閻魔様は可愛い
ぐへへ、かわいいよグヘヘ
「~♪」
「何やってるの?」
霊夢の問いかけが少し聞こえたので、耳からイヤホンを外す。
「実は、前からカッパに頼んでたものができたようだから試しに使ってるんだよ。」
ポケットから端末を取り出しながら言う。
「ふ~ん...こんな小さいもの使って何したいんだか...」
「色々できるからな。ちなみに、今は音楽を聴いてた。」
「私もほしいかも...あとで使わせてよ。」
「うん、あとでな~。」
いや~、やっぱりにとりすごいな。相変わらずクオリティの高い製品作ってやがる。
まあ、僕がカッパと仲良くやってる理由は次の次の次くらいに分かると思うけど。
「し...新聞...号外です...」
死にかけの声が聞こえてくる。いつも新聞を届けてくる天狗だろうけど、一体何があったんだか。
「うへへ...記者魂は...永遠に不滅...」
ぶつぶつと呟きながらふらふらと飛んでいく。いや、ほんと何があったんだ?
「こんな時間に新聞なんて珍しいわね...」
霊夢がそう言いながら新聞をめくる。
「...ちょっと買い物行ってくるから、留守番お願いしてもいいかしら?」
「あれ、この前買い出しに行ったばかりじゃなかったっけ?」
「いや...ちょっとね。留守番お願い!」
言葉を濁しつつ買い物に行った。なんだったんだ?
「まあ、いいか。どうせ神社に誰も来るわけないし。もう少し端末の操作確認でもしておくか。」
それから10分くらい経った頃...
「すみません、どなたか居ないのですか?」
まさかの参拝者。今日に限って珍しい。
「居ますよ~。ちょっと待ってくださいね。」
目の前にいるのは小さい子ども。まあ、変なの見慣れてるからなんとなく妖怪っぽい奴だなとは分かるけど。
「霊夢は今出掛けてるから、申し訳ないけど出直してもらってもいいかな?」
「...子ども扱いのような口癖はやめてくれませんか?その...さすがに私もそれなりの者ですし。」
まあ、なんとなく分かるけど。
それにしても、一人でここまで来たのか。
「そうだ。甘酒が少し残ってるんですよ。もしよかったらどうですか?」
「いえ、一応勤務の一環としてここに来たので。」
堅い。
可愛らしい女の子という外見から一気に堅い女というイメージに早変わりする。
「そういえば、あなたのことを少し調べていたのですが、最近暴動を起こしていたようですね。」
「え...あぁ...」
変な奴らが来たときのあれか。
「聞き捨てなりませんね。あなたのために言っておきますが、人のために善行を行うと見せかけて悪事を働くというのは誰にとっても下劣な行為です。そのようなことをしていては...」
「えっと...俺のことを調べてるんだよね?」
「はい、もちろんです。」
~ver.蓮~
「俺の性格というよりは、この一つの体にいくつもの人格を形成しているということをしっかりと理解してないんじゃないか?その言いぐさだとそう聞き取れる。さっき俺が...俺たちがあんたを見た目で判断してしまったこともそうだが、あんたも俺たちを見た目で判断するのはよくないだろ。」
「えっ...いや...」
「それにいきなり来て俺たちに説教しだすのもどうかと思う。初めて会ったときくらいは相手のことも考慮して話を進めるべきだと思うんだ。もちろん、勤務の一環としてと言ってるから仕方ないかもしれないが、それでもマナーとしては慎んでもらいたい。」
「...」
あ、やべ...言いすぎたか...
「...ぁ...アホー!バカ!お前なんか地獄に落としてやる!」
涙目になりながら、捨て台詞を吐き捨てながら去っていく。
「ありゃ、やらかしたかな...」
「はぁ...やっと着いた...」
また参拝者...もとい珍客か。今日はいつもより忙しい。
「言いたいことは大体分かってるけど、さっき来てた小さい奴ならどっか行ってしまった。」
「ええ!また映姫様行ったのかい!?あたいはもうクタクタなんだけど...あの人も難儀だねぇ...」
「映姫様...ねぇ...」
「そういや、あんたは映姫様に何か説教されたりしなかったのかい?」
「されそうになったけど、言い返したら泣きながらどっか行った。」
「...マジで?」
「マジです。」
「あんた、勇気があるねぇ...あたいは小町っていうんだ。映姫様の部下なんだけどさ、もし怒られそうになったときはあたいを助けてくれると嬉しいんだけど。」
ヘラヘラと笑いながら言う。この部下にしてあの上司か。
「あんたも大変なんだろうな。」
「えへへ、いつも怒られてばかりで...」
だろうね。
「え?あんたそんなことしたの?」
「新聞見てからすぐに出掛けたお前よりかは幾分マシだぞ。」
「あたしだって顔を合わせづらい時があるのよ。」
「お前は一体あの子に何やったんだ...」
「閻魔の説教は長いってけっこう知られてるからね。私自身、悪いことをしてる訳じゃなくても見られたりしてる訳よ。ちょっとでも悪いところがあればネチネチと因縁つけられるからたまったもんじゃないわよ。」
「え、あの子閻魔様だったの?」
「えっ?知らなかったの?」
...嫌な予感しかしない。
まあ、その嫌な予感は大体的中するわけなんですが。
「ちなみに、新聞には何書いてたんだ?」
「燃え尽きぬ執念、天狗の記者魂は閻魔さえ黙らせる!だって。」
「天狗のことだ、どうせ説教されたんだろうな。」
同情はする。
ゆ「最近、疲れるのよね。」
駿「ゲームばっかりしてるからだろ。」
霊「余った甘酒沸かしたわよ。」
ゆ「うっひょー!甘酒ひゃっはー!」
駿「甘酒好きなんだな。」
ゆ「冬といえば甘酒でしょ!」
霊「まあ、そうね。こたつに入って飲む甘酒はいいわよね。」
ゆ「ここで甘酒豆知識。カレーに甘酒入れると美味しくなる!...らしい。」
駿「らしいってなんだよ。ちゃんと調べてから言えよ。」
ゆ「TVで見ただけだもん。調べるのは面倒だから調べてね。あと、インフルエンザとかにも気を付けてね~。」