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美しいということ。

なんかうまく丸めこまれたような気もしたけれど、良いお風呂だった(?)



お風呂につかったあとのけだるさを、美味しいアイスティーで癒しつつ、ベットにゴロゴロとしていたらコンコン、と音がした。



「はーい」


元気に返事をしたら、若干言いにくそうに、



「リッカ様、殿下がお呼びでございます」


ときた。


こんな時間にかよ!しかも呼び出しか・・・・・地でオレサマってほんとやだなぁ。




「・・・はーーい」



テンションせっかくあげたのに、空気の読めない男は嫌われるぞう。






案内されて、殿下の部屋へと通された。



扉を開けて、思わず立ち止まる。





そこは、水の中だった。





「すごい・・・・・キレイ・・・」



正確には、巨大な水槽が、部屋に置いてあった。


さまざまな木々や岩が置かれ、水の中を色とりどりの魚たちが泳いでいる。




「何をしている。中へ入れ。」



声をかけられて、ハッとする。


いかん、殿下に呼ばれたんだった。




中に入りながらも目が離せない。ずっと見ていたくなるくらい、目の前の世界は美しかった。





「気に入ったのか?」




「はい!・・・・すごいですね・・・これは殿下が?」




「そうだ。手入れはすべてしているわけではないが、作ったのは私だな」




はぁー・・・こんな傍若無人にもすごい趣味があったもんだ。


っていうか才能か?



コレ、展覧会とか出品したら間違いなく優勝レベルだよ。




「美しいものは心がなごむからな」



「・・・・なんかのイヤミですか?」




珍しくも良いところを発見してやったのに、殿下はホンっとに一言多いなー。



ちょっと睨みつけてやったら、真顔で返された。



「自覚があるのか」




「かえっていいですか」




くるっと踵を返そうとすると、まてまて、と引きとめられた。



「お前はこれを見て、どう思う?」



水槽の前の椅子に座らされて問われたので、素直にきれいだと思いますと答えた。



「皇族とは、この魚のようなものだ。この《箱庭》のようなもの、とたとえてもよい」



どうやら、この水槽は《箱庭》というらしい。


しかし、話の展開が分からない。



「どういうことですか?」



「私は美しいだろう?」



真顔で言われたよ?

しかもほぼ決定事項ぽいってか断言ぽいよ?




「・・・・・ナルシストだったんですが?」



「違う!」



少し焦り気味で否定されたけど。

えー・・・殿下はナルだと思う・・・。



「何がおっしゃりたいのかさっぱりですが」




「つまりはだ、なぜ美しくあらねばならないかだ。


お前は、美しいものははじめから美しいと思っていないか?」



そりゃまー、ある程度は。



「だがそれは大きな間違いだ。


いいか、美しさとは作られるものだ。手間をかけ金をかけ時間をかけ、さまざまなものの犠牲の上に美しさは作られている。


なぜこの箱庭は美しいのか?それはそれ相応の価値をかけたからだ。


なぜかけねばならないのか、それが必要だからだ」




「必要、ですか」




「そうだ。皇族はいわば表の顔だ。それが醜くみすぼらしければ、国自体が軽んじられる。周りにも、国民にもな。


誰もが最初は顔形で判断するからな、始に見下されたら終わりだ。


だから、皇族は血税をつぎ込んででも体裁を整えなければならない。それは義務だからだ」



義務、か。




殿下の言うことも、一理あるのだと思った。


だって、私は実際に第一印象で、今までずっと損もしてきたから。



人は最初は中身より外をみるものだ。




「ちょっと・・・・わかる気がします」



殿下も、考えて努力してきたのかな、なんて思った。


国をおって立つってすごいなぁ・・。





「お前に美しくなれと命令するのは、それがお前に与えられた義務だからだ。


この国が侮られないためにも、お前にはせめてそこそこごまかせるくらいの美人にはなってもらう。



まぁ安心しろ、うちのやつらはみんな優秀だ。そして女は化けやすい。



とりあえず体型をどうにかすればまぁなんとか見られるようにはなるだろうからな」






何だろう、このプラスからのマイナスへのものっすごい下げっぷりは。





殿下はそのどうしようもない中身をどうにかされたらいかがかな!!!!

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