魔眼
「というわけで、今後は街の警備の増員と、外へ出るときに何人か護衛をつけたほうがいいと思うんだけどどうかな?」
視察から帰ってからすぐ、かあさまととうさまは難しい顔をして話していた。私が眠った後何かあったのだろうか。
「そうだな、魔眼狩りの好きなようにさせるわけにはいかないし、街の人の安心のためにも警備を増やそう。護衛については近いうちにつけようと考えていたところだ」
「もしかしてユーくんも付け回されてた?」
「あぁ、一度捕まえようとしたがことがあったが逃げられてしまった。あれは訓練を受けた者の動きだな。魔石をいくつか所持しているのもめんどうだ……」
どうしたものかと腕を組むとうさま。
平和な世界に生まれたかと思ったがそうでもないようだ。
「かあさま、まがんとませきって?」
「魔眼はね、本来ならたくさんマナを必要とする魔法を簡単に使えちゃうすごい力なの。それでこの魔眼っていうのがね、あまりにも大きな力を持ってるせいで人が死んじゃっても石になって残るんだけど……」
「それを魔石という。この魔石の厄介なところが、宿っている魔法を誰でも行使できるということだ。まぁ、魔眼持ち並みの力は発揮できないことが救いだが、それでも厄介な力であることに変わりはない」
「魔眼も魔石も貴重なものだからね。悪い人たちの間で取引されてるんだ……」
悲しそうにかあさまが語る。
おそらく魔眼持ちの人身売買や命を奪うことで魔石化させられる人もいるのだろう。
「かあさまたちもまがん、あります?」
「うん。お母さんとお父さん、ノエルくんも持ってるよ。魔眼持ちの家系は同じように魔眼を扱える子が生まれることが多いから、ノーラちゃんもいずれ使えるようになるんじゃないかな」
「うー、わたしも、はやくつかえるようになりたいです……」
かあさまもとうさまも、私が見ていないところで頑張っているはずだし危険な仕事もしているかもしれない。
そう思うと、まだ幼いとはいえ何もしてあげられないことがもどかしい。
「きっと使えるようになるよ~、お母さんとお父さんの子供だもん!」
「むぎゅ」
「ノーラはまだ小さいんだから、難しいことを考えなくてもいいんだぞー。それに、魔眼がなくても俺たちの子だ!」
「むぎゅぎゅ」
かあさまととおさまにぎゅっと抱きしめられる。嬉しいけど苦しいです……。
そんなやりとりをしているとちょうどにーさまが通りかかった。にーさまヘルプミー!
「にーしゃま~」
「あ~! 3人だけでずるいです! 僕も混ぜてください!」
「むぎゅぎゅー」
にーさまも加わって3人からぎゅっとされてしまった。
「(まったくもう、しかたないですね……)」
やれやれとため息をつきながら窓から夜空に浮かぶ月を見上げる。
神様、もし私に魔眼が宿るのであれば。そのときはどうか私の家族を守れる力をください――




