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勝ち確ヒロインはなぜか今日も負けている  作者: にぃ


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第23話 暗転

 

「ごほ……ごほ……」


 翌日、私は体調を崩してしまい、学校を休んだ。

 昨日の痴態で学校に行きづらかったし、ある意味丁度良かったのかもしれない。


「未希。久しぶりに体調崩しちゃったわね。高校に入ってから健康になったと思ったのに……」


 中学時代、私はこんな風によく体調を崩していた。

 この力に目覚めたことで精神的に追い詰められたことが原因だと思う。

 高校に入ってからは私に対する悪意の言葉は減り、むしろ広井君が私を全行程してくれるおかげで安心感を憶え、体調を崩すことは無くなっていたはずだったのに。


「うん。ごめんねお母さん」


 お母さんが濡れたタオルを額に置いてくれる。

 冷たくて、優しい感触が私は好きだった。


「移すと悪いから行って大丈夫だよ」


「そう? お母さん、下にいるから何かあったら呼びなさいね」


 お母さんが部屋から出ていく。

 熱のせいで朦朧とはしているけど、眠りにつくには少し時間がかかりそうだ。

 私はなんとなくスマホをいじる。

 席子ちゃんからメッセージが届いていた。


 莉々

『未希ちゃん 大丈夫?』


 うわぁ。

 友達から心配されるってなんか嬉しい。

 中学時代にはなかった経験だ。


 ミキコング

『38.2℃だったよぉ~泣』


 莉々

『なかなかの高熱ね ノートは取っといてあげるからお大事にね』


 ミキコング

『席子ちゃん~ 寂しいよぉ~!』


 莉々

『うぉ 甘えてきた

 未希ちゃん時々信じられなくなるくらい可愛くなるね』


 ミキコング

『お見舞い~!』


 莉々

『甘え上手め

 学校終ったらお見舞い行ってあげるから住所教えなさい』


 ミキコング

『わーい!』


 やった。言ってみるものだ。

 私はチャットで住所を教えた。

 席子ちゃんが家にくる! 楽しみが一個増えた。


「たのしみ……だ……なぁ……」


 いいタイミングで眠気が訪れ、私は頬が緩んだまま深い眠りへと堕ちていった。







「(み、ミキティが髪を解いてるぅぅ!? かわ……かわわわっ!! ていうか寝顔! 寝顔天使過ぎるだろ! やっぱりミキティは天からの使者だったぁぁぁ!)」


 あ、あれ? 広井君の声が聞こえる? どうして? 私は自室で寝ているはずなのに。

 彼の声に導かれるように私はゆっくりと眠りから覚めていく。

 知っている二人の顔が傍にあった。


「あっ、未希ちゃん起きたわね。ちゃんとお見舞いにきてやったぞ~。うら~。感謝しろい」


「わぁぁ……席子ちゃん……だぁ……」


 私は微睡状態のまま両手を真上に伸ばす。

 その片手を席子ちゃんが取ってくれた。


「ほら。広井君も。未希ちゃんは手つなぎを所望みたいだよ」


「そ、そうなのか? で、では……」


 もう片方の手を広井君が遠慮がちに握ってくれた。

 席子ちゃんは手冷たい。広井君は手あったかい。ふふ。変なの。


 ………………

 …………

 ……


「ひ、広井君が居るぅぅぅぅぅっ!?」


 なんで!? どうして!? ていうか手! どうして私は広井君と手を繋いでいるの!? あっ、私から握手求めたのか。


「未希ちゃんが寂しんぼさんだったから広井君も誘ってみたんだよ」


 席子ちゃぁぁぁん!

 ナイスアシストしたような顔するなぁ! お母さんも年頃の娘の部屋に男の子入れる!?

 ていうか私パジャマだ! 髪もぼっさぼさ!? ちょっと汗もかいちゃってる!?


「ひゃあああ! み、みみみ、見ないでぇぇ!」


 私は布団を頭から被り隠れた。


「大丈夫よ。パジャマ姿の未希ちゃんも可愛かったよ。むしろいつもより可愛いくらいだったから。ね。広井君」


「……まぁ」


 それは知ってるよ! ばっちりテレパシーで聞かせてもらいましたよ! でもそういうことじゃないの!

 寝起き見られるの死ぬほど恥ずかしぃ!!


「ほら。出ておいで。広井君から贈り物あるみたいだから」


「う~……」


 布団から目元だけ出し、潤んだ瞳で広井君の顔を見る。

 広井君は手持ちの紙袋から見舞い品を次々と取り出していた。


「ここに来る途中で買ってきた。色々な味のゼリー、プリンも。あと一応冷えピタも買ってきた」


「あ、ありがとう。気を遣わせちゃってごめん」


「いいんだ。早く元気になってもらいたいから」


 優しい。

 うん。広井君はずっと優しいし、私に良くしてくれている。

 対して私は彼の優しさに応えてあげているだろうか。


「……ね。広井君」


 私は布団から全身を出し、ベッドの上で正座する。

 脱眼鏡状態だから視界がぼやけている。

 更に熱も帯びている状態だから自分が上気しているのがわかる。

 でも伝えなくちゃ。


「私と……お友達になってください」


 私は広井君をとっくに友達だと思っていた。

 でも広井君は私のことを高みの存在として見ている。それは友達関係とは違う気がした。

 どうしてこうなってしまったのか。

 私がビビッてちゃんと言葉にしていなかったからだ。


 私の目標はビビり癖を治すこと。

 その第一歩は彼と友達となることで達成したい。

 ちゃんとお友達になれれば色眼鏡無しで本当の私を見てもらえると思ったから。


 広井君は驚愕の表情を浮かべながら、少しだけ口元で微笑んで、優しい顔で答えてくれた。


「お断りするよ。氷室さん」


 こうして私と広井君は晴れて友達関係となり——


「「今、お断りするって言った!?」」


 席子ちゃんとツッコミの声が重なった。

 ビックリした!

 広井君が断るって選択肢を取ってくるとは思わなかった!

 えっ? 駄目? 私と友達になるの嫌なの!?


「どうしてぇぇぇ~!?」


 なぜ広井君が私と友達になることを断ったのか。

 もしかしたらその理由をテレパシーで伝えてきていたかもしれないが、この時の私はショックのあまりその理由を聞き逃してしまっていた。


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