第47話
充は4人を居間へ通した。
「とりあえずルナリアとアイシャは2人で何か話しているみたいだから少しそこに掛けて待っていてくれ」
「では失礼して。ところでアイシャさんというのはどのような人物なのでしょう?」
メリッサは腰を下ろしながらそう尋ねた。メリッサに続きロゼとマールもその両隣に腰を落ちつける。ポールはソファの斜め後ろにピシッと直立していた。
「誰って、ルナリアの妹のアイシャだが?」
「そのような方は存じ上げておりません。第一、ルナリア様は陛下の一人娘ですよ?」
「は.....?それってどういうことだよ」
二人の間に沈黙が訪れる。その沈黙を破ったのは、ポールだった。
「.....ここからは少し重要な話になるので聞きたくない方は耳を塞いでもらってもよろしいでしょうか?」
それを聞いたマールが手を挙げ、ポールに問い掛ける。
「えっとー、重要って言うのはどれくらいですか?」
「他言すれば物理的にクビが飛びます」
ポールのその言葉を聞いた瞬間、ロゼとマールとメリッサは耳に手を当て塞いだ。3人ともいい判断力をしている。
「おいおい、それをポールさんは話していいのか?」
充は素直に思ったことを聞いてみた。
「私は今日城を出る際に陛下直々に私の判断で話していいと仰ってくださいました」
「今日?」
「はい、先日エイル魔法学園のエリーナ校長からミツルと言う冒険者を教師に迎えるという報告があり、それでアイシャ様とミツルさんが万が一、億が一出会ってしまった場合にお話する予定でしたが.....アイシャ様のお立場をもう知っておられるようですし無駄でしたかな」
「ちょっと待て、エリーナ校長はなんでそんな事を城に報告しているんだ?」
「何故って、エイル魔法学園は国立ですよ?報告が来るのは当たり前です。それにエリーナさんは元々宮廷魔道士団団長を任されていました。なので事前にアイシャ様の事を話されていたのでしょう」
「よし、あらかた分かった。が、まだあるんだろ?その他言したらクビが飛ぶような話が」
ポールはコクリと頷き、口を開いた。
「ルナリア様は陛下と第一王妃の間に出来た子供です。もちろん兄弟も居ないので王位継承権も第一位となっております。ですが、ルナリア様は第一王妃と似て、幼い頃から病弱でそれこそ一歩間違えれば命を落とす危険のある病などにもかかったこともあります。ですがそこで命を落とした場合王位継承権が宙にういてしまうことになります」
「なるほど、それで?」
「はい、そこで陛下は第一王妃との間にもう1人の子供をもうけました。ですが第一王妃はアイシャ様を産むと同時に力尽き、亡くなってしまいました。その死ぬ間際に第一王妃はルナリア様が死ぬようなことがなければアイシャ様を普通に扱って欲しいとそう言ったのです」
「お、おう、なるほど重いな」
「第一王妃がお亡くなりになった後、お抱えの鑑定士がアイシャ様を鑑定しました。すると、魔法神の加護の文字を見つけてしまったのです。加護というのは珍しいものです。珍しいだけあって効果も凄まじいです。もし、アイシャ様が王族だということが公になればルナリア様よりもアイシャ様を王にと推す声も聞こえてきましょう。もしかするとルナリア様を殺してでも、という輩が出てもおかしくありません。なのでその場でアイシャ様は王族だということを秘匿され、遠くの農村で育てられることになりました。ルナリア様の調子がよろしい時は遊びに行ったこともありましたね」
充は今までの話を頭をフル回転させ整理する。
「つまり?貴族達が鬱陶しいのと第一王妃の遺言を守るためにアイシャの存在を秘匿していたのか?」
そう考えると辻褄が合うことがいくつかある。まず一つ目、アイシャの人見知りだ。王族で人前にたつのは慣れているはずなのに人前でカチカチになってしまっていた。あれはそもそも人の前に立つことがないからアイシャは人見知りなのだろう。
二つ目、ギルドカードだ。あれは本名じゃなくても登録は可能だ。ルナリアは姓まで書いていたが、アイシャはアイシャと書いてあるだけだった。
「こんなところか」
充がそう呟くと同時に奥の部屋の扉が開いた。




