第2話 自分のことが好きな人が好き は 有り? 無し?
好きなタイプはどんな人? と聞かれたら『自分のことが好きな人が好き』と答える人は少なからずいるのではないだろうか?
私、氷室未希は全然そんなタイプではなかったのだけど、最近になってそう答える人の気持ちが少しはわかってきた気がする。
「(今日もキラキラ輝きやがって。くそぉ、ま、眩しすぎる。魔法かよ。可愛いのはもうわかっているっつーの。俺に魅了魔法かけて楽しい? ねえ楽しい? その光を激マブ☆スターシャインと名付けよう)」
「~~~~っ!」
また一つ、私に謎の力が植え付けられてしまったようだ。
言わなくてもわかると思うが、私は魅了スキルなど持ち合わせていない。ついでに言うと『激マブ☆スターシャイン』なんて発光魔法も使えない。
私に使えるのは人の心が読めるテレパシー能力だけである。
しかも私自身に向けられた感情しか読み取ることができない。
この力に目覚めたのは中学生の時だ。
本当に、突然、何の前触れもなく目覚めた。
最初は私の悪口のみが聞こえてくる力なのかなと思っていたのだけど……
「(い、いままままま、目が合った気がする! ぐ、ぐはぁ! 可憐過ぎるだろ。なんだその大きくて吸い込まれそうな目! 死んだ。はい俺死にましたー。くっそぉぉ、可愛すぎる!)」
どうやら好意的な感情も読み取れるみたいだった。
「広井……サトル……好きなものはアニメ。その繋がりで声優が大好きです。あと運動はそこそこできますが、オタ活に忙しいので運動部には入るつもりはありません。んと、よろしくお願いします」
クラスの自己紹介で初めて隣の彼の名前を知った。
心の声の騒がしさに比べると自己紹介での彼は何だか淡々としており印象が違って見えた。
「(広井……くんか)」
クラスメイト達はどうやら彼の自己紹介がお気に召さなかったらしく、彼に視線を向けながら『暗そう』とか『アニオタかよ』とかそんな悪意ある声が飛び交っていた。
「(なによ。アニオタだっていいじゃん。好きなものを堂々と言えるってすごいことじゃん)」
かくいう私もアニオタであり、声優オタである。
よし! 私も広井くんを見習って好きなものを堂々と告げよう。
「あ……あびゃびゃ……は、はじめみゃして! ひ、ひひひ、氷室、未希……でしゅ! んと……あの……えと……よ、よろしくお願いスマッシュ!」
うん。
あれだ。
好きなものを堂々と告げるとかそれ以前の問題だこれ。
緊張しすぎて何喋っているか自分でもわからない。
戦う前から負けるってこういうことをいうのだろう。
「(高校では絶対にビビり癖治すんだからぁぁぁっ!!)」
そう固く誓う私だった。




