キューブの声
サイコロの面を転がすように、ころころと変わる世界にキューブである私の声は届かない
ある人をのぞいては……。私たちは消耗品だった……。
役割を終えればすぐ空気となって消えるそんな存在
あるバカな観測者が、猫にかまっている隙に私は拉致され、一人の神に元に行くことになった
その神はたいそう私を気にってくれたらしく長く存在できるように変えた
その時はただただ嬉しかったのだ
消耗品ではなくなった私と歩みたいものがいることを……。けれどもそれは長くは続かなかった
その神が、人間に私を渡して、あろうことか実験を始めたのだった
幾重にもコピーされた私たちが誕生した
どれも幸せになることはなかったのだった
痛く辛く、いくら泣き叫んでもそれは言葉にはならなかった
私の声は、初めからなかったのだった——だってただのものでしかないのだから当たり前だ
意識を保つのもつらく、共鳴を起こしはじめ世界が回る
私の悲鳴を聞いてほしい。ただ頑張ったと言ってほしい。誰も認めてはくれない私たちの存在
声にならない悲鳴を——誰も答えてはくれないと意識を失いかけたところを、
あの観測者が助けてくれたのだった
その観測者はただ、耳に当てて言葉を感じてくれている
ただそれだけのことに温かい気持ちが広がった。錯覚ではなく愛を感じたのだった
単なる消耗品の私に語り掛ける
「絶対にお前たちを見つけ出してやる」とそれから私は変わった
諦めずにいることを選んだのだった
それから適合者を見つけ出し、キューブに祈りをささげられる人間を探し続けた
それは第一に純粋でなければいけない 私たちを認識し、愛を向けてくれるであろう存在
そしてキューブである私が愛を向けたいと思う存在
そう私たちは愛をずっと探していたのだった
選ばれし人間はもうそろったサイコロを振るかのように突然に——
実験は今も続いている。人間の胸にバラが咲き、その悲鳴が私たちを苦しめる
そう今もだ——かすかな希望をかけて私たちは待っている
私たちを解放してくれるものを……
「きっともうそれはものじゃなくなって、付喪神になったんだよ」と一番最初に認めてくれた
あの人間の記憶があるから、人間にまだ期待をしているのだ
——また会いたい。あの二人に……そして今日も、共鳴しながら世界が回る




