第89話
その無機質な声でそう告げた後、その物体は二つに割れ、粘土をこねるような動きをして人の形を形作った。
「これは.....」
「なるほど、面白い。俺にライリーの偽物と戦えと?」
「僕に至ってはミツル先生とですよ.....」
そこには色が塗られていない等身大フィギュアのような俺とライリーが立っていた。
『第2フェーズ遂行完了。これより第3フェーズに移行します。パートナーの能力を把握し、利用し、見事勝って見せよ』
そう言うと、前触れもなくその二人の偽物は俺たちに襲いかかってきた。
「ちっ、とりあえずライリーの偽物を.....ぶっ潰す!」
どうやら、体を基準に鏡合わせになるように戦闘が行われるようだ。
「ミツル先生の偽物強すぎますよ!いつもこんなハイスピードバトルやってたんですか!?」
「まぁ、なっ!!集中しないとすぐにやられそうだ!ライリーも目の前の偽物に集中してくれ!」
「はいっ!」
先程から何発か魔法をぶつけあっているが、完璧に力が同じで相殺ばかり起こる。
(ライリーの体だからな.....魔力残量にも気を配らないとな.....)
しばらく俺はライリーの偽物の動きを見極めるために攻撃を躱し続けた。
(こいつはやたらと細々とした技を撃ってくるな。さっきから初級魔法しか使っていない。ライリーはもっと上位の魔法を使えたはずだが.....まぁ細かい魔法を撃ってくれるなら魔力切れを狙ってしばらくは躱し続けるかな)
しばらく魔法を躱し続けるとようやく魔力が尽きたのか俺に肉弾戦を挑んできた。
「まぁ、さすがに魔法を相殺出来ないってことなら大魔法を.....ファイアウェーブ!」
先程までライリーの偽物が撃って来ていたようなちまちまとした点での攻撃ではなく面での攻撃を仕掛けた。
するとその偽物はその波に向かって拳を振りかざしたが、その炎の波に飲まれて行動不能となった。
「まぁ、俺の相手はこんなんだけど問題はあっち.....ライリーの方なんだよな。俺が相手なら魔力切れを狙うのも辛いし防御を貫通するのも難しい.....地味に詰んでないか?」
俺は体の土埃を軽く払い、ライリーが戦闘を行っている方へ顔をむけた。
そこでは目にも止まらぬハイスピードバトルが繰り広げられていた。
「俺っていつもこんな動きしてたのか.....」
最早人外なのは分かっていたことだが、実際に見ると心にくるものがある。
「ライリー、大丈夫か!?この体じゃその戦闘には手を出せないけど何とかがんばれ!俺は俺の弱点を探してみる!」
そう呼びかけるとライリーは一瞬こちらに目線を寄越し、肯定の意を示す。
(まぁ、あの余裕があるならしばらくは大丈夫かな)
俺は真剣に俺の弱点を探し始めた。




