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アンジュ・ス・バートル  作者: Jyona3
ー第1章ー
12/55

怪しい人物

 本日も遅い時間になりました。話しを区切るため短めです。

 

「んーーー」


 私は、大きく伸びをする。


 カーテンの隙間から光が差しこんで薄暗い部屋を照らしている。


 ーーー朝だ。


 私は、天蓋付きの大きなベットから飛び降り、カーテンを開ける。



 朝日が眩しくて目を細める。



 すると、タイミングを見計らったように、ゆっくりと扉が開きエドモンドが入ってくる。


「おはようございます」


「おはよー」


「皆さん、先に起きて下の食堂にいますよ。早く支度してください」


「はいはーい、エドモンドも先行っててー」


「わかりました」


 と言って、エドモンドは部屋を出ていく。



 私達は酒場でご飯を食べた後、マスターにこの街で一番豪華な宿屋を教えてもらい、そこに泊まっていた。



 ここは貴族御用達の宿屋らしく、個室にはお風呂や洗面台、トイレまである。

 普通の宿屋には風呂などなく外で水浴びらしい。しかもトイレは、ポットン!

 そんなの現代日本で育った私には、絶対無理だ。ゲーム時にお金貯めといて本当に良かったと思った。



 私は洗面台で顔を洗い、準備を整える。

 準備といっても、アイテムBOXを持つくらいで他には特にない。


 《ウサぐるみBOX》は、モフモフしていて気持ちいいので、寝る時もそのままだった。



 パチン!


 自分の両頬を叩き気合いを入れる。



 ーーーよーし! いよいよだ!



 そう、今日は朝ご飯を食べたら冒険者ギルドに行く予定なのだ。私の伝説が始まるのだ、気合いを入れるのも当然だ。



 気持ちが高ぶり、勢いよく扉を開け部屋から飛び出し走りだす。


 走った先には、下へ行くL字型階段がある。


 ーーーめんどくさい! ショートカットだ!


 そのままの勢いで2階から1階にジャンプする。


「とぉっ『きゃあぁ!』」


 ……どうやら下に人がいたようだ。


 とっさに避けたので踏んではいないが、至近距離に降りたので、どうやら驚かしてしまったらしい。

 腰を抜かしていた。


「ごめんなしゃい」


 私は、起こそうと右手を差し出す。


 その人は、全身を隠すように真っ黒なローブを着ていてフードを深く被っていた。


 ジッと差し出した手を見つめている。



 …………




「ハッ!」


 私は気づいた。現在の私の身長は70センチ、相手は160センチくらいだろうか?どう考えても、私が手を掴んだとて起こせるわけがない。物理的に無理だ。ただの握手にしかならない。



 ーーーやばい! この状況では、私は倒れてる人に握手を求める変な子だと思われてしまう!どうすれば!



 言い訳を考えワタワタしていると、


「……大丈夫だ」


 と言ってお尻を叩きながら立ち上がっていた。


「ごめんなしゃい」


 私は、もう一度謝る。


 けれど、相手は何も言わずに背を向け歩いていった。



 ーーーなんだあの人? 見るからに怪しい人だったな……あんな格好じゃ、私は怪しい人です。って言いながら歩いてるようなもんだろ。



 そんな事を思いながら、離れて行く後ろ姿を見ていた。



「おーい! セイラちゃん、何してんのー?もうみんなご飯食べてるよー」



 と後ろから、ソージが声を張っているのが聞こえる。



「なんだとー! 誰が支払いしゅると思ってんだー! もっと、私をうやまいやがれーーー!」



 と、声を荒げながら食堂へと向かったのだった。





 朝からご飯をたくさん食べ宿屋を出る。


 朝の街は昨日と打って変わって、とても賑わっていた。たくさんの露店が出ていて、お店の人達も客寄せに声をだし、大道芸人などもいる。


「お祭りみたいー!お店まわろー! まわろー」


 現実世界で、小さい頃はよく近くの神社のお祭りなどに行っていたが、大人になってからは行かなくなっていた。懐かしい気持ちが蘇る。

 私がキャッキャしていると、


「いいわね〜お買い物したいわ〜」


 と言ってシロが私に手を出してくる。

 ……まるで金を寄越せとでも言うように。



 私は、その手を打ち払う。


「自分で買いなちゃい!」


「ケチね〜。確か……腐るほど持ってるくせに〜」


「私は、自分から払うのはいいけど人に言われて払うのは、いやにゃの!」


「天邪鬼ね〜、フフ、だいぶ早めの反抗期かしら〜お姉さん心配だわ〜」



 と人を小馬鹿にするように笑っている。


 ーーーこのオカマ野郎! そのニセ乳もぎ取って、露店に並べてやろうか!



 なんだろ。みんな私に対する態度がだんだん雑になってる気がする!



 一人釈然としない気持ちになって、地団駄を踏んでいると



「露店巡りもいいですが、今日は冒険者ギルドに行くのではなかったのですか?」



 エドモンドは、いつも通り呆れ顔だ。


 ーーーそうだった! こんなことしている場合ではないのだ!



「伝説が! 今、始まるのだーーー!」


 と私は叫びながら

 走ろうとする……


 グゥオェ!


 お花畑、再びだ!


「デジャヴ……」


 ヒョイっと、エドモンドに首根っこ掴まれ持ち上げられる。



「最近は、レオよりセイラ様の方が厨……個性的な発言が多いですね」


 ーーーなんだと! この……私が!?



 私が打ちひしがれ、惨めな気持ちになっていると


 ソージが前を歩きだし頭の後ろに手を掴んでこちらを振り返る



「ハハ。セイラちゃんはいつも元気だね。さあ、行こうか」


「ソージ……」


 ーーーこ、こいつ、ついに仕切りだしやがった! なんだ!? 裏で仕切ってるのは僕だよ……みたいな?! そんなキャラ狙いだしたのか? お母さん心配!



 とまた訳の分からない脳内暴走しているうちに、


「着きましたよ」


 エドモンドが、パッと手を離し私を地面に落とす。


 どうやら冒険者ギルドに到着したらしい。


 次回は、明日です。

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