第3話 制服の着こなしは結構性格が出る
広井サトルくん。
『悟』ではなくカタカナで『サトル』。
「(激マブSSRさんは氷室未希さんっていうのか。な、なんて清楚な響きなんだ。俺のマドンナにピッタリな名前だな。ちょっと緊張して声を震わせる所とかいじらしくて可愛いじゃねーか! 守りたくなる。一生守ってやるぜ、氷室さん! いや、未希……氷室さん!)」
『サトル』じゃなくて『サトラレ』なんだよなぁ。
彼は私のことを、その、とても良く思ってくれているらしく、広井君の心の声はよくコチラに聞こえてくる。
心の中なんだからもっと自由に呼んでくれていいんだよ? 未希でもいいんだよ? もう一回言ってみな? 『未希』って。はよ言え。
「(氷室さん。ガチで清楚だよなぁ。制服を着崩さずキチッとしているのはマジで好印象だ。制服評論家を自称している俺から見ても彼女の着こなしは素晴らしい。一生氷室さんの制服姿を眺めていたい。写真撮って額に飾りたい)」
うぅ~。また広井くんが私を褒めてくれている。何回聞いても恥ずかしいよぉ。
赤面しすぎて授業に全く集中できなかったし、このままじゃ学業に支障が出てしまう。
勉強に集中できないのはさすがに学生として良くない。
「(こうなったら……)」
ちょっぴり申し訳ないけれど、広井君には少し私のことを幻滅してもらおう。
次の日。
窮屈だった制服を着崩して少しだけだらしない恰好で登校してみた。
ボタンを2つ開け、スカートはギリギリまで短くしてみる。
どうだ、広井君、幻滅したか~?
「…………」
遅れて登校してきた広井君が私の姿を見て一瞬足を止める。
私の恰好を上から下まで一瞥すると、彼は両肘を付きながら目元を隠すように顔を覆い隠した。
「(かわわわわわっ! 可愛すぎだろー! なんっつー垢抜け方をしやがる! 悶え殺す気か! す、スカートそんなに短くてよろしいのでしょうか? 清廉たる御足をそんなに見せてくれるなんてサービス過剰すぎるだろ! いいのか未希! ミキティー!!)」
「~~~~っ!!」
私は慌てて膝元を手で隠す。
す、スカート短すぎた……かな? うん、自分でもなんかそんな気はしていた。
で、でも広井君はドキドキしてくれたみたいだ。しかも私を名前で呼んでくれた。もっと言って。あとミキティって何。
ちょっと恥ずかしいけど、広井君が喜んでくれるならしばらくこの長さにしておこうかな。
「(って、私は何を考えているの!? 広井君に幻滅されるためにやったのでしょうが!)」
幻滅されるどころか、彼からの好感度は益々増長されてしまったようで。
彼からの好意の声は今も聞こえ続けている。
「(こ、心の中で氷室さんを名前で呼んでしまった。まっいいか。内心で好きな人を名前で呼ぶくらいきっとみんなやっているさ。うおぉぉ! 未希ぃぃ! ミキティー! ミキティィィィ!)」
彼の心の叫びを聞いて再び赤面する。
そういえば昔こんな風に叫ぶお笑い芸人いたなぁとどうでもいいことを考えて心を落ち着かせる私であった。




