第91話
ここはどこ?私は誰?いや、私は俺で俺は充だ。荒木充だ。
俺は身体がないような不思議な感覚に見舞われていた。具体的に言うと、意識があるのに呼吸をしていないという感覚だ。
しばらく俺は困惑していたが、やがてうっすらと声が聞こえてきた。
『あーあ、やっぱり上手くいかなかったのか.....今回も試練は失敗しちゃったんだね』
目がないので視界もないが、なにやら上から見下ろされている.....気がする。
『まぁ、仕方ないよ私達もそんなに期待してた訳じゃないですし』
まだ幼い男の子と女の子のような声が聞こえる。
『そもそもあの試練っていうのが強すぎなんだよ!思考回路まで同じだから当たり前のように攻撃は防がれるし.....』
『奇跡を信じるしかないです.....』
『世界が影響がないように、またこの子と誰かを置き換えないとね。似たような性格の子を探さないと.....どしたの?』
『これ.....この魂はあの子のものじゃない。身体は確実にあの子の物だったけど.....』
『え?なになに?どゆこと?僕はしっかりあの子の身体と魂セットで持ってきたんだけど!?』
どうやら『この子』というのはライリーで、『試練』というのはライリーの称号の『挑むモノ』の説明文にあったもので間違いないだろう。
『考えられるのは2人でこの試練に挑んで何かの拍子に2人の魂が入れ替わったってことくらいかな.....いや、入れ替わる理由が訳分からかいんですけどね.....』
『そもそも運命を動かすスキルか何かをこの魂が持ってないとそんなことはありえないよ!?第一、一人の時に試練は発動するようになってる!』
『多分そゆことですね.....ふふ、奇跡が起こりましたね』
『.....しかたない、今回はこの身体と魂を正常な状態で世界に帰してあげることにしよう』
この言葉を最後に俺の意識はその空間に溶けて行った。




