第20話
(さて、これからどうしようか......)
充はこのあとの行動をどうすべきか迷っていた。
「ミツル、これからどうするの?」
「んー.....不動産屋にいって正式にあの屋敷を買って、今日は子どもたちを屋敷に泊まらせようかなって思ってる」
「うん、それでいいわね。私達は今日宿に止まってみんなに屋敷を買ったことを伝えなきゃね」
こうして今後の自分たちの予定が決まった。
「じゃあとりあえず不動産屋だな」
そして充は不動産屋に向かう。
「お邪魔します」
「いらっしゃいませ!ポルト不動産屋へようこそです!ってさっきの人じゃないですか。どうしたんです?怖気ついて帰ってきたんですか?」
「何気毒舌だなお前.....まぁ、怖気ついて帰ってきたのではなく正式に手続きをしたくて来た」
「マジですか!?後からやっぱなしはなしですよ!?」
「そっちこそ後からなんだかんだ言うなよ?」
そして充は書類にサインをしていき、正式に家を買った。
「白金貨10枚あるはずだ。数えてくれ」
白金貨の入った皮袋をカウンターの上に置く。
「......はい!丁度ですね!ありがとうございますです!」
こうしてあの屋敷は充のものになった。
「じゃあ皆は今日からこの屋敷に泊まってくれ。俺達は今泊まっている宿に仲間がいるから明日またみんなで来るから」
「はい!」
「じゃあ俺達は一旦帰る」
そして充は踵を返し、宿屋に足を向けた。
「ミツル、皆喜んでくれるかしら」
「結構立派な家だしな。喜んでくれるだろう。それに転移魔法陣とか作って気軽に行き来できるようにしたいんだよな」
「また新しい魔法作る気なのね」
「まぁね」
あまりこの世に影響を与えないで欲しいと思うゼノの気苦労を充は知らない......
宿に着くともう3人が帰ってきていた。
「みんなただいま」
「おかえりなさい!ミツル!」
「今日はなんの依頼を受けてきたの?」
「今日はグリーンウルフの討伐に行ってきました。ルナさんがパーティに入ることで魔法攻撃役が増えたので戦闘がかなり楽になったんですよ」
その言葉を聞き、ルナは少し寂しい胸を張った。
「ルナは魔法攻撃職を取れたんだな」
「えぇ、リーフです!」
どやぁ.....と言わんばかりの顔をしている。
「凄いな、えらいえらい」
ミツルはルナの頭を優しく撫でてやる。すると、ルナは気持ちよさそうに目を細め何故かリンが悔しそうにしている。
「ところでそっちはどうだったの?家を買うのはいつになりそうなの?」
「あぁ、家はもう買ったんだが今日あったことを説明しようとするとこれがまた複雑でなぁ......」
「複雑....ですか?」
リンが頭にハテナを浮かべているので事の成り行きをそのまま説明することにした。
「そんな事が.....でもその子達を買った行動はグッジョブよ!ミツル!」
テルは親指を立ててウインクしてくる。
「で、その子達にメイドと執事の仕事を教えたいんだ。ルナ、メイドと執事で仕事をしっかりこなしつつ子供たちに仕事を教えられる人とか知らないかな?」
「それなら私の専属メイド3人と専属執事1人を連れてこれますよ」
ミツルはダメもとで聞いてみてダメだったら商業ギルドに行き5人ほど雇うつもりでいた。
「そうか!じゃあ頼むよ。で、明日でこの宿を出る事にするんだけど、明日は家の家具とかを買い揃えたいと思ってるんだ」
「そうだね、家具がほとんど置いてなかったから自分で買わなきゃだもんね」
「で、俺はそういうセンスないから家具のチョイスは女子達に任せようかと思ってるんだ。いいかな?」
「任せてよ!じゃあ私はリンと一緒に回るね!」
「じゃあ私はゼノさんと回りましょうか」
「分かったよ。じゃあ買った物は屋敷に送ってもらっておいて」
「おっけー!」
「じゃあ俺は明日に備えて寝るよ」
「はい、おやすみなさいミツルさん」
「おやすみ、リン」
「じゃあ私も寝るわ。」
そう言ってゼノも椅子から立ち上がる。
するとルナが、
「あ、私は今日はこの二人と寝るので部屋の鍵は閉めてもらって結構ですよ」
「そっか、じゃあまた明日」
そして充は自分の部屋に戻り、今日で最後になるこの部屋に寂しさを覚えた。
「.......寝るか」
そう言ってミツルはゼノが布団に入ったのを確認し、ランプの灯りを消した。
朝になり、最後となるこの宿での朝食を摂った。
「じゃあ俺はチェックアウトしてくるから荷物まとめておいて」
「分かりました!ミツルさんは荷物とかは?」
「俺は収納魔法の中に入ってるから問題ない」
「そうですか。じゃあ私達は準備してきますね」
そしてみんなでパタパタと部屋に戻って行った。
そして充はカウンターに向かう。
「すみません、チェックアウトしたいのですが」
「はーい.......ミツルさん出ていっちゃうんですか......」
出てきたのはティナだった。
「あぁ、昨日家を買ったからそっちに移ろうかと思ってね」
「そう、ですか......」
「だからチェックアウトの手続きをして欲しいんだけど」
「あ、はい、鍵を渡してくれればそれでいいですよ」
そう言われ充は鍵をカウンターの上に置く。
「じゃあ、部屋を片付けたら俺達は出ていくから、今までお世話になりました。ありがとう」
そして充は部屋に戻りみんなを呼びに行こうとする。
「...........あのっ!」
「ん?何かまだ手続きあるの?」
(このままじゃ......もうミツルさんに会えなくなっちゃう......)
ティナはその頭をフル回転させ精一杯の言葉を紡ぎだした。
「いえ....その、たまにでいいですからご飯食べに来てください!私、たくさん練習して美味しい料理作れるようになるので!」
ティナにそう言われた充はそっと微笑み、
「じゃあまた今度来た時にはティナちゃんの手作り料理を期待しているね」
と、そう言った。
「絶対ですよ!約束ですからね!」
「もちろん、約束だ」
それを言われたティナは、顔を真っ赤にしながらも、
「絶対に美味しいって言わせて見せますから!だから楽しみにしてて下さい!」
と、返事をした。
その言葉を聞いた充は今度こそみんなを呼びに部屋に戻った。
「ミツルさん、準備できました」
「こっちもおっけーよ!時空魔法で新品の時まで時間を遡らせたわ!」
「え、ゼノちゃん時空魔法使えたの?」
自分で墓穴をほっていくスタイル。
「えっ、あーえっと、少しだけ」
「新品まで戻したら少しだけじゃないよ!?」
流石にまずいと思ったのかゼノが目でこっちに救難信号を送ってきている。
「はぁ......ゼノはたしかに少し時空魔法を使えるけどそんな新品まで戻すなんて無理だ。少しふざけただけだもんな?」
「う、うん!そうなの!すこしふざけただけ!」
「そっかぁ、ゼノちゃんは天才なのかと思っちゃたよ」
何とか危機を乗り越えられた俺とゼノはため息をついた。
「じゃあ、そろそろ行きますか?ミツル様?」
「そうだな、チェックアウトも済ませたし、もう出ようか」
「このあとどう動くつもりー?ミツル?」
珍しくテルが真面目な質問をしてきた。
「えーっとだな、まずは屋敷に荷物を置きに行く。そこで子供達の紹介をする」
「分かったよ!じゃあお屋敷へれっつごー!」
「お前が一番この中で子供たちと仲良くなれそうだな」
「え?何で?」
「精神年齢が近いから」
「それは褒めてるの貶してるの?」
「貶してる一択だな」
「ひどい!?」
何かもうテルはこういう役回りが定着している。
「じゃあ家に向かうか」
「「「「「はい!」」」」」
宿屋から徒歩20分程度の所に家はあるのでそれまで皆で適当な話をしつつ歩いていく。
「そう言えばクランを立ちあげる際のクラン名とかどうするんだ?」
「あー、それも決めなきゃだね」
「私はミツル様が決めたものでいいです」
「わ、私も.....」
「いや、俺そういうの考えるの苦手だから」
「んー......パッと出てくるものがないわね.....」
「どうしよっかぁ」
「そう言えばミツル様にはファミリーネームがありましたよね?普段名乗りませんけど」
「あぁ、あるよ。荒木充ね」
「アラキミツル......」
そこでゼノが閃いた。
「あっ!ミツルの名前をもじって秋鶴とかどう!?」
「アキツル?何ですかそれ?」
またしても墓穴を掘ったゼノだったが、今回はなんとか誤魔化した。
「えーっと.....ツルって言う鳥がいるってきいたことがあるの!」
「アキツル......ミツル様の名前からもじったのなら問題ないですね。これで行きましょう」
「何が問題ないのかよくわからんがそれでいいんだな?テル、リンは?」
「私はいいと思うよー!」
「わ、私もいいと思います」
「じゃあ、クラン名はアキツルに決定な」
こうして後に世界に名を轟かせるクランの名前は移動中の雑談で決められた。
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