朝の騒がしさ
朝起きると、昨日のようにマウントを取られているということはなかった。が、
「すぅーすぅー」
気のせいかな?横から寝息が聞こえる気がするんだが?
あれれー?俺昨日は一人で寝たはずなんだけどなー?なんでかなー?それに何か体温のような暖かさが腕に絡みついているような?
首を寝息の聞こえるほうに向けると・・・
「やっぱりいたよ!」
案の定横には、俺の腕に腕を絡めたルナがいた。
「ふあぁ、おはようアヤトくん。どうしたの?朝っぱらから大声出して?」
「どうしたもこうしたも!何で俺と一緒にベッドで寝てるんだよ!」
「え?だってカップルじゃん。ベッドで一緒に寝るのは普通でしょ?」
「いや、そうかもしれないが!付き合って一日目で一緒にベッドで寝るカップルがどこにいる!」
「ここにいる」
「そういうことを言ってんじゃねえんだよぉぉぉ!!!」
リルクの朝に俺の叫びが響き渡った。
・・・
「あら、アヤト君おはよう!」
部屋から出て食堂に行くと、宿のおかみさんことジーナさんがニヤニヤしながら挨拶してきた。
「おはようございます・・・ちょっとこいつ如何にかしてくれませんか?」
俺はこの世界ではめんどくさかったのであまり敬語を使っていなかったが、この人はそういうわけにはいかない。
何故かと言うと、宿のおかみさん・・・つまりルナのお母さんだからだ。
いつかお義母さんになるかもしれないので、敬語を使わないわけにはいかない。
で、現在ルナはというと・・・朝起きてから、いや、恐らく寝ている時から俺の腕からくっついて離れない。しかも今なんて腕に頬擦りしてるし。
いくら付き合い始めたからと言って、まだ会って一日も経ってないのにここまでべったりになるものなのか?え、何?俺の方がおかしいの?俺の感覚のほうが間違ってるの?付き合うという表面上だけの行為にはこんな不思議なパワーがあったの?あ、俺の感覚は間違ってない?そうかそれはよかった。異世界だから付き合うという行為だけで何か不思議な力が働くのかと思った。あれー?でもだったら、何でルナは俺にこんなにべったりなのかなー?こっちのほうが不思議だなー。ん、何それはルナの個性?そうですか。ルナが俺にべったりなのは個性ですか。そうですか。
「ルナはアヤト君にぞっこんだからね。我慢しな。あたしと夫に報告に来た時も目をキラキラさせてたからね」
「そうだよ!私はアヤトくんにぞっこんなんだよ!」
「普通そこは、言われたくないことを言われたから恥ずかしいってなるところなんだけどな」
「恥ずかしいなんてある訳ないよ!むしろアヤトくんの知りたいことならなんでも教えてあげるよ!アヤトくんには私の全てを知ってほしいからね!」
うん、ちょっと段々怖くなってきたぜ!
まあとりあえず飯食うか。
食堂の空いている席に座る。俺のほかにも冒険者のような格好の者たちが結構座って食事を取っている。ここは結構人気の宿屋だったみたいだ。と周りを観察していると、さすがに食事中は、と思ったのかどうかは分からないが、俺の腕から離れて、正面の席にルナが座った。そういえば、
「店の手伝いはいいのか?」
「うん、店の手伝いは昨日でやめたよ。私が手伝っててもお母さんたちが少し楽になるだけで、お母さんたちだけでも、この店は回るからね。というか元々お母さんたちだけでやってたんだし」
「そうか」
話が終わるとルナはじっとこちらを見つめてくる。このルナの行動に特に意味はないようだ。ただ俺を見ているだけ。俺もルナを見つめ返す。
しかしよく見るとルナは本当に可愛い。
白いが決して不健康な感じではない色白の肌。色素の抜けたかのような長いさらさらの白髪。白の中に輝く宝石のようにはまった紅の瞳。スタイルもスレンダーで、発育中の胸のふくらみが服に小さな小丘を作り出している。
どこからどう見ても美少女だよなー。見た目はお淑やかそうなのに、性格は活発なギャップもいい。
と、お互いに見つめあっていると。
「ほら、イチャイチャしてないで朝食だよ」
「いや、別にイチャイチャはしてないでしょ」
「うん!イチャイチャしてたよ!私とアヤトくんはラブラブだからね!」
「ああもう!何で否定しないのかなー!?いや、確かにルナの事見てたけどさ!普通そこはひて・・・」
「きゃー!やっぱり私の事見てくれてたんだね!嬉しい!そうだよね!だって私たちラブラブだもんね!」
俺の言葉を遮ってルナが早口でまくし立てる。
もう・・・諦めよ。
付き合ってるのは事実だし、わざわざ否定する必要もないか。・・・照れくさくて否定してるだけだからな。
なんだかんだ言って俺はもう結構ルナのことが好きになってきているのかもしれない。
「そうだな」
俺はそう返事をして朝ご飯を食べ始める。
今日も長くなりそうだな。
明日やっと異世界っぽさが増してくるかと思います。




