理不尽な転生
初投稿です。
頭空っぽにして、生温かい目で見守ってください。
※カクヨムにも投稿しています。
【AI利用状況に関する補足】
本作のストーリー、世界観、キャラクター設定、詳細なプロット、セリフの指定はすべて作者自身の手で作成しております。
AIは、作者が書き上げた詳細なプロットを小説の本文として清書・整形するためだけに使用しています。AIに物語の展開やアイデアを自動生成させる使い方はしておりません。
「――というわけだから。君、死んじゃったし、私の世界を面白くするために転生してよね」
真っ白な空間。
目の前には、長い金髪を揺らし、透き通るような青い瞳をした絶世の美女がいた。
彼女の名は『女神アリスティア』
しかし、その神々しい見た目とは裏腹に、彼女はポテトチップスの袋に手を突っ込み、流れ作業をしているかのような軽さでそう言い放った。
「……は?」
状況が飲み込めない。
確か、仕事帰りに夜道を歩いていたはずだ。
不意に視界が真っ白になり、凄まじい衝撃と轟音、そして熱に焼かれた記憶がある。
ただ、先ほど彼女が告げた言葉が気になり、質問をする。
「俺は死んだのか……一応聞くが転生は、人生に絶望した人とか、非業の死を遂げた人への救済処置なんじゃないのか?」
話しかけているが女神はこっちを見ない。
「俺は別に絶望もしてないし、死にかけてもいなかった。不満だってそれなりに折り合いをつけて生きてたんだ。完全な人選ミスだと思うが?」
至極真っ当な指摘に対し、アリスティアは指についた塩を舐めながら、面倒くさそうに肩をすくめた。
「以前はそういう『幸薄い人』を転生させていたんだけどねぇ。ほら、最近の読者……じゃなくて、天界の視聴者も目が肥えてるっていうかさ。ワンパターンで飽きちゃうんだよね。だからそういう人達を今回は対象から外して、ランダムに選んだわけ。君、運が良かったね!」
「……運が良かった?」
こめかみの辺りがピクりと動く。
しかし、アリスティアは返事も待たず、空中にホログラムのウィンドウを浮かべ、何やら楽しげに作業を始めた。
「よし、転生作業の開始。設定は『勇者の頼れる仲間』。魔王軍に故郷を焼かれた悲劇の青年が、過酷な修行の末に――」
「待て。一つ確認させろ」
俺は作業を続ける女神の声を遮った。
「俺はどうやって死んだ?トラックか?それとも心臓麻痺か?」
「え?ああ、それね」
アリスティアは画面から目を離さず、さらりと言った。
「私が雷を放ったの。落雷で即死、っていう処理になってるわ」
「…………は?」
一瞬、思考が停止した。今、この女は何と言った?
「お前が……俺に雷を落として殺したのか?」
「そうよ。だって君、健康そのものだったし、放っておいたらあと五十年は死ななそうだったんだもん。転生させるには死んでもらわないと困るでしょ?神様の気まぐれに選ばれたんだから、光栄に思いなさいよね」
――ブチン。自分の中で、何かが千切れる音がした。
「ふざけんな!えげつねえ殺し方しやがって!!」
「な、なによ。神様に逆らう気?そんなこと言われても困るわ」
女神は相変わらず画面から目を離さず、作業を続ける。
「もう元の世界で生き返らせるのは不可能だし、手続きは進めちゃったし。あ、そうだ。特別にチートを一つあげるから、それで頑張って……」
そこで気づく。彼女が別世界の神なら、自分の住んでいた世界も神がいるはずだ。
「いや待て。お前が別世界の神なら、そもそも俺がいた世界の神はお前の干渉に何らかの反応はするはずだ。そんな勝手が許されるのか?」
「君が居た世界の神と私だと、私のほうが神格が上だからね~。あの世界も最近は混沌としていたから、あふれ出ていた負の感情と一緒に引き取ってあげるって言ったら大喜びだったわ」
理不尽を通り越した神々の暴挙を聞いて、怒りが頂点に達した。
死んで魂だけの状態のはずだが、怒りのあまりか実体があるかのように、純白の床に重い足音が響く。
「な、何よ。近寄らないで……っ!?」
逃げようとするアリスティアの細い肩を掴み、そのまま勢いよく肩を激しく揺らした。
「ふざけんなよ女神様。俺を無理やり働かせるってんなら、相応の初期投資をしてもらうぞ。それも、お前が泣いて土下座するレベルのやつだ」
「ひっ……!?」
女神の顔が恐怖に引きつる。神の権能?知るか。
理不尽に殺され、死後までこいつの娯楽のために働かされる。
これ以上の屈辱はない。
女神はもう失うものがない男の執念をなめていた。
女神アリスティアが操作していたホログラムウィンドウを、強引に引き寄せた。
「ちょ、ちょっと!設定画面を勝手に触らないで!それ、管理者専用――」
「管理者?ああ、今から俺もその一人だ」
「駄々」をこねるなんて生易しいレベルじゃない。
管理者権限でウィンドウ内の潜在能力値を書き換え始めた。
能力限界値:無限
スキル:全取得可能
全属性魔法適正:神級
「やめて!世界のバランスが壊れる!そんなチート盛りにしたら、私の書いた『苦難を乗り越えて成長する物語』が台無しに――!」
「知ったことか!文句があるなら今すぐ元の世界で俺を生き返らせろ!」
「わ、わかったわよ……好きにすればいいじゃない、この強欲男!」
激昂して睨みつけると、アリスティアは涙目で悲鳴を上げた。
画面には大きく『設定確定』の文字。これで俺は、この女神が管理する世界の理から、半分以上踏み出した存在になった。
人間をやめてしまったが後悔はない。
「ふん、話がわかるじゃないか。……で、なんだ、その足元でプルプルしてるのは」
ふと見ると、一体の小さなスライムがいた。灰色の光を放ち、どこか神々しいオーラを纏っている。
「それは……私が作った転生者用の補助モンスター。君を素早くレベルアップさせるために用意した『オメガスライム』っていう特殊個体よ。ステータスは最低だけど、持っている経験値とスキルポイントは端末で調整できるから実質無限。それを倒せば、君は一瞬でレベル最大にもなれるし、いい塩梅の強さにもできる。私のせめてもの慈悲なんだから……」
「そいつのほうがバランスぶっ壊れてるだろ!」
女神とくだらない言い争いをしていると、スライムはピョンピョンと跳ねて近づいてきた。
このスライムも元を正せば、この女神に好き勝手に作られて倒されるような運命だったことを考えれば、生まれが理不尽すぎて可哀想に思うと妙に情が湧いてきた。
このまま無抵抗のこいつを倒せば、確かに俺は今以上に強くなるだろう。
だが、倒してしまえば「無限の経験値」はその場で終わりだ。
そもそも、「無限の経験値」が内包できるほどの器なら、もっと便利な使い道があるはずだ。
それを、ただの入れ物扱いにして消費するのは、目先の利益を優先して投資をしないコストカッターのバカと一緒だ。
俺は再び設定画面を呼び出し、この哀れなスライムの構成データに干渉した。
「え、ちょっと、何してるの……?」
「この『無限の経験値』と『無限のスキルポイント』は必要ない。女神が作ったのならチートレベルでいろいろ便利に使えるはずだ。あらゆる事象への最適解を導き出す『演算機』として再定義し、俺の魂と融合させ一生の相棒にする」
「嘘でしょ!?倒してレベルを上げるためのエサを、そんな『全知の相棒』に作り替えるなんて……!」
端末で再設定し、出力された魔方陣を手に取りスライムの核に押しやると、その姿が変化した。
灰色の光は落ち着き、透き通った蒼色へと変わる。
それは意志に応えるように、手のひらサイズまで縮むと、肩にちょこんと乗った。
『再構築完了。……マスターの名前を教えてください』
脳内に、感情を排した、しかし心地よい声が響く。
「前世の俺はもう死んでしまったし、それを名乗るわけにはいかんからな。……そうだ。どうせ転生ものだ、生前やってたオンラインゲームで、必ず使っていた名前をこれからは名乗るか。男キャラならグラン、女キャラならグレイス。なら今から俺は『グラン・グラニアス』だ。」
そして、肩のスライムを見ながら言葉を続ける。
「お前は、俺の無意識を切り取って再設定したから、魂と性格の相性も抜群のはずだ。よろしくな。……名前も、昔読んだ漫画から拝借しよう。お前は今日から、『アンサートーカー』だ!」
『マスター、『グラン・グラニアス』……登録完了。これより、貴方の望むものすべてに『正解』を提示します』
「……信じられない。私の転生者用モンスターが、ただの便利ツールに……」
アリスティアは膝をつき、絶望したように項垂れた。
だが、グランは容赦しない。
「さあ女神様。あんたが作った、その『台本だらけの不自由な世界』を見せろ。一文字残らず読んでやるよ」
グランの言葉を聞いたアリスティアは、悔しそうに顔を上げ、呪いのような、あるいは期待のような声を絞り出した。
「……いいわよ。そこまで言うなら、私の最高傑作を特等席で見せてあげるわ!まずはこれから君が向かう世界の現状を教えるわね。転生前のチュートリアルよ!はい、座った座った!」
女神が手をかざすと、真っ白だった空間が強く発光し、豪奢なソファと巨大なホログラムウィンドウが出現した。
さらに彼女の手には、いつの間にかポテトチップスではなく、バターの香りを漂わせたポップコーンの袋が握られていた。
グランは不機嫌に眉を寄せながらも、強引に勧められたソファへと深く腰を下ろした。
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