第11話-2「どうしても引きたくて……」
約30分後……
「はぁ、マジで死ぬかと思った……」
「ホントにそれなです。私、思わず気を2回も失っちゃいましたよ。」
「えっ、ユイちゃん……それってかなりまずいんじゃないの?」
「あー、大丈夫だよゆうなちゃん。多分ネタだと思う、てか2回も失っていたらここにいないだろうし」
神社で人混みに揉みくちゃにされながらなんとか参拝出来た涼介達。
現在、彼らは神社とは少し離れた場所にあるお守りやら絵馬やらおみくじ等がある場所に来ていた。
そこの道中には祭りということもあってか、たくさんの出店が開かれていた。
まだ昼間ということもあり客自体は少なかったが、それでも熱気が伝わってきた。
カステラ、たこ焼き、焼きそば、りんご飴、唐揚げに冷やしパインなどの食べ物に加え、金魚すくいやボールすくい、ヨーヨーすくい、くじ引きや射的など種類が豊富だ。
ここはまた夜に来るだろうという判断で、4人はここはスルーして先におみくじを引くことにした。
引くとこにしたのだが……
「も、もう1回です!!」
ものの見事にゆうながハマってしまった。
最初の引きでゆうなは中吉を引き当てたのだが、他の3人がまさかの全員大吉という結果となり、さらにはくじの内容が「待ち人 来ず」だったというのも合わさって大吉かつ「待ち人 来る」が引けるまで引き続けているのだ。
「し、小吉……も、もう1回です!」
止まらない妹に流石にこのままではまずいと考え涼介が止めに入った。
「ゆ、ゆうな、そろそろやめておけよ。お前そんなにお小遣いないだろ……?」
「だ、駄目です!せっかくのお兄ちゃんとの初デートなのに……こんな結果なんて嫌なんです!!」
「うぐ、そんなに素直に言われるとちょっと照れるんだが……ま、まぁ、気持ちは分かるが自分の運を素直に受け入れるのも大事だと俺は思うぞ?」
「大吉出て……待ち人来て……」
(あ、うん。これ何言ってもダメなパティーンですね。)
涼介は早々に諦めを付けた。
結局、その後すぐにお目当てのくじが出て永遠に動けない事態になることは避けられた。
ちなみにかかった総額は1300円(1回100円)と中学生のゆうなには手痛い出費となった。




