までじっくりと観察し始めた。ルカの視線は、その悪霊の首にぶら下がっている物体に釘付けになった。
見間違いじゃないよな? あれって…
「サヴィア… お前も俺と同じもの見えてる?」
ルカは笑いをこらえきれず、すでに肩を激しく震わせながら囁いた。サヴィアは無表情にうなずいたが、その目は硬直したまま見開かれていた。
「マクロ的視覚識別に基づくと、対象の首にある物体は、太いストローと、その真ん中に詰まったMサイズのタピオカ1粒です。結論:対象の死因は、流行りの飲料を喉に詰まらせたことによる呼吸不全。」
その瞬間、ルカの我慢は完全に限界を迎えた。
「ブハハハハハハハ!」
ルカはそのまま床に崩れ落ち、急に激痛が走ったお腹を抱え込んだ。
「お腹痛い!タピオカ?!お前、タピオカ詰まらせて死んだのかよ、マジか?!ハハハハ!」
普段は氷のように冷徹でロボットのように堅物なサヴィアまでもが、突然理性を失った。
彼は3歩下がり、壁に寄りかかると、顔を覆って酸欠になりそうな声で笑い出した。
「フフフ、実に見事なまでにマヌケな死に様ですね…ハハハ!よりによって、超自然的な存在がこれほど滑稽な経歴を持っているとは…っ!」
「おいおい、仲間がいたわ!近所の洗濯物とブラジャーが落ちてきて下敷きになって死んだの、俺だけかと思ってたけど、まさかこんなところに同志がいたとはな!」
後ろに立っていたラファは、呆れた目で兄とサヴィアを見つめることしかできなかった。
「お前ら二人ともイカれてる。亡くなった方への敬意がこれっぽっちもないな」
タピオカ幽霊は呆然と口を開けた。先ほどまでドラマチックに流れていた黒い血がピタリと止まる。
その青白い顔は、神レベルの恥ずかしさで真っ赤に染まった。
目の前の人間二人の狂気によって、廃墟の主としてのプライドは完全に粉々にされた。
「あ、あんたたち…何笑ってんのさ?!酷すぎるよ!!!うわあああああん!」
タピオカ幽霊の泣き声が響き渡ったが、今度はホラーな悲鳴ではなく、ただの子供のイヤイヤ期のような泣き叫びだった。
彼は透き通った手で床を叩きながら、埃まみれの床の上をごろごろと転げ回った。
「確かにマヌケな死に方だよ!でも、だからってそこまで大喜びすることないじゃん!僕だって傷つくんだよ!抹茶味のタピオカのせいで死んだだけでも惨めなのに、幽霊になってからも隣のブロックの口裂け女にフラれるし!僕の人生、これ以上どう苦しめばいいのさ?!うわあああん!」
初めてのクライアント(幽霊)が床でゴロゴロと駄々をこねる姿を見て、ルカは笑いすぎて出た涙を拭いながら、必死に笑いを収めようとした。
彼は慌てて立ち上がり、汚れたズボンをポンポンと叩いた。
「あ、いや、ごめんごめん!よしよし、もう泣くなって、少年」
ルカは笑みをこらえながら幽霊の前にしゃがみ込んだ。彼の守銭奴としての魂が再び燃え上がる。
「俺はルカ。ここのチーフ・カウンセラーだ。そしてここは…世界初の『悪霊心理カウンセリング・エージェンシー』として正式にオープンする!」
タピオカ幽霊は転がるのをやめ、真っ黒で涙目のままルカを見つめた。
「あ、悪霊…心理カウンセリング?」
「その通りです、クライアント第1号様」
いつの間にか元の無表情に戻ったサヴィアが、制服のポケットから小さな手帳を取り出しながら言った。
「さあ、起立してフランネルシャツを整えてください。あなたの失恋の悩みとタピオカ・トラウマの登録手続きをすぐに開始いたします」
ラファはドアのところで腕を組み、諦めたように首を振った。
「本当にイカれたビジネスだな」
彼は、このおかしな二人組に傷口をえぐられてタピオカ幽霊が暴れ出したときのために、いつでも動けるようドアを警戒した。
ルカはすぐに埃まみれの古い木製椅子を引き寄せ、軽く息を吹きかけてから、まるで一流のプロ心理カウンセラーかのようなエレガントな仕草で腰掛けた。
サヴィアはその隣にペンを構えてスタンバイし、ラファは相変わらず不機嫌そうな顔でドアに寄りかかりながら状況を監視している。
「よし、クライアント第1号様」
ルカはフォーマルに咳払いをし、床に胡坐をかいてシクシク泣いている幽霊を見つめた。
「あなたの悩みを時系列順にお話しください。ここなら何を言っても安全なスペース(セーフスペース)ですから」
タピオカ幽霊は霊体の涙を拭い、フランネルシャツの襟元を整えた。
しかし、彼が口を開いた瞬間、ホラーなオーラは100%消え失せ、完全に悩みすぎてオーバーシンキングに陥っている渋谷のいまどき男子のバイブスに変わった。
「あの、ルカさん…正直言って、この死後の世界が始まってから、僕のメンタルヘルス、マジで大崩壊中なんです」
幽霊は力ない声で身の上話を始めた。「毎晩、不安が止まらなくて。
ルカさんも知っての通り、僕の死因って、TikTokのガチレビュー動画を撮ってる最中にタピオカを喉に詰まらせたことじゃないですか。
それだけで、この界隈の幽霊たちの間でも自己肯定感がバグるくらい低くなっちゃって(ロー・セルフエスティーム)」サヴィアが手帳に素早く書き留める。
「対象は、恐怖の価値に欠け、美学的に不十分と見なされる死因により、自己喪失の危機に直面している模様」
「そう!まさにそれなんです、受付のイケメンさん!」
タピオカ幽霊はサヴィアを指さして激しく同意した。
「それで、トドメを刺されたのがルナに出会った時で。隣のブロックの口裂け女なんですけど、めちゃくちゃ美人で、髪の毛もあの世のサロンで縮毛矯正でもあててきたのかってくらいサラツヤなんですよ。最初は僕たち、付き合い始めのケミストリーが最高だったんです!午前2時に神社の御神木の上で、将来について深く語り合ったり(深掘りトーク)して。もう完全に癒やし(ヒーリング)の空間だったのに」
ルカは顎を突き出し、ビジネスの儲け話を企むプロの顔で真剣に耳を傾けた。
「それで? 一番の問題は何なんだ?」
「問題は、彼女が超有害でマニピュレーター気質だったってことです!」
タピオカ幽霊は急にヒートアップし、先ほどまで血走っていた目は今や拗ねた思春期のガキそのものだった。
「昨日、彼女に突然音信不通にされたんです!僕のスピリチュアルなメッセージは全部未読スルー。彼女の霊界アカウントをチェックしたら、なんと、隣の学校のヤバい(レッドフラッグ)な落ち武者幽霊と一緒に撮った、音ハメのイケイケ動画をリポストしてたんですよ!正気ですか?!僕が毎週の13日の金曜日に、めちゃくちゃ努力して命がけで一緒に人間を驚かせてあげてたのに、歩くことすらおぼつかない落ち武者に負けるなんて!ショックすぎて、僕のメンタル、その場でブレイクダンスしちゃいましたよ!」
ルカは「メンタル・ブレイクダンス」というパワーワードを聞いて、再び爆発しそうになった笑いを必死に口元を手で押さえてこらえた。一方、部屋の隅にいたラファは鼻で笑った。
「最近の幽霊は打たれ弱すぎるな。口裂け女に振られたくらいで、廃墟を失恋男子の引きこもり部屋みたいにしやがって」
「ちょっと、そこの怒り肩の警備員さん、偏見でモノを言わないでください!これは愛着障害っていう重大な問題なんです!」
タピオカ幽霊は納得いかない様子で反論し、少しボサボサになった髪を整えた。
「とにかく、僕はルカさんからの解決策が今すぐ必要なんです。どうすれば未練を断ち切れる(ムーブオン)か、それとも、せめて…どうすれば僕がもっと垢抜けて(グロウアップ)、僕を見た元カノを死ぬほど後悔させられるか、教えてください!」
ルカは不敵な笑みを浮かべた。その瞳は、邪悪でありながらも確実に儲かるビジネスプランの閃きでギラギラと輝いていた。
「作戦を教える前に、お前にこれだけは言っておく。なあ、気づいてるか? 今の時代、誠実な奴を探すのは確かに難しい。だけどな、ゴースト(音信不通)にされたくらいでそこまで落ち込んでるお前を見る方が、よっぽど見てらんないわ。彼女が消えたのは、お前の顔が悪いからでも、甲斐性がないからでもない。ただ単に、彼女のメンタルのキャパシティが、かくれんぼレベルってだけだ。お前は理由を探して自分を責めてるけど、そんな卑怯な行動を取った時点で、それが一番明確な答えなんだよ」
ルカは一息つき、さらに熱を込めて続けた。
「『終わり』の一言も言えないようなマナーのない奴のために、お前の貴重な時間を無駄にするな。失恋したっていうプライドは捨てちまえ。もっと深い沼にハマる前に、間違った女から救われただけなんだからな。顔を上げろ、自分を磨け。お前のスペックは、キープにされるにはプレミアムすぎるんだよ!」
タピオカ幽霊は、目をうるうると輝かせながらルカを見つめた。
「…マジですか、アニキ?」
「おうよ。俺が嘘つく理由があるか? これでも俺、友達の間では『恋愛のドクター』って呼ばれてんだからな」
サヴィアが冷ややかな視線をルカに向けた。
「ほう? ドクターですか。ただの重症な『万年フリー』の間違いでは? 他人の関係ではヒーロー気取りなのに、自分の恋愛ストーリーではモブキャラだなんて、実に哀れな人生ですね」
サヴィアの言葉を聞いたルカは、ドラマチックに胸を押さえて苦しむフリをした。しかし次の瞬間、彼はサヴィアを鋭く睨みつけ、言い返した。
「おい、俺がフリーなのをバカにしたな? おいおいサヴィア、俺たちは同じ動物園の同じ檻の中にいる同類だろ。それにヒーローってのは、最初はいつも犠牲になるもんなんだよ。俺に運命の相手が現れた時は、一気に最高レベルまで上り詰めるからな!」
ルカのサカスティックな反論に、サヴィアはまた面倒くさそうに目を丸くして呆れた。ルカは指で顎をトントンと叩きながら、ビジネスチャンスを見出した目でタピオカ幽霊をじっと見つめた。
「さて、続きだ。作戦についてだけど、お前の問題は実はシンプルなんだよ。お前は本来、ハイクオリティな幽霊なんだ。だけど、あのヤバい(レッドフラッグ)落ち武者のせいでパーソナルブランディングの競争に負けてる。なぜなら、お前にはミステリアスさが足りないからだ」
タピオカ幽霊はすぐに背筋を伸ばし、目を輝かせた。
「それって、どういうことですか、ルカさん?」
「さっきも言った通り、お前はあの女にはもったいないくらいプレミアムなんだ。単刀直入に言うぞ。まず第一に、夜中にこの家の屋根の上で失恋ソングを聴くのをやめろ。それじゃ自分の市場価値を下げるだけだ」
ルカは熱弁を振るい、頭の中でこのセッションを「プレミアムプラン」として売り込むための戦略を組み立て始めた。
「第二に、スタイルを変えろ。いつまでもそんなフランネルシャツを着るな。理系オタクの寂しい幽霊にしか見えないぞ。明日から、ウチの会社の『スピリチュアル・垢抜けプログラム』に参加しろ。あの世のSNSでバズるような、美的な脅かし方のテクニックを使って、生きてる人間どもを恐怖に陥れる戦術を仕込んでやる!」
「うわぁ…すげぇ、めちゃくちゃインサイトフル(有益)だ!」
タピオカ幽霊は感動のあまり、何度も首を縦に振った。
「それで、元カノを後悔させるにはどうすればいいんですか、ルカさん?」
サヴィアが突如一歩前に踏み出し、話を遮るように手帳をタピオカ幽霊の目の前に突きつけた。
「恋愛におけるエレガントな復讐のコツですが、無料のセッションはここまでとなります。当社の規定に基づき、心理カウンセラー・ルカが核心となるフォーミュラを提供する前に、事務手数料と手付金をお支払いいただく必要があります」
サヴィアの説明を聞いたタピオカ幽霊は、固まったままパチパチと瞬きをした。
「え? お支払い? 僕、幽霊ですよ、ルカさん。人間の紙幣なんて持ってないです」
「あの世では価値が不安定なため、人間の紙幣は受け付けておりません」
サヴィアは氷のように冷たく言い放った。
「当方で受け付けるのは、貴金属、この家の庭に埋まっている古い宝飾品、あるいは歴史的価値の高いアンティーク品のみとなっております」
ルカはすぐに満面の笑みを浮かべ、サヴィアに向かって親指を立てた。この元システム、クライアントを揺すり取る件に関しては本当に天下一手だ。
タピオカ幽霊は必死に考えを巡らせているようだったが、やがてハッと指を鳴らした。
「そうだ! この家の1階にある台所の床板の下に、1990年代の最初の家主が残した小さな金庫があるんです! 中身は純金の手延べ棒が3本! 僕はその暗証番号を知ってます! もしそれを教えたら、僕の元カノを悔しさのあまり血の涙を流して泣かせるの、手伝ってくれますか?!」
『純金』という言葉を聞いた瞬間、ルカの目はきらきらと輝く「¥」のマークへと変わった。
「交渉成立! 今すぐその番号を教えろ。明日の夜には、お前をこの地区で一番イケてる幽霊にしてやる!」
先ほどからドアに寄りかかっていたラファは、目の前のあまりにも不条理な光景に、ただただ長い溜息をつくことしかできなかった。
自分の転生した兄と、あの毒舌な元システムが、金塊のために失恋した幽霊を恐喝することに成功したのだ。
「暗証番号は1997です、ルカさん。金庫は下の台所の、古いコンロの近くの床下に埋まってます」
タピオカ幽霊はすがるような目で答えた。
「本当にお願いします、ルナの奴を後悔させてやってください!」
「任せとけ! サヴィア、ラファ、下の台所に降りるぞ。我がエージェンシーの初資産を確保するんだ!」
ルカはそう命令すると、羽のように軽い足取りで真っ先に部屋を飛び出した。彼の守銭奴としての魂は、今や大空高くへと舞い上がっていた。ラファは呆れて首を振ったが、頭の中で90年代の金塊の推定価格を忙しく計算しているサヴィアと共に、後ろからついて行った。
三人はルカのスマホのライトだけを頼りに、暗闇に包まれた廃墟の階段を忍び足で下りて行った。
しかし、1階の食堂エリアに差し掛かったその時だった。そこは、横の庭に面した大きな窓のちょうど真横に位置する場所。ルカの足が、突如ピタリと止まった。
「おい、ちょっと待て… お前ら、ライトを消せ」
ルカは突然そう囁き、ラファとサヴィアの腕を肘で小突いた。
「どうしたんだ、兄貴? 敵か?」
ラファが即座に身構え、戦闘の構えをとる。
「敵じゃない、ラファ… あれを見ろ。横の庭にあるマンゴーの木の大枝の上だ」
ルカは窓の外を顎で指し示した。サヴィアとラファもルカが指す方向へ目を向けた。
そこには、マンゴーの木の生い茂る葉を突き抜けるおぼろげな月光の下、大枝の上に寄り添って座る二つの不気味な影があった。
一つ目の影は、白いドレスが妙に小奇麗に輝いている、髪の長い口裂け女だった――間違いなく、タピオカ幽霊を音信不通にした張本人、ルナだ。そしてその隣で、全身を白いボロボロの死装束で包まれているにもかかわらず、妙にカッコつけた姿勢で寄りかかっているのは、頭の結び目が少し右に傾いた落ち武者の幽霊だった。
「嘘だろ… あいつら、マジで他人の家の木の上でラブラブしてんのか?」ラファはそのあまりにも理不尽な光景に、開いた口が塞がらない様子で呟いた。「視覚分析:女性の対象は、いわゆる『ぶりっ子笑い』という心理誘導的な笑い方を行っている模様。一方、死装束に包まれた男性の対象は、スキンシップを図ろうとしているものの、自身の着物の合わせ目と縛り紐に阻まれて身動きが非効率的になっています。実に見苦しく、非生産的な相互作用ですね」
サヴィアは三六の板のように冷ややかな無表情でコメントした。窓の外からは、口裂け女のどこか気取った、しかし非常に媚びを売るような笑い声がかすかに聞こえてきた。
「キャハハハ… もう、あなたってば。隣の学校からわざわざ私に、摘みたての新鮮な彼岸花を届けるためだけにジャンプしてきたの? 本当にロマンチックなんだから… どっかの誰かさんみたいに、酸っぱくなった抹茶タピオカなんか持ってくる男とは大違いだわ、フンッ!」
そのヤバい(レッドフラッグ)暴走族風の落ち武者は、大枝の上でこれ見よがしに胸を張って身をよじらせた。
「ハハッ、過去の男の話なんかするなよ、ハニー。あんなのただの弱い雑魚霊だろ。タピオカ喉に詰まらせて死ぬなんてさ。俺を見ろよ、俺は男らしく、違法な原付レースの最中に大型トラックに正面衝突して死んだんだぜ? 幽霊としての価値が違うだろ?」
幽霊たちの陰口をバッチリ聞いてしまったルカは、笑いが爆発してこの偵察の瞬間を台無しにしないよう、必死に自分の口を手で塞いだ。
「ヤバい、ヤバすぎる! これは実写版修羅場ドラマのボーナス特典付きだわ! 上にいる俺たちのクライアント、マジでただの暴走族の落ち武者に寝取られてやんの! ハハハハ!」
「ルカ兄」
ラファは兄の肩をポンと叩いて呼びかけた。その顔は無表情だったが、瞳には邪悪な悪戯心がきらめいていた。
「金の金庫は後回しにして、まずは上のタピオカ幽霊をここに呼んできたらどうだ? 自分の元カノが彼岸花で口説かれてる現場を、特等席で見せてやろうぜ」
ルカはすぐにラファを見つめ返し、全く同じ邪悪な笑みを浮かべた。
「ナイスアイデアだ、ラファ! サヴィア、上のタピオカ野郎を連れてこい! あいつに言ってやれ。セラピーの第1段階、すなわち『残酷な現実との直面』が今ここで開幕するってな!」
サヴィアは最高級ホテルの執事さながらに、恭しく一礼した。「承知いたしました。では、あの未成年のクライアントを連行し、この霊界の生々しい『ネットラーレ(寝取られ)』を30秒以内に観賞させてまいります」




