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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第十四章 建国

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第247話 伝記本

 それから(またた)く間に、四年ほどの歳月(さいげつ)が流れ()っていた(ころ)

 戸籍(こせき)調査(ちょうさ)(かん)(りょう)していたため、昨年には各地方の議会(ぎかい)選挙(せんきょ)(おこな)われており、地方(ちほう)議員(ぎいん)選出(せんしゅつ)されていた。

 今年には、各地方の首長(しゅちょう)選挙(せんきょ)予定(よてい)されている。

 さらに来年になると、国会(こっかい)議員(ぎいん)選挙(せんきょ)予定(よてい)されていて、三年後のガイン自由都市の二百周年に合わせて大統領(だいとうりょう)選挙(せんきょ)(おこな)われる予定(よてい)になっている。

 そして、正式な大統領(だいとうりょう)選出(せんしゅつ)され次第(しだい)、新国家の樹立(じゅりつ)も正式に宣言(せんげん)される手筈(てはず)になっている。

 また、この(ころ)になると、(ほう)整備(せいび)もほぼ完了(かんりょう)しており、司法(しほう)試験(しけん)(すで)実施済(じっしず)みである。並行(へいこう)して整備(せいび)していた警察(けいさつ)検察(けんさつ)組織(そしき)出来上(できあ)がっていて、これで司法(しほう)(かん)しては一区切(ひとくぎ)りを(むか)えていた。

 それらの(ほか)には、今後の発展(はってん)見据(みす)えて、各地の鉄道網(てつどうもう)高速(こうそく)道路網(どうろもう)整備(せいび)順調(じゅんちょう)な進みを見せていた。

 ただ、これまでのように、建設(けんせつ)のたびに測量(そくりょう)(おこな)っていたのでは効率(こうりつ)が悪いとの指摘(してき)()けていた。

 そこで、日本の制度(せいど)参考(さんこう)にして国土(こくど)地理院(ちりいん)新設(しんせつ)していて、この国の詳細(しょうさい)地図(ちず)作成(さくせい)も始まっている。

 このように、(あわ)ただしく新しい国の形を(ととの)えていた、ある日。

 仕事(しごと)一段落(いちだんらく)した休憩(きゅうけい)時間(じかん)に、法務(ほうむ)大臣(だいじん)のバルトさんが雑談(ざつだん)を始めた。

「しかし、このままいきますと、臨時(りんじ)ダイトウリョウには新しい二つ名が()えそうですね」

「そうなのですか?」

 バルトさんは力強く(うなず)きを(かえ)し、続きを(かた)る。

「ええ。しかし、これで何個目の二つ名になるのですかね? ええと。『(みみ)(なが)悪魔(あくま)』……は、カウントしないのでしたよね。『本の父』、『学問(がくもん)の父』、『平民(へいみん)(まも)り手』……」

 私の二つ名を指折(ゆびお)(かぞ)え始めたバルトさんに、私は(あわ)ててストップをかける。

「ちょ、ちょっと()ってください。あなたの生まれる(はる)か前の私の二つ名について、どうしてそんなにも(くわ)しいのですか?」

 バルトさんはとても意外(いがい)そうな(かお)をして、答えを(おし)えてくれる。

「え? 臨時(りんじ)ダイトウリョウは、読書(どくしょ)趣味(しゅみ)ですよね? 最近、(ちまた)で人気になっている、あなたの半生(はんせい)(つづ)った伝記本(でんきぼん)は、()んでおられないのですか?」

 その回答に、私は思わず(あたま)(かか)えそうになりながら、正直(しょうじき)気持(きも)ちを(つた)える。

「ああ、あれですか……。自分のことを、必要(ひつよう)以上(いじょう)美化(びか)して()めちぎっている本なんて、()ずかしさで(もん)(ぜつ)してしまいそうになりますので、読んでいませんよ」

 それを聞いたバルトさんは、ニカッといい()みを()かべて、(こわ)い話を追加(ついか)してくれる。

「それはもったいないですね。ちなみに、私は臨時(りんじ)ダイトウリョウと直接(ちょくせつ)会話(かいわ)できる立場(たちば)ですから、それだけでもかなり(うらや)まれていますよ? 飲み会の(せき)ですと、臨時(りんじ)ダイトウリョウの日常(にちじょう)ネタは、私の鉄板(てっぱん)のネタになっていますから」

 私のプライバシーが駄々(だだ)()れである事実(じじつ)に、頭痛(ずつう)(おぼ)えながら休憩(きゅうけい)時間(じかん)()えた。

 そして、また私たちは、新しい国造(くにづく)りの仕事(しごと)へと(もど)ったのであった。


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