2章 プロローグ
魔眼狩り襲撃事件を機ににーさまは毎日厳しい特訓をするようになり、私も5歳から同じように特訓を受けるようになった。
その後、屋敷には常にとうさまかかあさまどちらかが残るようになったためか、再び襲撃が起こることもなく年月は経ちさらに7年の時が過ぎて私は12歳となった。
「身だしなみよし、と」
日課である朝起きた後の身だしなみチェック。鏡にはかあさまとよく似た少女が映っており、尻尾が機嫌よくゆらゆらと揺れていた。
違いとしては藍色と紅色のオッドアイであることと、年齢の平均より低身長というくらい。……種族的に考えてこれ以上の成長は望み薄らしいので少し残念。
いや、十分可愛い容姿だからいいんですけどね?
そんなことをしているとノックが聞こえ、私がどうぞというとメイドが数人入ってきた。朝食前のお着替えタイムである。
「おはようございます、ノーラ様。お着替えのほうさせていただきます」
「はい、お願いします」
他人に手伝ってもらうような年齢ではないのだが、これもお嬢様に生まれた定めか……と最近はすでに諦めている。
なのでそれはいいんですけど……。
「ノーラ様にはやはりこちらのドレスですよ!」
「いやいや、今日だって特訓するのですから通気性よし、可愛さよしなこちらの服を……!」
「フリフリのついたものとかいかがですか!?」
「あはは、できれば動きやすいものがいいです……」
着せ替え人形にされるのだけはいつまで経ってもなれないですね……。
「ごちそうさまでした、それでは父上、任務に行ってまいります」
「あぁ、気をつけてな」
「あ、ノエルにーさま待ってください」
朝食後、出かけようとするにーさまを呼び止めて手を取り、魔眼を使って簡単な身体強化をかけた。
「あ~……また何か視えました?」
「かすり傷ですが怪我する未来が視えたので。 にーさまなら油断しなければこれで大丈夫です」
「ありがとうございます。 ノーラも今日は自警団で任務に行くのですから気を付けるように」
「はい。 といっても団長も皆さんもいますし大丈夫ですよ」
「ははっ、そうでしたね。 それでは、行ってきます!」
「はい、いってらっしゃいです」
「ノーラもだぞ。 まだ小さいとはいえ副団長様が遅刻は笑えないからな」
「あわわ、そうでした。ごちそうさまでした、行ってきます!」
片付けはメイドたちに任せて屋敷を飛び出した。
そんな様子をみていたエリナはくすくすと笑う。
「しっかりしているようでまだまだ子供だもんね~。昔のユー君を見ているみたいで懐かしい」
「なっ、別に俺は寝坊したりなんか」
「あれ~? 親切に朝起こしてあげてたのは誰でしたっけ~?」
「ぐぬ」
「それにほんとは毎朝ノエル君ノーラちゃんをぎゅっとしたいのに我慢してきびしい言い方をしたり」
「うぐぐ……」
「少しは素直にならないと、とうさま嫌い!って言われちゃうよ?」
「とうさま、嫌い!?」
「あ、あれ、ユー君?」
「嫌い、嫌い、ノーラが俺を嫌い……ぶつぶつ」
「冗談だってばー! もー、これじゃあどっちが子供かわかんないよぉ……」
エリナはやれやれと苦笑しながら半日ユリウスのご機嫌取りをし続けていた――




