第17話
充は走った。どれだけ走っただろうか。充は一度立ち止まり、呼吸を落ち着ける。
「はぁっ....はぁっ....クソッ!何でこうなった?」
充は一旦冷静になろうとし、深呼吸をする。だが深呼吸をする度に心臓の音がはっきり聞こえてきて、余計焦燥感が増していく。
(まずは状況確認しないと.....)
まず敵は俺に恨みを持っている奴。じゃないとあんな置き手紙しない。
(じゃあどこで誰の恨みを買った.......?あの時か?)
充が思いついたのはティナを攫おうとしてたあの3人組だ。
(おそらく可能性としてはこいつらっていう線が一番濃厚だな。だけど3人じゃない。恐らくバックに巨大な組織が付いてるじゃないとこんな大袈裟なことはしないだろう)
ここまで考えてようやく冷静さを取り戻し始めた充は手に握りしめて、くしゃくしゃになった紙を広げる。
充が持っていたのは地図だった。
「この地図のここに来いってことだよな?」
充はその位置を瞬時に把握し、走り出す。
そして着いた場所は町のハズレにある倉庫だった。
「ここか.....」
充はそう呟くとサーチの反応を確認する。
(ざっと100.....より多いくらいか)
そしてサーチでの反応の中には、テル、リン、ルナの反応もある。
「今助けるからな.....」
充の中ではもう3人は大切な存在となっており、特にルナリアにはなんだかんだで心惹かれていた。
(俺のナワバリに手を出した事....後悔させてやる.....)
そして、重みのある扉を蹴り破り中に入る。
するとその倉庫の中心に堂々と立っている男がいた。
「ようこそ、『餓狼の遠吠え』のアジトへ」
充はその男のステータスを覗く。
ーーーーーーーーーーー
テイラー(29)
ジョブ・・・斧術士
レベル ・・・59
HP ・・・7,900/7,900
物攻・・・9,600
魔攻・・・25,900
魔力・・・35,800/35,800
防御力・・・6,800
俊敏・・・6,500
属性値
火・・・554
水・・・0
風・・・0
土・・・359
光・・・0
闇・・・856
スキル
闇属性魔法(中級)
火属性魔法(初級)
土属性魔法(初級)
統率
斧術
槍術
固有スキル
オートブロック
加護
なし
ーーーーーーーーーーー
充はそのステータスを見て、予想よりほんの少しだけ強いと思った。だが、充からすると誤差にもならない。
確実に殺れることに変わりはない。
「まぁ、お呼ばれなんかしたくなかったんだがな?俺のお姫様を返しに来てもらったよ」
そう言って充の姿がぶれる。
そして、甲高い金属のぶつかり合う音が聞こえる。
充は一瞬で剣を抜きテイラーに切りかかったのだ。
周りの手下らしき奴らは反応できていない。
「それがオートブロックとやらか?」
「.....君は鑑定スキル持ちかい?厄介だな。自分の手の内はバレてると考えた方がいいか」
充はオートブロックを詳しく鑑定する。
ーーーーーーーーーーーーー
オートブロック
○視界内から発生した攻撃の自動防御
ーーーーーーーーーーーーー
「へぇ、なかなかいいスキルだな」
「だろ?今の君の攻撃も俺の意識外だったが、視界内だったから発動したのさ」
その時、倉庫内に声が響き渡った。
「おい!ミツルとやら!この女どもを殺されたくなかったらその剣を捨てろ!」
充はそう言われ、二つの剣を上に放り投げた。
「そうだ!それでいい!おい!お前らやっちまえ!」
そして充は手をその男に向け、
「スタンショット」
と、鍵言を述べた。
その瞬間辺りが紫色に染まり、その男は黒焦げになり、地面に倒れていた。
「い、今何をやったんだ.....?」
「今の?魔法だけど?」
そして充は上から落ちてくる剣を二つしっかり取り、切っ先を向けこう言った。
「お前らは誰1人生かしておかねぇ」
こうして充の蹂躙劇が始まる。
「誰1人生かしておかねぇ?お前がいくら強かろうとこの人数相手にするのは無理ってもんじゃないかぁ?」
「いや?できるさ」
充がそういった瞬間一番後ろにいる下っ端が倒れた。
「はっ?」
もちろんテイラーは1度たりとも充から目を離していない。充は微動だにしなかった。
「今の見えなかっただろ?お前は俺の6割の動きも目で追えてねぇんだよ」
充が本気を出せば衝撃波でこの周辺一帯の窓ガラス全てが割れることになるので充は本気を出さなかった。
「お前はなんていう化物だよ......」
「さあ?俺が聞きたいくらいだ」
そして充が剣を振り上げ、テイラーの首を落とそうとした時だった。
「まてっ!俺を生かしておけば今まで蓄えてきた金すべてやる!ざっと白金貨500枚強はある!それにあの女共も無傷のまま返してやる!」
充は誰にも気付かれないほど小さくため息を吐いた。
「......で、金の在処はどこだ?」
「この倉庫の地下だ!この地下に俺の全財産が入っている!」
「ふーん.....」
「この通りだ!だから命だけは助けてくれ!」
そう言われ充は剣を下ろした。
「ははっ.....ははははっ....かかったな!?ナイトメア!!」
充は後ろから迫り来る闇に反応しなかった。
そして闇は充を覆い尽くす。
「ははははははっっ!!!ざまぁみやがれ!どんなに強い相手でも知恵を絞れば勝つことだって出来るんだよヴァァァカァァァ!!」
ナイトメアは闇で飲み込んだ相手に悪夢を見せる技だ。そのため飲み込まれた相手の悲鳴が聞こえてくるはずだ。
「なんで......なんで叫ばねぇ!?なんで泣き叫ばねぇんだよ!!」
そして、もう二度と聞きたくない声がテイラーの耳に飛び込んできた。
「まぁ効果が無かったんだろ」
「なっ!?」
その声がした瞬間闇がかき消えた。
「お前一体何をした!俺のナイトメア発動のタイミングは完璧だったはずだ!」
「まずダメな点が3つある。まず1つ。口では助けろだのなんだかんだ言ってたが、目が負けを認めた目じゃなかった」
「っ......」
「2つ。確かにタイミングは完璧だった。だが俺の背後から魔力が練り上がっていくのが丸わかりだったな」
「魔力感知だと.....」
普通は魔力感知など出来ない。出来るのは相当訓練を詰んだ上位魔法職の人だけだ。
「3つ。お前から殺気がだだ漏れだった。」
「じゃあなんでお前は躱さなかったんだ!?」
「躱す必要がなかったから」
そう。充は第6感により躱す必要が無いと判断した。そしてなぜ充にナイトメアが効かなかったのか。それは充の防御力によるものだ。この数値は物理・魔法・精神全てにおいての数値である。テイラーのナイトメアではその防御力を突破することが出来なかったのである。
「ははっ......ホントに化物かよ」
「残す言葉はそれでいいな」
そう言うと充はテイラーの首を落とした。
「さて、聞きたい情報も聞けたしあとは適当にやるか」
「に、逃げろ!ボスがやられた!」
「だから最初に言っただろ?生かしておかないって」
そして充は朧月を構え、
「光属性派生雷属性解放。発射」
そういった瞬間逃げ惑っていた手下達は悲鳴をあげる暇もなく地面に倒れた。もう誰1人息をしていない。
「ふぅ......テル、リン、ルナ。大丈夫か?怪我はしてないか?」
「「ミツルぅぅ!」「ミツル様!」「ミツルさん!」」
そう言って3人とも充に抱きついてきた。
「ミツルぅぅ.....怖かったよぉぉ....」
「ミツル様が来てくれなければ私達はきっと......いえ、助かったのですからこの話はやめましょうか.....」
「ミツルさん.....1度ならず2度までも助けていただき、ありがとうございます.....」
そう言うとみんな泣き出してしまった。
「はいはい、もう大丈夫だからな。さっさと帰るぞ」
「「「はいっ!」」」
3人は涙を拭うとしっかりと返事をした。
外に出るともうすっかり暗くなっていた。
「あっ」
「どうしました?ミツル様?」
「金回収してなかった」
そして、充たちは金を回収したあと宿屋に戻って行った
面白かったらブクマ、評価お願いします!




