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第十七話

 一年B組にて。

 ここは、えっと……。誰だっけ。あ、冬許(ふゆもと)寒那(かんな)と、高瀬(たかせ)奈々美(ななみ)だ。

 接点なんてあったっけ。いやまあ大体あるはずなんだけど……。

 冬許さんが、確か、…………。忘れた。

 あっ、あれだ! 中等部の頃三年間おんなじクラスだったんだよ!

 そ、れで……高瀬さんが……、修学旅行のフィールドワークの時、同じ班だったんだ!

 どっちが話しやすい? ……まあ、こっちかな。

「冬許さん、今ちょっといい?」

「……え、ボク? あれ、いぶじゃん。どしたの?」

「今度の夏休み、空いてる日っていつ?」

「え、え……? ん、っと……まだ分かんない、かも……」

「一日くらいは空いてる?」

「たぶん。空いてるよ」

「一緒にゲームセンターかアニメイト行かない?」

「え……!? い、行く……! 行きたい……!」

「良かった。じゃあその、連絡先を、くれないかな?」

「あ、うん。はい……これ」

「えっと、誰か他に友達呼んでもいいよ? ……二人でもいいけど」

 一応保険をはっておかないと。ドタキャンされたくないし。二人の方が何かと都合はいいけど。

「えっと……二人っきりがいいってこと? ……じゃあ、キミは、ボクとでぇとがしたいんだ」

「んぐ、そう、だね?」

 私と同じで明るい陰キャオタクならその結論には至らないと期待していたのに!

「じゃあまた夏休みにね!」

「うん」

 よし、もう疲れた。けどあと1、2……4人だ! 頑張れ私! ファイト私!

「あ、そうだ。ねぇ冬許さん。高瀬さん、高瀬奈々美さん呼んでくれない?」

「なっち? いいよ」

 席を立ち、高瀬さんの席まで行ってくれる。

「──えっと、本当に自分で合ってるんでしようか……?」

「ほんとだってば。なっち呼んでっていぶには言われたよ?」

「本当に……?」

 高瀬奈々美は自己顕示欲が低く、目立ちたがらず人見知りという設定だったはず。

 まあ気持ちは分からんでもないな。

 得意げに言うなと? そんなことは知らぬ。

「高瀬さん、ちょっといいかな?」

「え、あ……勇吹輝(いぶき)、さん……?」

「覚えてたんだ」

「お、覚えてますよ……」

「あ、えっ、と、ごめん、もう少しこっちに来てくれる……?」

「え、な、何でっすか……?」

「えっ。いや、だって、普通話す距離感じゃないというか」

 いやだっておかしいよ。廊下にいるのに、教室の真ん中あたりから話してるんだもん。

「ふつう……。そうなんすね」

「そうなんすよ」

「…………」

 ささっ、と小さく二歩ほど進む高瀬さん。机一つ分弱くらい。

「……このくらい?」

「ん~……? も、もう少しこっちかな?」

「…………」

 ちら、と伺いながら前に進む。そうして、ようやく教室の隅(廊下側)にたどり着いた時に、話を始める。

「えっと、夏休み──そうだな、七月上旬くらいに、空いてる日ある?」

「ぅ……。えっ、と……。あ。10日なら空いてるっすよ」

「じゃあその日にさ、一緒に夏休み課題しない?」

「え、っと、例えば、何処でっすか」

「え……。どっちかの家とか……あ、図書館とか……? カフェ的なとこでもいいし……。どこでも……。二人で行けるなら……」

「えっ。じ、自分と、そ、その……で一と、が、したい……ということっすか……?」

「ソウイウ言イ方モアルカナ?」

 多分向こうもテンパってる。

 そうだよね。

 あれ、高瀬さんは頭いいんだっけ。死のう。

「なるほど……」

 なるほどて何。なるほどて何!

 少々沈黙が流れたのち。

「分かりましたっす。10日で、勇吹輝さんは大丈夫なんすね?」

「え? あ、うん。……あっ、えっと。連絡先の交換をしていい?」

「あ、そうっすね。…………、はい。これっす」

「……ありがとう。じゃあ、またね」

 ──よぉっし。私頑張った! 次だ次ぃ! 次に行くぞぉ!!

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