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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第十四章 建国

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第243話 目指すべき国の形

 定例(ていれい)閣僚(かくりょう)会議(かいぎ)を開いていた時、法務(ほうむ)大臣(だいじん)のバルトさんが質問(しつもん)を開始した。

当面(とうめん)懸案(けんあん)だった、地方(ちほう)公務員(こうむいん)問題(もんだい)目途(めど)が立ちました。そこで、臨時(りんじ)ダイトウリョウが目指(めざ)す、最終的な国の形について教えていただけませんか? そろそろ、そこに向けての準備(じゅんび)を始めたいと思いますので」

 私はそれに深く(うなず)きを返し、これからの共和(きょうわ)(こく)のあるべき姿(すがた)(かた)る。

「今までの国王や領主(りょうしゅ)は、とても強大な権力(けんりょく)()っていました。これから正式(せいしき)な『大統領(だいとうりょう)』を選出(せんしゅつ)したとしても、その『大統領(だいとうりょう)』が大きすぎる権力(けんりょく)()っていると、『市民(しみん)』に(きば)をむいた時、(だれ)にも止められなくなります。これをあらかじめ抑止(よくし)する方法として、三権(さんけん)分立(ぶんりつ)の考え方を導入(どうにゅう)します」

 ちなみに、三権(さんけん)分立(ぶんりつ)などの用語(ようご)は、あらかじめこの国の言葉(ことば)適当(てきとう)造語(ぞうご)を作っていた。いまさらではあるのだが、今後のことを考え、あまり日本語の名称(めいしょう)乱用(らんよう)するのもどうかと考えたのである。

「国を動かすための権力(けんりょく)には、大きく分けて三つあります。具体的(ぐたいてき)には、裁判(さいばん)(おこな)うための権力(けんりょく)()法権(ほうけん)政策(せいさく)実行(じっこう)するための権力(けんりょく)行政権(ぎょうせいけん)法律(ほうりつ)を作るための権力(けんりょく)立法権(りっぽうけん)となります」

 日本人であれば当たり前の説明(せつめい)になるのだが、この国の人々には聞きなれない考え方だったようで、少し戸惑(とまど)っているようも見える。

 しかし、この場には非常(ひじょう)優秀(ゆうしゅう)なものしかいないため、すぐに理解(りかい)してくれるだろうと考え、(かま)わずに説明(せつめい)を続けることにした。

「国王は、これら三つの権力(けんりょく)の全てを(にぎ)っていました。しかし、これからは三つの機関(きかん)それぞれにこれらの権力(けんりょく)()たせて分散(ぶんさん)し、相互(そうご)監視(かんし)させることにより、権力(けんりょく)暴走(ぼうそう)抑止(よくし)します」

 偉大(いだい)思想家(しそうか)であるモンテスキューの提唱(ていしょう)した三権(さんけん)分立(ぶんりつ)を、この国でも採用(さいよう)することを説明(せつめい)した。

 そうすると、流石(さすが)優秀(ゆうしゅう)人材(じんざい)たちである。すぐにこの話の要点(ようてん)理解(りかい)し、的確(てきかく)質問(しつもん)を投げかけてきた。

 まずは財務(ざいむ)大臣(だいじん)のモントさんが、質問(しつもん)口火(くちび)を切る。

「なるほど。行政(ぎょうせい)の長はダイトウリョウだと理解(りかい)しましたが、(ほか)権力(けんりょく)()つのは(だれ)になるのですか?」

司法(しほう)は、最高(さいこう)裁判所(さいばんしょ)長官(ちょうかん)ですね。立法(りっぽう)は、これから説明(せつめい)する国会(こっかい)議員(ぎいん)となります」

 それからの私は、これらの具体的(ぐたいてき)内容(ないよう)についての説明(せつめい)を続けた。

 裁判(さいばん)については、日本を参考(さんこう)三審制(さんしんせい)採用(さいよう)する。具体的(ぐたいてき)には、地方(ちほう)裁判所(さいばんしょ)高等(こうとう)裁判所(さいばんしょ)最高(さいこう)裁判所(さいばんしょ)をそれぞれ設置(せっち)する。

 そして、(ほう)整備(せいび)がある程度(ていど)完了(かんりょう)した時点で司法(しほう)試験(しけん)実施(じっし)し、成績(せいせき)上位者(じょういしゃ)から順番(じゅんばん)により高位(こうい)(さい)判官(ばんかん)として採用(さいよう)する。

 国会(こっかい)については、アメリカの制度(せいど)参考(さんこう)にして、上院(じょういん)下院(かいん)二院制(にいんせい)とする。

 個人的(こじんてき)には、総理(そうり)大臣(だいじん)(くび)(かん)(たん)()()えられる議院(ぎいん)内閣制(ないかくせい)(すぐ)れた制度(せいど)であると考えている。

 しかし、まだまだ民主(みんしゅ)主義(しゅぎ)未成熟(みせいじゅく)なこの国では、あまり複雑(ふくざつ)制度(せいど)無理(むり)だろうと判断(はんだん)していて、より()かりやすい大統領制(だいとうりょうせい)採用(さいよう)することとした。

 下院(かいん)()(せき)人口(じんこう)配分(はいぶん)し、上院(じょういん)地域(ちいき)代表(だいひょう)とみなして各地方で同数の議員(ぎいん)選出(せんしゅつ)することとした。

 そして、上院(じょういん)議員(ぎいん)選挙(せんきょ)()わせて最高(さいこう)裁判所(さいばんしょ)(さい)判官(ばんかん)国民(こくみん)審査(しんさ)(おこな)い、過半数(かはんすう)否定的(ひていてき)得票(とくひょう)となった(さい)判官(ばんかん)は、失職(しっしょく)することも合わせて説明(せつめい)した。

(こま)かいことはこれから()めていくとして、だいたいの方向性(ほうこうせい)以上(いじょう)のようになります」

 私は説明(せつめい)()めくくり、ここから(あらた)めて、本格的(ほんかくてき)国造(くにづく)りを始めたのであった。


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